2023.10.27 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.9

ブルーズ&ソウルの名歌手、リトル・ミルトン渾身の刑務所慰問ライヴ!

Live At Westville Prison/Little Milton (Delmark/P-Vine)

ON AIR LIST
1.I’d Rather Drink Muddy Water / Little Milton
2.Medley: How Could You Do It to Me~Part Time Love~Somebody’s Sleeping in My Bed~I Got to Love Somebody’s Baby~Walking the Back Streets and Crying~Little Bluebird~Drowning on Dry Land
3.That’s How Strong My Love Is / Little Milton

ブルーズ・ライヴ名盤 の9回目
今回聴くブルース・ライヴ名盤はリトル・ミルトンが1983年にインディアナ州のウエストヴィル刑務所で慰問ライヴしたものです。刑務所の慰問ライヴというのを黒人ブルーズマンもよくやっていたようでB.B.Kingのクック・カウンティ・ジェイルでの素晴らしいライヴ録音なども残されています。今回のリトル・ミルトンもすごく力の入ったいいパフォーマンスをしています。
聴く前にちょっとリトル・ミルトンの紹介を。リトル・ミルトンはいわゆるブルーズン・ソウルと呼ばれるシンガーで、ブルーズとソウル両方を歌うシンガーです。ギターはB.B.キング、歌はボビー・ブランドなどモダン・ブルーズを作ったレジェンドの影響を受けてますが、O.V.ライトのようなソウル・シンガーの影響もあります。60年代半ばに”We’re Gonna Make It”という大きなヒットを出してから黒人サークルでは絶大な人気があり、70年代半ばにスタックス・レコードに移ってからは完全にブルーズン・ソウルというスタイルを築きました。
まずはライヴの幕開け、一曲目はルー・ロウルズやジョニー・テイラーなども歌っているジャズ・ブルーズ系のスタンダード曲

1.I’d Rather Drink Muddy Water / Little Milton

素晴らしいキーボード・プレイはラッキー・ピータソン。リトル・ミルトンの歌のパワーすごいです。バンドはバンマスのラッキー・ピータソン(オルガン、キーボード)を中心のドラム、ベース、ギターというこぢんまりしたコンボですが、不足はありません。ミルトン自身も時折ギターを弾きますが、ここではシンガーとしての存在感がどっしりあります。
途中でスロー・ブルーズのメドレー7曲というのがあり全部聞いてしまうと番組が終わってしまうので途中まで聞いてみましょう。歌っている曲は・・自分のヒット”Walking the Back Streets and Crying”も入ってます。

2.Medley: How Could You Do It to Me~Part Time Love~Somebody’s Sleeping in My Bed~I Got to Love Somebody’s Baby~Walking the Back Streets and Crying~Little Bluebird~Drowning on Dry Land (8分?FO)

実はこの日の慰問ライヴは男の囚人だけを入れてやる予定だったのですが、ミルトンが女性の囚人にも聞かせたいと急遽二部制にして女性の囚人だけの第二部が作られました。次のバラードはやはり女性の囚人向けに歌われたような気がします。
偉大なソウル・シンガー、O.V.ライトのバラード「この強き愛」。
ブルーズ&ソウル・シンガーとしての実力を発揮したこのライヴの最後のこの曲にウルッと来るものがあります。

3.That’s How Strong My Love Is / Little Milton

昔、来日した時も素晴らしい歌を聴かせてくれたリトル・ミルトンですが、ほぼ歌だけで貫き通しギターをあまり弾かないスタイルはやたらブルーズ・ギターが好きな日本の聴衆には人気がありませんでした。せっかくいいライヴだったのにお客さんの入りもいまいちでした。今となってはリトル・ミルトンも天国へ行き今日聞いたライヴ・アルバムのようなライヴも聞くことはできません。残念です。
今日のブルーズ・ライヴ名盤はリトル・ミルトンの1983年のライヴ”Live At Westville Prison”でした。見つけたら買い!