2024.02.16 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.10

BURNSIDE ON BURNSIDE/R.L.Burnside

ON AIR LIST
1.Shake ‘Em On Down/R.L. Burnside
2.Rollin’ & Tumblin’/R.L. Burnside
3.Walkin’ Blues/R.L. Burnside
4.Jumper On The Line/R.L. Burnside

久しぶりにブルーズ・ライヴ名盤の復活です。
1990年代にミシシッピでファット・ポッサム・レコードというレコード会社が設立され、北ミシシッピのヒル・カントリーと呼ばれる地域であまり知られずに息づいていたブルーズをリリースし始めました。そのブルーズはワン・コードで延々とグルーヴを続ける土着的なものが多く、あの種ループ感のあるものでヒップホップ好きも巻き込み閉塞感のあったブルーズ・シーンに大きな刺激を与えました。その大きなきっかけとなったのがロック・バンド、「ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン」が共演を求めたR.L.バーンサイドとのコラボでした。当時、オルテナティヴ・ロック、ガレージロックと呼ばれ人気のあったジョン・スペンサーが賞賛したことでバーンサイドに多くの興味が注がれました。このアルバムはそのバーンサイドの2001年1月のライヴ録音盤。
まずは1曲。北ミシシッピのバーンサイドたちブルーズマンの先達、偉大なフレッド・マクダウェルから伝わる重要なレパートリーのひとつ。衝撃的なライヴの始まり。

1.Shake ‘Em On Down/R.L. Burnside

同じリフをラウドな歪んだ音で繰り返して生まれてくる不思議なグルーヴにパンク・ロックやガレージ・ロックの白人ファンも惹きつけられたこのサウンド。もう一人のギターはバーンサイドと長年演奏を共にしているケニー・ブラウン、ドラムはこの当時22歳のバーンサイドの孫セドリック・バーンサイド。ギター爆音、ベースなしのこのトリオがロック・ファンにウケた理由がわかります。ブルーズではベースなしのこういうサウンドはシカゴのハウンドドッグ・テイラーのハウス・ロッカーズも同じでそんなに目新しいものではないのですが、ロック・ファンには新しいものを感じさせたのでしょう。
次はトラッドな南部のブルーズです。

2.Rollin’ & Tumblin’/R.L. Burnside

このライヴ・アルバムが録音されたのはアメリカ、オレゴン州のポートランドのクリスタル・ボールルームと記載されてます。ボールルームですからかなり大きな会場でしょう。このボールルームの87周年記念のイベントに呼ばれたようです。普段ミシシッピでやっている時はクラブとかライヴハウスのような場所ではなくジュークと呼ばれる小屋のようなところで、客も近所の知り合いという感じですから、この日は大きな場所でお客さんもたくさんいたので張り切っていたのでしょう。パワフルな演奏が続きます。
次はスライド・ギターのイントロが客席を突き刺すようなこれもサン・ハウス、ロバート・ジョンソンなど南部の定番ブルーズ。

3.Walkin’ Blues/R.L. Burnside

バーンサイドのブルーズは「催眠的なグルーヴ」とも呼ばれる一つのコードで同じフレイズ繰り返しをするのが特徴ですが、これは先輩のフレッド・マクダウエルがすでにやってたことなのですが、それをエレキの爆音で強力なドラムを入れたところに新しさがありました。
そしてもう一つバーンサイドの歌が実に生き生きとしていることです。やはり歌がいい。これだけのラウドなサウンドの中でも埋もれてしまわない歌です。
もう一曲、これも踊り狂うしかないような猥雑なグルーヴが続きます。

4.Jumper On The Line/R.L. Burnside

バーンサイドも亡くなってしまいましたが、今の北ミシシッピ、ヒルカントリーのブルーズはどうなってるのでしょう。もし、彼らのライヴ画像を見たかったらロック・ライターのロバート・パーマーとユーリズミックのデイヴ・スチュワートが中心になって制作した映画『ディープ・ブルース』を探して見てください。ブルーズとは何かの答えのひとつがそこにあると思います。
今回のブルーズ・ライヴ名盤はR.L.Burnsideの2001年のライヴ盤BURNSIDE ON BURNSIDEを聴きました。