2024.03.29 ON AIR

「褐色のカナリア」と呼ばれたニューオリンズのR&Bシンガー、ジョニー・アダムス

Johnny Adams – Release Me: The SSS and PACEMAKER Side 1966-1973(BSMF-7715)

ON AIR LIST
1.Release Me /Johnny Adams
2.Reconsider Me/Johnny Adams
3.I Can’t Be All Bad/Johnny Adams
4.Spunky Onions/Johnny Adams
5.I Won’t Cry/Johnny Adams

福島郡山のココラジさんがネット局に入ってくださって、今回がココラジさん初回放送で4月2日夜九時からON AIRです。
今回は60年代からニューオリンズの名シンガーとして活躍したジョニー・アダムスの初期のベスト盤が1/26に日本のBSMFレコードからリリースされました。こういうR&Bやブルーズのベスト盤も最近リリースされなくなってきているので今日聴いて気に入った方はこの機会に是非ゲットしてください。

ジョニー・アダムスは1932年のルイジアナ、ニューオリンズ生まれで98年に亡くなるまで終生ニュオリンズで過ごしました。「褐色のカナリア」と呼ばれる彼の美しい歌声は強烈なファルセットを混じえた唯一無二のもので一度聞いたら忘れられない歌声です。レパートリーはR&Bはもちろんブルーズからジャズ、ファンクものと何を歌ってもジョニー・アダムス・テイストにしてしまう歌の上手さです。
では彼の1968年のヒットを。
「新しい愛を見つけたんだ。”リリース・ミー”俺を解放してくれ、別れてくれ。もう君のことは愛してないんだ」という歌。

1.Release Me /Johnny Adams

この曲は1968年R&Bチャート34位
強烈なハイトーンに最初びっくりされた方もいると思いますが、これがジョニー・アダムズの個性的な歌唱法です。
この「リリース・ミー」はカントリー・テイストの曲なのでパティ・ペイジやディーン・マーティンなど白人シンガーもたくさん歌っています。黒人シンガーでは私の大好きなエスター・フィリッブスが歌ってR&BチャートのNo.1になったバージョンもあります。

元々ゴスペルを歌っていたジョニー・アダムズは最初ドクター・ジョンのプロデュースで62年くらいからシングルを発表していましたがヒットしなくて69年のいまの「リリース・ミー」が最初のヒットとなりました。
「リリース・ミー」は別れてくれという歌でしたが、今度は「考え直してくれ」Reconsider Meです。なんとなく「柳の下にドジョウが二匹」狙った曲名ですが・・。ロウエル・フルソンの有名な”Reconsider Baby”とうブルーズがありますが、あれも別れ際の彼女に「考え直してくれへんか」と言う内容でしたが、この曲は何か浮気でもしたんでしょうか。オレが悪かったなんて言うてます。翼が折れたツバメのようになってオマエのドアの前に謝りに戻ってきた。どうか考え直してくれへんか・・お前の愛なしでは生きていけへんなん言うてます。まあ都合のええ男の言い訳にも聞こえますが・・。
1969年R&Bチャートとの6位まで上がった曲です。

2.Reconsider Me/Johnny Adams

1986年にはアール・キングたちと来日してこの素晴らしい歌声を僕もライヴで聴くことができました。ジョニー・アダムスは物静かな人で、ステージでもダンスやアクションなどほとんどなく淡々と歌を歌っていた印象が残っています。派手なタイプではなく実直に自分の歌を歌うタイプでした。オフ・ステージでは少し話しづらい感じがありましたが、誇りあるシンガーとしての矜持を感じました。
ジョニー・アダムスはいまの二曲のようなミディアム・スローの曲でヒットが出たのですが、なぜかアップテンポのダンス・ナンバーのヒットが出ずに次にヒットしたのもミディアム・テンポのゴスペル・テイストの強いこういう曲でした。

3.I Can’t Be All Bad/Johnny Adams

多分本人もレコード会社もダンスナンバーのヒットを出そうとはしてたんでしょうが、ヒットするのはミディアム&スローの曲でした。ダンスナンバーのヒットがあればこのジョニー・アダムズの評価ももっと違ったものになっただろうし、知名度も上がったのでは・・と思うのですが・・。
ひとつ1965年のリリースのアップのダンスナンバーを聞いてみましょうか

4.Spunky Onions/Johnny Adams

タイプ的にはウィルソン・ピケット、ジェイムズ・ブラウンなんですがよくあると言えば、よくあるダンス・ナンバーでジョニー・アダムズの歌はいいのですが曲にこれと言った特徴がないんですね。
それでもう一曲ヒットしたのもミディアム・スローのバラードでした。
「ダーリン、オレはずっと前から君がオレをもう愛してなくて他の男を愛してることがわかっていた。でも、オレは変わらずずっと愛してるんだ。オレは泣きたくないんだ。涙を流したくなんだ」

5.I Won’t Cry/Johnny Adams

70 80 90年代とアルバムのリリースはありましたが、ヒットには繋がりませんでした。でも実力と個性のあるソウル・シンガーとしてずっと高く評価されたシンガーで亡くなった98年も「Man Of My Word」というアルバムを1ヶ月前にリリースしたばかりでした。66才でした。
今日は1/26に日本のBSMFレコードからリリースされたジョニー・アダムズの初期のシングルのコンピレーション・アルバム”Release Me”を聞きました。
今回から福島郡山のココラジさんがネット局に入ってくださって嬉しいです。大昔にワンステップ・フェスティバルというコンサートで一度だけ郡山に行きましたが、もしブルーズを歌えるいいライヴハウスがあれば番組宛にメールください。