2024.02.02 ON AIR

シカゴ・ブルーズにもブギウギ・ヒート vol.8

ON AIR LIST
1.Chicago Breakdown/Big Maceo
2.Spann’s Stomp/Otis Spann
3.Hawaiian Boogie/Elmore Jams(piano:Johnny Jones)
4.Chicago Boogi/Roosevelt Sykes
5.Lee’s Boogie/Rie Lee Kanehira

30年代から40年代にかけて流行ったブギウギのブームが去った後、ブギウギはブルーズ・ピアニストにとって必須の奏法のひとつとして定着しました。ブームというよりひとつの音楽革命です。それくらいブギウギが黒人音楽に与えた影響は強く、有名無名すごい数のブギウギ・ピアニストがいました。それは40年代からブルーズのメッカとなっていったシカゴでも同じでした。
まず40年代初めから中頃にかけてシカゴのブルーズ・ピアノのキングだったビッグ・メイシオ。彼はブルーズ史上に残る名作”Worried Lif Blues”で有名になり後続のシカゴのピアニスト、オーティス・スパンやリトル・ジョニー・ジョーンズたちはみんなメイシオに憧れていました。左利きだった彼が打ち出すピアノのリズムはピアノが強烈に揺れているのがわかる強さです。そして右手で繰り出されるフレイズの多彩さはやはり「キング・オブ・シカゴ・ブルーズ・ピアノ」と呼ぶにふさわしいものです。彼が残した強力なブギ・ピアノの名曲”Chicago Breakdown”をまず聞いてください。
1945年録音

1.Chicago Breakdown/Big Maceo

もうなんかピアノがウンウン唸ってます。強力なタッチで鍵盤をパーカッシヴに叩いているのが音だけでわかります。途中でリズムを弾いている左手で遊ぶところなどはもう余裕です。こんなにピアノが弾けたら気持ちええやろなぁと思います。ピアノは美しいメロディを奏で両手でオーケストラのように歌を包み込む楽器ですが、コンガのように鍵盤を叩くパーカッションでもあります。だからリズムが悪いピアニストはNGということになります。
ビッグ・メイシオの影響を強く受けた後続ピアニストの一人が次のオーティス・スパン。
僕がピアニストのアルバムで一番たくさん持っているのがオーティス・スパン。マディ・ウオーターズはじめいろんなブルーズマンのバックで録音したものもありますが、単独アルバムとして僕が持ってるのはスパンが多いです。そのスパンの曲の中でブギウギ関連の曲というと60年代にヴァンガード・レコードに録音した見事なブギウギのこの曲がまず浮かびます。

2.Spann’s Stomp/Otis Spann

スパンより少し前、1940年代終わりからビッグ・メイシオに代わりシカゴで台頭して来た若きピアニストの一人がジョニー・ジョーンズ。エルモア・ジェイムズやギター名人タンパ・レッドのレコーディングでパワフルでタイトなリズムを聞かせてくれる。御大ビッグ・メイシオが病気になって手が動かなくなった時には歌だけ歌うメイシオの横でピアノを任されるということもありました。ジョニー・ジョーンズ自身が歌った録音もあるがやはりバッキングに回った時の演奏がいいのでそれを聞きます。エルモアのバンドでいい仕事をしたジョニー・ジョーンズのリズミックなピアノが印象に残るこの曲も底辺に流れてるのはブギウギ。

3.Hawaiian Boogie/Elmore Jams(piano:Johnny Jones)

1953年の録音でブギウギということを全面には出していないが、弾いているピアノのスタイルはブギウギ。
シカゴというよりブルーズピアノの歴史の中で忘れてはいけないひとりがルーズベルト・サイクス。1929年にオーケー・レコードからリリースされた「44 Blues」という曲がヒットし名前が知られるようになった。この曲は歴史に残る曲となり今も演奏されている。アーカンソー州で生まれたサイクスは10代からいろんな土地を放浪して酒場で演奏するバレルハウスのブルーズ・ピアニストだった。ミシシッピ、テキサス、セントルイス、ニューヨークと流れ30年代半ばにシカゴに定着し録音も盛んに行うようになった。
聞いてもらうのは1951年のシカゴ録音

4.Chicago Boogie/Roosevelt Sykes

かってはシカゴもブルーズ・ピアニストが本当にたくさんいたのですが、ギターがブルーズの楽器の主役になってからはちゃんとブルーズが弾けるブルーズ・ピアニストが減りました。もう60年代くらいからそういう兆候はあったのですが・・。
今日は最後に現在シカゴで活躍する日本人女性ブルーズ・ピアニストRie Lee Kanehiraのオリジナルのブギの曲で終わりたいと思います。僕も親しくさせてもらっているLeeはシカゴのキャッシュ・ボックス・キングスというバンドに参加してそれをメインにソロやデュオでもシカゴで活動してます。ヨーロッパや中国にも演奏に行ってます。日本にいるときは東京中野のブライト・ブラウンというお店でソロライヴをやっているので是非聴きに行ってください。
2017年にリリースされた彼女のソロ・アルバムからアルバム・タイトル曲で”Lee’s Boogie”

5.Lee’s Boogie/Rie Lee Kanehira

こういう正統なブギウギのピアノが弾けるピアニストも少なくなってますが、こうして日本から出たピアニストによって受け継がれていることとが嬉しくもあり、誇りにも感じます。