2020.05.29 ON AIR

ロックンロールの王様、リトル・リチャードのアイドルだったブルーズの王子様、ビリー・ライト!

Billy Wright/The Prince Of The Blues (Route66 KIX-13) LP

ON AIR LIST
1.Billy’s Boogie Blues/Billy Wright
2.Stacked Deck/Billy Wright
3.After Dark Blues/Billy Wright
4.Live The Life/Billy Wright
5,Married Woman’s Boogie/Billy Wright

今年の年初め1月のON AIRでR&Rのキングのひとり、リトル・リチャードを確か三週連続でON AIRした時に彼が若い頃に目指した歌手がビリー・ライトだと言いましたが、そのビリー・ライトのLPレコードをゲットしましたので今日はターンテーブルを回してみなさんに聴いてもらいます。
アルバム・タイトルがThe Prince Of The Blues・・ブルーズの王子様ですが、彼はデビューした頃そう呼ばれていたそうです。
出身はジョージア州アトランタ、1932年生まれ。リトル・リチャードもジェイムズ・ブラウンもオーティス・レディングも同じアトランタ出身で全員、このビリー・ライトが歌手としてのアイドルだったそうです。
リトル・リチャードもジェイムズ・ブラウンもオーティス・レディングもアイドルにしていた歌手ってすごい気になります。
ちなみにリトル・リチャードは憧れていたビリー・ライトと同じ年なんですが、ビリーの方がデビューが早かったんですね
彼は普通の黒人の若者と同じように教会で歌いながらもブルーズが大好きという少年でした。彼が若い頃に流行し始めたのがジャンプ・ブルーズで彼の最初の大きなステージもジャンプ・ブルーズのワイノニー・ハリスのオープニング・アクトだったそうです。その彼の才能に目をつけたのが黒人のレコード会社として有名な「サヴォイ・レコード」で、1949年に彼は”Blues For My Baby”という曲でデビューします。それがあっと言う間にR&Bチャートの3位に入るという快挙。
残念ながらそのデビュー曲は今日のアルバムには入ってないので、同じ49年にリリースされている曲を聴いてみましょう。
ビリー・ライト、17才です。
1.Billy’s Boogie Blues/Billy Wright
典型的なパワフルなジャンプ・ブルーズシンガーです。声が若いです。
17才でこんなゴージャスなオーケストラをバックに朗々と歌うのですから大したものです。1952年にはニューヨークの黒人音楽の殿堂アポロシアターにも出演しています。だからあっと言う間に全国区的なスターになったんでしょうね。それでトップテンに入った曲が4曲あるのですが、そのうちの三曲がスロー・ブルーズです。つまり充分に聴かせる歌手でもあったということだと思います。
その一曲を聴いてみましょう。
2.Stacked Deck/Billy Wright staékt
彼はソングライターでもあり、いまの曲も彼の自作のものです。
実はリトル・リチャードは同性愛者だったのですが、このビリー・ライトもそうだったようです。顔のメイクもばっちりしていたそうですし、着ているステージ衣装も最初はスーツ着てるんですが、派手なスーツにスカーフしたりしてます。リトル・リチャードのリーゼントのヘアースタイルもビリー・ライトのマネだそうで、リチャードがデビューする時にはライトは先輩として手を貸したようです。ライヴも一緒にやっていたようです。
そのリトル・リチャードは50年代半ばにR&Rで大スターになるのですが、次のビリー・ライトの曲を聴いているとR&Rに流れて行く感じがわかります。もうそこまでR&Rは来てるジャンプ・ブルーズです。
1950年ビリー・ライト自身が書いた曲です。
3.After Dark Blues/Billy Wright
小出斉くんが書いた「ブルースCDガイドブック」という本を読むと、いまの曲はニューオリンズのプロフェッサー・ロングヘアの”In The Night”の元歌と書いてありました。実は僕が自分のバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」の新しいアルバム”Blues Before Sunrise”にその”In The Night”を録音したのですが、リズムとメロディはそんなにも似てないのですが、よく聴くと歌詞がほとんどいっしょですね。In The DarkっていうところをIn The Nightにしたんですね。
次も彼の自作の曲なんですが、曲のタイトルがLive The Life
「一晩中遊んで、昼間ずっと寝て、子供のように遊んで人生を楽しもう。お互いに干渉しないで自分が好きな自分の人生を死ぬまで楽しもうや」
4.Live The Life/Billy Wright
1954年まではサボォイレコードからコンスタントにリリースしていたのですが、55年にこれも黒人のレーベルとして有名なピーコック・レコードに移籍し、そのあたりからリリースが減って59年で彼のレコーディング・データは終わっています。結局、リトル・リチャードのように白人のマーケットでも売れるということもなく、たぶん黒人サークルをずっとまわりながらレコードを出していたのだと思います。そう考えるとB.B.キングなんかが白人にも認められたいと思っていた気持ちが理解できます。長く音楽を続けるには白人にも認知されてレコードが売れないと黒人マーケットだけでは苦しいということです。
70年代に入ってからはショーのMCなんかをしてたらしいのですが、70年代中頃からはショービジネスのシーンからは消えてしまったようです。でも、亡くなったのが1992年ですから消えてから亡くなるまで彼は何をしていたのでしょう。気になるところです。
最後に困った歌ですが、独身の女はあんまり好きやないねん、やっばり結婚している女が好きだという・・いまの時代ヒンシュクの歌ですが・・どうでしょう。
5,Married Woman’s Boogie/Billy Wright

アトランタで生まれてアトランタで51才で亡くなったビリー・ライトですが、彼の影響を受けたリトル・リチャード、ジェイムズ・ブラウン、オーティス・レディングたちに与えた影響は大きかった歌手です。