特集「ダウンホーム・ブルーズとは・・・」vol.3
見事なダウンホーム・ブルーズのコンピレーション・アルバム,CD4枚組全108曲
“DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3”
ON AIR LIST
1.Pinetop’s Boogie Blues/Little Brother Montgomery
2.My Kind Of Baby/Little Walter
3.Sad Sad Day/Muddy Waters
4.Ride `Em On Down/Eddie Taylor
5.I Have Married/JB. Lenoir
今回はダウンホーム・ブルーズを聴くというシリーズの3回目です。特にシカゴのダウンホーム・ブルーズを集めたコンピアルバムの”DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3” という4枚組CDボックスが出たばかりなのでそれを使ってダウンホーム・ブルーズを聞いてもらっています。
50年代に入りブルーズのエレクトリック化が進んで行くのですが、エレキになってもどこかにダウンホーム、つまり故郷の南部の匂いを求めたアフリカン・アメリカンたちでした。
今回は私がすごく好きなピアノ・ブルーズマン、リトル・ブラザー・モンゴメリーから聞いてもらいます。
キツキツのブルーズではなく、ファンキーななんとなく楽しくなるリトル・ブラザーのブギのインストルメンタル曲
1.Pinetop’s Boogie Blues/Little Brother Montgomery
シカゴ・ブルーズだけでなくブルーズの歴史に名を残した名ハーモニカ・プレイヤー、リトル・ウォルター。”My Babe”や”Juke”始め数多くヒット出し、現在はブルーズのスタンダードとなっている曲も多くブルーズの森に入ると必ず出会うブルーズマン。
聞いてもらうのは1953年録音、ギターにジミー・ロジャースとデイヴ・マイヤーズ、ベースにウィリー・ディクソンそしてドラムにフレッド・ビロウという50年代シカゴ・ブルーズの精鋭による素晴らしい録音です。
「オレのタイプのベイビー、いつだって愛したくなるんだ」と歌うウォルターの溌剌とした歌とパワフルにグルーヴするハーモニカ。
本当にいい曲です。そしてビートをグイグイと推進するバンドが一体となった黄金期のシカゴ・ブルーズ。
2.My Kind Of Baby/Little Walter
リトル・ウォルターのハーモニカ・プレイは本当に素晴らしい。
やっぱりシカゴ・ダウン・ホーム・ブルーズといえばこの人にも出てもらわないと・・マディ・ウォーターズです。
マディのスライド・ギターにウォルター・ホートンのハーモニカとジミー・ロジャースのギター、ベースはなくてドラムだけという編成がより一層ダウンホーム感を出しています。全部のサウンドの混ざり具合が素晴らしくまさにシカゴ・ダウンホーム・ブルーズ。そしてマディの唯一無比の歌。「彼女がいなくなって悲しい日々が続く」
3.Sad Sad Day/Muddy Waters
シカゴ・ブルーズのトップに上り詰めた1953年のマディ。こういうスロー・ブルーズにおけるマディ・ウォーターズの歌声の存在感が抜群です。
シカゴ・ダウン・ホーム・ブルーズと言えばこの人も忘れてはいけない。エディ・テイラー。ヒット曲をたくさん出したジミー・リードのバッキング・ギタリストというよりジミー・リードの相方みたいなもんですが、聞いてもらう曲は逆にエディ・テイラーが主役の歌とギター、そしてバックでハイノート・ハーモニカの演奏をするジミー・リードとなってます。これもエディのギター、ジミー・リードのハーモニカにドラムだけというプリミティヴな構成でダウンホーム・テイストたっぷりの仕上がりになってます。ダウンホーム・ブルーズの典型のような曲です。
4.Ride ‘Em On Down/Eddie Taylor
ダウンホームはミシシッピ、アラバマ、アーカンソー、テキサスなど南部を意味していて、そこで生まれる濃厚なテイストですがリラックスして、くつろいでいられるムード、そういうムードを表しているブルーズがダウンホーム・ブルーズ。今のはまさにそれです。
次のJ.B.レノアは人種差別反対のブルーズや反戦のブルーズも歌った気骨あるブルーズマンで、ひどい差別を受けた南部に戻りたくないという歌も歌っていますが、その根底には南部を愛する気持ちがたくさんあったからではないかとぼくは思います。彼のブルーズにはそういう南部のテイストが溢れています。
イントロのガッガ、ガッガ、ガッガというシャッフルのリズムだけでダウンホーム感があります。ちなみにJ.Bレノア、声は高いですが女性ではありません。
5.I Have Married/JB. Lenoir
今日はダウンホーム・ブルーズのコンピレーション・アルバム,CD4枚組全108曲“DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3” の三枚目からでした。