エルモア・ジェイムズのマストな曲が収録されたアルバムがCDリリース
Elmore James/ヒッツ&レアリティーズ(2CD / BSMF-7745)

ON AIR LIST
1.Dust My Broom/Elmore James
2.The Sky Is Crying/Elmore James
3.Bobby’s Rock/Elmore James
4.Rollin’ & Tumblin’/Elmore James
5.Baby Please Set A Date/Elmore James
2/26にBSMFレコードからエルモア・ジェイムズがニューヨークの「ファィア&エンジョイ」レコードに録音した音源がCD二枚組でリリースされました。59年から63年のエルモアの晩年となる四年間に録音されたブルーズ名曲が収録されていますのでアルバムとして欲しい方は是非この機会にゲットしてください。最近はこういうリイシュー・アルバムもCDであまりリリースされなくなっているのでCDとして欲しい方はぜひ。間違いなくクオリティの高い演奏が聴けます。晩年と言っても亡くなったのが45才という若さですからブルーズマンとしては脂ののった時期です。ずっと心臓が悪かったらしくて死因も心臓発作と言われています。
エルモア・ジェイムズというと看板曲となっているのが1952年に先輩のロバート・ジョンソンの”Dust My Broom”をカバーしたもの。チャート9位まで上がりました。何度かタイトルを変えたりもして録音しているのですが今回のアルバムにも入っています。まずそのブルーム調とも言われるスライドギターによる三連符で始まる”Dust My Broom”を。
1.Dust My Broom/Elmore James
もう今の曲はぼくにとってはいつも通ってる定食屋の鯖塩定食見たいなもんで安定の旨さです。安心するというかいいですよね。
次はこれもエルモア・ジェイムズを代表する曲”The Sky Is Crying”
空が泣いていると歌い始める次の歌。涙がストリートを流れていく。雨と涙を彼女を失った悲しみの例えに使ってもうお前はオレを愛してないんだ。そして涙が私のドアまで流れてきていると最後に歌われる素晴らしい歌詞です。たくさんカバーがあるのですが、アルバート・キングやスティービー・レイボーンのようにスライドギターを弾かないでこの曲をカバーしてる人もいます。
1960年エルモア・ジェイムズがブルーズの歴史に残した名曲。
2.The Sky Is Crying/Elmore James
ブルーズの名曲と呼ぶのに本当にふさわしい曲で歌詞、曲、歌、ギター、バックの演奏どれも素晴らしいです。ほとんどの人がこの曲にギターソロがあるよう思っているのですがギター・ソロはないんです。イントロの4小節と歌と呼応するオブリガードのギターだけなんですが、ギターソロがあるように感じる彼のスライド・ギターの魅力が伝わってきます。そしてそのギターの音色の素晴らしさ。
エルモアというと最初に聞いてもらったスライドギターで三連符のダスト・マイ・ブルーム・スタイルの曲が有名でその手の曲もたくさん作っていたのですが、それ以外の曲にもいい曲がたくさんあります。次のインストルメンタルの曲は“Elmore’s Contribution To Jazz”と並んでファンキーなインスト曲で私のお気に入りです。
3.Bobby’s Rock/Elmore James
エルモアは南部ミシシッピーの出身なのでその音楽のルーツはミシシッピ・デルタ・ブルーズ。ロバート・ジョンソンやチャーリー・パットンといったミシシッピの先達の影響を受けてますが、その素晴らしい歌に関してはゴスペルのテイストがあります。次の曲なんかは曲調はワンコードのプリミティヴなミシシッピ・ブルーズ・スタイルですがエルモアの歌にゴスペル・テイストがあるという熱い曲です。
4.Rollin’ & Tumblin’/Elmore James
最初に聞いてもらったエルモアの代表曲”Dust My Broom”のイントロのギターを「ダスト・マイ・ブルーム」という曲名から「ブルーム調」とか「プルーム・スタイル」と呼びます。スライド・ギターでチャチャチャ・チャチャチャ・・・・と三連符を繰り返し弾くスタイルのことですが、これがヒットしたのでエルモアは同じようなイントロを使った曲をたくさん作りました。しかもキーはほとんどオープンDです。なので初めてエルモアのアルバムを聴いた人は「なんや、これ全部おんなじ曲やん」と言う人もいますが、違います。しばらく聴いていると曲によってそのイントロの違いがわかってきます。実際、私も初めてエルモアのアルバムを聴いたときは「詐欺みたいなレコードやな、スロー以外はほとんどおんなじやん」と言ってました。しかし、いま聴くとこのイントロを弾いたエルモア・ジェイムズは偉大だと思います。もう一曲ブルーム調の曲を最後に。
5.Baby Please Set A Date/Elmore James
そういえばビートルズの”For You Blue”という曲でジョージ・ハリソンが「エルモア・ジェイムズはこの曲を知らんやろけど」みたいなことを言ってるのが録音に入ってましたが、ビートルズも知っていたエルモアですよ。やはりこのブルーム調というのは世界的な不滅のフレーズ。弾いてみるとわかるんですが、なんとも言えないギターのオープンチューニングの開放感がありやみつきになります。
59年から63年のエルモアの録音を集めたElmore James/ヒッツ&レアリティーズが2/26にBSMFレコードからリリースされましたのでその中から5曲聴いてもらいました。持っていない方はゲット!