2024.03.08 ON AIR

特集「ダウンホーム・ブルーズとは・・・」vol.2

見事なダウンホーム・ブルーズのコンピレーション・アルバム,CD4枚組全108曲

“DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3”

ON AIR LIST
1.Your Evil Ways/St. Louis Jimmy
2.Hoy Hoy/Little Johnny Jones
3.TV Mama/Big Joe Turner
4.Leaving Your Town/Sunnyland Slim
5.Pearly B/Robert Lockwood Jr.

前回はこの“DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3” ボックスセットの一枚目から聞きましたが、今日は2枚目。この2枚目で8曲も収録されているセントルイス・ジミーというブルーズマン。
このセントルイス・ジミーがこのアルバムの趣旨であるダウンホーム・ブルーズにぴったりなんです。テンポもミディアム・テンポのゆったりしたグルーヴの曲が多く、歌い方も格別テクニックがあるとか音域が広いとかいうこともなく、淡々と歌うタイプで私は若い頃「セントルイス・ジミーは地味やなー」と茶化して言ったりしてたのですが、年を重ねてから聴くとその普通に歌われているブルーズに何とも言えぬ味わいがあり、その良さを知ると共にこういうことがダウンホームということなんかと合点が行くこともありました。では、1951年ピアノにルーズヴェルト・サイクス、ギターにロバート・ロックウッドJr.そしてベースにビッグ・クリフォードと優れたバック・ミュージシャンを従えた録音です。

1.Your Evil Ways/St. Louis Jimmy

セントルイス・ジミーは本名をジェイムズ・オーデンというのですが、生まれはナッシュビルでシカゴに出てくる前にセントルイスに移り住んでいたことからセントルイス・ジミーになったのですが、こういう出身の地名を芸名につけたブルーズマンが意外と多いです。メンフィス・スリム、女性のメンフィス・ミニー、ルイジアナ・レッド、カンザス・ジョーなど。セントルイス・ジミーには”Going Down Slow”というブルーズ史上に残るヒット、スタンダード曲があるのですが、彼は途中から事故で歌えなくなりマディ・ウォーターズなどに曲を提供するソングライターとなりました。
次はいまのセントルイス・ジミーより若い世代のピアノのリトル・ジョニー・ジョーンズ。エルモア・ジェイムズのバックなどで素晴らしいピアノを残してるリトル・ジョニー・ジョーンズ。聴いてもらう曲はそのエルモアのメンバーがバックを務めていてダウンホームでありながら時代の新しいR&Bのテイストもある曲。1953年録音
「彼女が出て行ってしまい俺は地獄の夢を見る。彼女は真珠のような白い歯を持っているけど心は冷たく黒く波打っている。あの娘はチェリーパイのような味のキスをする。俺は死ぬまで彼女を愛するよ」こんなことを言いながら夜な夜な女性を口説いていたんでしょうジョニー・ジョーンズ

2.Hoy Hoy/Little Johnny Jones

ブルーズとかR&Bのレコーディングは一日一人だけ録音するのではなく何人も録音することはよくあり、録音が早く済んでスタジオの時間が空いたのでバックバンドのだれかの録音をやるということもあり、そこからヒットが生まれることもありました。
次はちょっと面白い録音で歌ってるのはジャズ・ジャンプ・ブルーズのビッグ・ジョー・ターナーなんですがバックがいま聴いたジョニー・ジョーンズの録音メンバーと同じでギターにエルモア・ジェイムズ、ドラムにオディ・ペイン、サックスにJT.ブラウンでいまのジョニー・ジョーンズの2日前に録音されています。ジャンプ・ブルーズの歌なのにバックはダウンホーム・テイストで面白い味になってます。エルモアのスライド・ギターはやはり存在感抜群です。

3.TV Mama/Big Joe Turner

次はサニーランド・スリムの見事なピアノとバックのギター、ロバート・ロックウッドJr.の名人芸の絡みが素晴らしい一曲で、これぞモダン・ダウンホーム・ブルーズとも言える一曲。
ミシシッピで生まれメンフィスに住んだこともあり、イカサマ博打をやりながらピアノを弾き放浪していたサニーランドは1943年にシカゴに定着してます。しっかりした硬質な歌声と放浪したいろんな街で他のピアニストの技を学んだ多彩なピアノの音で独自の世界があります。

4.Leaving Your Town/Sunnyland Slim

ロバート・ロックウッドはいつも冷静沈着なギターをバックで弾いているイメージがあるのですが、次のロックウッドは弾けてます。
1951年 ロックウッド36歳くらいです。ギターの音の歪み具合もあるのですがアグレッシヴなロックウッドのプレイが聞けます。

5.Pearly B/Robert Lockwood Jr.

今日は前回に引き続き“DOWN HOME BLUES-CHICAGO 3”という4枚組のCDの2枚目を聞きました。番組のホームページで見て欲しいのですが、充実したブックレットも付いたこのボックスセットはダウンホームな50年代のシカゴ・ブルーズを知るのにすごくいいコンピレーション・ボックスです。
来週は三枚目を聴きます。