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2020.06.05 ON AIR

永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード曲集 vol.20

ブルーズ・ロック編ー1

The Paul Butterfield Blues Band(ELEKTRA/ASYLUM/WEA 18P2-2696)

The Paul Butterfield Blues Band(ELEKTRA/ASYLUM/WEA 18P2-2696)

Canned Heat/Hallelujah&CookBook(BGOCD578)

Canned Heat/Hallelujah&CookBook(BGOCD578)

John Mayall & The Blues Breakers/Blues Breakers With Eric Clapton(LONDON 800 086-2)

John Mayall & The Blues Breakers/Blues Breakers With Eric Clapton(LONDON 800 086-2)

Fleetwood Mac/The pious Bird Of Good Omen (Epic ESCA-7826)

Fleetwood Mac/The pious Bird Of Good Omen (Epic ESCA-7826)

The Jimi Hendrix Experience/Are You Experience (MCA MVCE-24027)

The Jimi Hendrix Experience/Are You Experience (MCA MVCE-24027)

 

ON AIR LIST
1.Born In Chicago/The Paul Butterfield Blues Band
2.Going Up The Country/Canned Heat
3.All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
5.Red House/The Jimi Hendrix Experience

不連続でやっているブルーズ・スタンダード曲集ですが、今日はブルーズロックつまり白人ブルーズの曲でいいものを聴いてみようと思ってます。白人ブルーズは昔はそのままホワイト・ブルースとも呼ばれてましたが、いまはブルーズロックという大きなジャンルに入れていいかなと思います。曲としてこれからも残っていくブルーズロックの曲を選びました。
白人のブルーズバンドと言えば僕にとってはポール・バターフィールド・ブルーズバンド。その前にアニマルズなんかもいましたが、ブルーズに特化したという意味でまずはポール・バターフィールド・ブルーズバンドでしょう。歌とハーモニカがポール・バターフィールド、ギターがマイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップ、キーボードがマーク・ナフタリン、ベースがジェローム・アーノルド、ドラムがサム・レイ。
1965年にリリースされたデビュー・アルバム”The Paul Butterfield Blues Band”の1曲目で曲を書いたのはニック・グレイヴナイツ。彼はジャニス・ジョップリンにも曲を提供してたし、マイク・ブルームフィールドと立ち上げたエレクトリック・フラッグのメンバーでもありました。「シカゴに生まれて」というタイトルですが、「1941年にオレはシカゴに生まれた。親父にオマエもそろそろ拳銃を持った方がいいぞと言われた。友達も死んでしまってこの町もずいぶんと変ってしまった」
僕はこれを聴いてシカゴは相当ヤバい街なんだろうなと、アメリカに行ったこともないのに思ってました。
1.Born In Chicago/The Paul Butterfield Blues Band
瑞々しいパワーに溢れてます。当時ポール・バターフィールドもマイク・ブルームフィールドも22,23才くらいです。このアルバムはほとんどブルーズのカバーが収録されているのですが、若かった彼らのブルーズに対する真摯な気持ちがすごく感じられるいいアルバムです。それともうひとつベースのジェローム・アーノルド、ドラムのサム・レイは黒人でこのバンドの前までハウリン・ウルフのバンドのメンバーだったんですが、リズムセクションに黒人のこのふたりを入れたところがこのバンドの要です。
