2020.06.05 ON AIR

永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード曲集 vol.20

ブルーズ・ロック編ー1

The Paul Butterfield Blues Band(ELEKTRA/ASYLUM/WEA 18P2-2696)

The Paul Butterfield Blues Band(ELEKTRA/ASYLUM/WEA 18P2-2696)

Canned Heat/Hallelujah&CookBook(BGOCD578)

Canned Heat/Hallelujah&CookBook(BGOCD578)

John Mayall & The Blues Breakers/Blues Breakers With Eric Clapton(LONDON 800 086-2)

John Mayall & The Blues Breakers/Blues Breakers With Eric Clapton(LONDON 800 086-2)

Fleetwood Mac/The pious Bird Of Good Omen (Epic ESCA-7826)

Fleetwood Mac/The pious Bird Of Good Omen (Epic ESCA-7826)

The Jimi Hendrix Experience/Are You Experience (MCA MVCE-24027)

The Jimi Hendrix Experience/Are You Experience (MCA MVCE-24027)

 

ON AIR LIST
1.Born In Chicago/The Paul Butterfield Blues Band
2.Going Up The Country/Canned Heat
3.All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
5.Red House/The Jimi Hendrix Experience

不連続でやっているブルーズ・スタンダード曲集ですが、今日はブルーズロックつまり白人ブルーズの曲でいいものを聴いてみようと思ってます。白人ブルーズは昔はそのままホワイト・ブルースとも呼ばれてましたが、いまはブルーズロックという大きなジャンルに入れていいかなと思います。曲としてこれからも残っていくブルーズロックの曲を選びました。
白人のブルーズバンドと言えば僕にとってはポール・バターフィールド・ブルーズバンド。その前にアニマルズなんかもいましたが、ブルーズに特化したという意味でまずはポール・バターフィールド・ブルーズバンドでしょう。歌とハーモニカがポール・バターフィールド、ギターがマイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップ、キーボードがマーク・ナフタリン、ベースがジェローム・アーノルド、ドラムがサム・レイ。
1965年にリリースされたデビュー・アルバム”The Paul Butterfield Blues Band”の1曲目で曲を書いたのはニック・グレイヴナイツ。彼はジャニス・ジョップリンにも曲を提供してたし、マイク・ブルームフィールドと立ち上げたエレクトリック・フラッグのメンバーでもありました。「シカゴに生まれて」というタイトルですが、「1941年にオレはシカゴに生まれた。親父にオマエもそろそろ拳銃を持った方がいいぞと言われた。友達も死んでしまってこの町もずいぶんと変ってしまった」
僕はこれを聴いてシカゴは相当ヤバい街なんだろうなと、アメリカに行ったこともないのに思ってました。
1.Born In Chicago/The Paul Butterfield Blues Band
瑞々しいパワーに溢れてます。当時ポール・バターフィールドもマイク・ブルームフィールドも22,23才くらいです。このアルバムはほとんどブルーズのカバーが収録されているのですが、若かった彼らのブルーズに対する真摯な気持ちがすごく感じられるいいアルバムです。それともうひとつベースのジェローム・アーノルド、ドラムのサム・レイは黒人でこのバンドの前までハウリン・ウルフのバンドのメンバーだったんですが、リズムセクションに黒人のこのふたりを入れたところがこのバンドの要です。
では、シカゴのポール・バターフィールド・ブルーズバンドと並んで60年代のアメリカの白人ブルーズバンドとして必ず名前が上がる「キャンド・ヒート」キャンド・ヒートはウエストコーストのバンドでバンド名のキャンド・ヒートは1920年代のブルーズマン、トミー・ジョンソンの曲名から取ったもの。結成は1965年ですからポール・バターフィールド・ブルーズバンドとほぼ同じ頃です。でも、ポール・バターフィールド・ブルーズバンドがエレクトリック・シカゴ・ブルーズを目指していたのに比べると、キャンド・ヒートは戦前の古いカントリー・ブルーズなんかも取り上げるセンスがありました。中心メンバーのヴォーカルのボブ・ハイトとハーモニカやスライドギターをこなすアル・ウィルソンは黒人ブルーズのレコード・コレクターでもう根っからのブルーズ・フリーク。ジョン・リー・フッカーとのコラボアルバムを作ったり、アルバート・コリンズのレコーディングに尽力した人たちでもあります。聴いてもらうのは映画「ウッド・ストック」でも流れていましたが、アル・ウィルソンがファルセットで歌う彼の自作の曲。
2.Going Up The Country/Canned Heat
いわゆるブルーズロックのバンドとはひと味ちがうセンスがあって僕は好きでした。バンドはやはり60年代のウエストコーストなので彼らのファッションやアルバムジャケットにはヒッピー、サイケデリック・カルチャーのムードがあって面白いです。
この時代のイギリスの白人ブルーズバンドと言えば、ジョン・メイオール・ブルースブレイカーズになるのですが、ジョン・メイオールはいいオリジナル曲がないのです。いい演奏はいろいろあるのですが・・・。
それでやはりエリック・クラプトンが在籍していた頃の名盤「Blues Breakers With Eric Clapton」の一曲目のオーティス・ラッシュのカバー曲にします。この曲のイントロのインパクトはやはり忘れられないものです。
3.All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers
とにかくクラプトンのギターがいいです。1966年リリース、エリック・クラプトン21才のギター・プレイ。やはり当時これくらい弾けるギタリストはイギリスにはいなかっただろうと思っていたら、もうひとつすごい奴がいて・・「フリートウッドマック」のピーター・グリーン。
彼はクラプトンがブルースブレイカーズをやめた後のギタリストなんですが、僕はクラプトンより好きでした。結成は67年、ピーター・グリーン(ギター)とミック・フリートウッド(ドラム)、ボブ・ブランニング(ベース)、ジェレミー・スペンサー(ギター)の4人で活動を開始する。途中からベースがジョン・マクヴィーに代わって、その後もうひとりギターのダニー・カーワンが入ってギター3人のバンドになりました。
「アルバトロス」という大ヒットしたオリジナルもあるのですが、ブルーズという位置で聞くとこっちのオリジナルでしょう。
1968年フリートウッド・マックの二枚目のシングルだったこの曲はサンタナのオリジナルだと思っている人も多いのですが、実はフリートウッド・マック
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
70年代半ばくらいにメンバーもだいぶ変って急にソフトロック路線のバンドになった時はびっくりしましたが、それ以降は僕はこのバンドを聴いていません。でも、それ以後のフリートウッド・マックの方が有名です。
まだまだブルーズロックのスタンダードに選びたい曲はあるのですが、とりあえず今日は次のジミ・ヘンドリックスまで。ジミ・ヘンはブルーズルーツの曲が多いので選びたい曲がいろいろあるのですが、初期の曲でブルーズのスタイルをもった曲で、アルバム”Are You Experience”に収録されているこの曲を選びました。ジミ・ヘンはアメリカン・アフリカンなのですが、イギリスでデビューしたのでしかもサウンドがロックテイストなのでブルーズロックに入れています。1967年UKのアルバムチャート2位まで上がったアルバム”Are You Experience”から
5.Red House/The Jimi Hendrix Experience
やっぱりなんかものが違いますよね。ムンムンとしてます。やはり黒人のテイストなんです。クラプトンもピーター・グリーンもマイク・ブルームフィールドもギター上手いんですが、ジミ・ヘンドリックスはその上を行ってる感じがします。
また、ブルーズロックのスタンダード特集やります!