2023.10.20 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.8

イギリスのブルーズ・ブームの火に油を注いだ「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴ

The Best Of The American Folk Blues Festival (P-Vine)

ON AIR LIST
1.Matt’s Guitar Boogie-Matt “Guitar” Murphy
2.Crazy For My Baby/Willie Dixon
3.Sonny Boy’s Harmonica Blues/Sonny Boy Williamson [II]
4.Five Long Years/Muddy Waters

前回のブルーズ・ライヴ名盤シリーズではでは1962年にアメリカの黒人ブルーズマンたちがヨーロッパに渡ってコンサート・ツアーをした「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴ・アルバムを聞いてもらったのですが、そのコンサートの評判が良くてこの「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」が毎年開催されることになりました。
今日はその翌年1963年の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のライヴを聞いて見ようと思うのですが、シリーズ化されたこのイベントの音源は毎年録音されて残っているのですが、ぼくが初めて聞いたのはこの1963年のものでした。
最初に驚かされたのはギターのマット・マーフィのこのインストルメタル曲でした。

1.Matt’s Guitar Boogie-Matt “Guitar” Murphy

前回の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」の評判が良かったせいだと思うのですが、この2回目は渡欧メンバーも豪華になっています。前回のメンフィス・スリム、ウィリー・ディクソンに加えてサニー・ボーイ・ウィリアムスン、マディ・ウォーターズ、オーティス・スパン、ロニー・ジョンソンなどかなり豪華になってます。
多分、前回来たウィリー・ディクソンあたりがヨーロッパ各地ですごく歓迎されたことや、客の反応が良かったことなどをアメリカに帰ってからブルーズマンたちに話したと思います。しかもアメリカよりも人種の差別は少ないですから。彼らにとっては過ごしやすく、楽しいツアーだったと思います。
そして恐らくステージ上でのプロデューサー、デレクター的な役割をしたのがそのディクソンだったと思います。そのディクソンも歌っています。

2.Crazy For My Baby/Willie Dixon

次はサニーボーイ・ウィリアムスンが一人でソロ・ハーモニカ・プレイを披露するという珍しいパフォーマンスをやっています。
どんどん熱が上がっていろんな技を披露するサニーボーイがめちゃめちゃ受けています。

3.Sonny Boy’s Harmonica Blues/Sonny Boy Williamson [II]

フレイズの多彩さ、ハーモニカの音色の素晴らしさ、そして何よりそのビートの素晴らしさ、ハーモニカ一つでバックがなくてもみんなを踊らせてしまうような本当に素晴らしいハーモニカ・プレイです。
サニーボーイは演奏がウケたこともあったのでしょうが、特にロンドンが気に入ってロンドンに住みたいと言っていたそうです。

この二回目の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」はバック・バンドがベースにウィリー・ディクソン、ピアノがオーティス・スパン、ギターがマット・マーフィ、ドラムがビル・ステップニーという鉄壁の布陣でどの曲もいいのですが、僕は初めて聞いた時にマディ・ウォーターズの次の曲がすごく気に入ってしばらくカバーしていました。
五年間好きな女性のために製鉄工場で働いたけれど、その愛は報われなかったというブルーズ。

4.Five Long Years/Muddy Waters

この第二回の「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のコンサートは1963年。イギリスでは前年からビートルズの人気が沸騰し、その後をアニマルズ、ストーンズなど黒人ブルーズに感化されたバンドが次々とデビューしましたが彼らもこのコンサートを観に行っていたそうです。そしてそれらがイギリスのブルース・ブームの大きな火種になったことは間違いないでしょう。
日本のブルーズ・ブームももう10年早ければサニーボーイやリトル・ウォルター、サン・ハウスなども見れたかもしれません。
この「アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」のシリーズはまだあるのでまた紹介したいと思います。