では、シカゴのポール・バターフィールド・ブルーズバンドと並んで60年代のアメリカの白人ブルーズバンドとして必ず名前が上がる「キャンド・ヒート」キャンド・ヒートはウエストコーストのバンドでバンド名のキャンド・ヒートは1920年代のブルーズマン、トミー・ジョンソンの曲名から取ったもの。結成は1965年ですからポール・バターフィールド・ブルーズバンドとほぼ同じ頃です。でも、ポール・バターフィールド・ブルーズバンドがエレクトリック・シカゴ・ブルーズを目指していたのに比べると、キャンド・ヒートは戦前の古いカントリー・ブルーズなんかも取り上げるセンスがありました。中心メンバーのヴォーカルのボブ・ハイトとハーモニカやスライドギターをこなすアル・ウィルソンは黒人ブルーズのレコード・コレクターでもう根っからのブルーズ・フリーク。ジョン・リー・フッカーとのコラボアルバムを作ったり、アルバート・コリンズのレコーディングに尽力した人たちでもあります。聴いてもらうのは映画「ウッド・ストック」でも流れていましたが、アル・ウィルソンがファルセットで歌う彼の自作の曲。
2.Going Up The Country/Canned Heat
いわゆるブルーズロックのバンドとはひと味ちがうセンスがあって僕は好きでした。バンドはやはり60年代のウエストコーストなので彼らのファッションやアルバムジャケットにはヒッピー、サイケデリック・カルチャーのムードがあって面白いです。
この時代のイギリスの白人ブルーズバンドと言えば、ジョン・メイオール・ブルースブレイカーズになるのですが、ジョン・メイオールはいいオリジナル曲がないのです。いい演奏はいろいろあるのですが・・・。
それでやはりエリック・クラプトンが在籍していた頃の名盤「Blues Breakers With Eric Clapton」の一曲目のオーティス・ラッシュのカバー曲にします。この曲のイントロのインパクトはやはり忘れられないものです。
3.All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers
とにかくクラプトンのギターがいいです。1966年リリース、エリック・クラプトン21才のギター・プレイ。やはり当時これくらい弾けるギタリストはイギリスにはいなかっただろうと思っていたら、もうひとつすごい奴がいて・・「フリートウッドマック」のピーター・グリーン。
彼はクラプトンがブルースブレイカーズをやめた後のギタリストなんですが、僕はクラプトンより好きでした。結成は67年、ピーター・グリーン(ギター)とミック・フリートウッド(ドラム)、ボブ・ブランニング(ベース)、ジェレミー・スペンサー(ギター)の4人で活動を開始する。途中からベースがジョン・マクヴィーに代わって、その後もうひとりギターのダニー・カーワンが入ってギター3人のバンドになりました。
「アルバトロス」という大ヒットしたオリジナルもあるのですが、ブルーズという位置で聞くとこっちのオリジナルでしょう。
1968年フリートウッド・マックの二枚目のシングルだったこの曲はサンタナのオリジナルだと思っている人も多いのですが、実はフリートウッド・マック
4.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
70年代半ばくらいにメンバーもだいぶ変って急にソフトロック路線のバンドになった時はびっくりしましたが、それ以降は僕はこのバンドを聴いていません。でも、それ以後のフリートウッド・マックの方が有名です。
まだまだブルーズロックのスタンダードに選びたい曲はあるのですが、とりあえず今日は次のジミ・ヘンドリックスまで。ジミ・ヘンはブルーズルーツの曲が多いので選びたい曲がいろいろあるのですが、初期の曲でブルーズのスタイルをもった曲で、アルバム”Are You Experience”に収録されているこの曲を選びました。ジミ・ヘンはアメリカン・アフリカンなのですが、イギリスでデビューしたのでしかもサウンドがロックテイストなのでブルーズロックに入れています。1967年UKのアルバムチャート2位まで上がったアルバム”Are You Experience”から
5.Red House/The Jimi Hendrix Experience
やっぱりなんかものが違いますよね。ムンムンとしてます。やはり黒人のテイストなんです。クラプトンもピーター・グリーンもマイク・ブルームフィールドもギター上手いんですが、ジミ・ヘンドリックスはその上を行ってる感じがします。
また、ブルーズロックのスタンダード特集やります!

2020.05.29 ON AIR

ロックンロールの王様、リトル・リチャードのアイドルだったブルーズの王子様、ビリー・ライト!

Billy Wright/The Prince Of The Blues (Route66 KIX-13) LP

ON AIR LIST
1.Billy’s Boogie Blues/Billy Wright
2.Stacked Deck/Billy Wright
3.After Dark Blues/Billy Wright
4.Live The Life/Billy Wright
5,Married Woman’s Boogie/Billy Wright

今年の年初め1月のON AIRでR&Rのキングのひとり、リトル・リチャードを確か三週連続でON AIRした時に彼が若い頃に目指した歌手がビリー・ライトだと言いましたが、そのビリー・ライトのLPレコードをゲットしましたので今日はターンテーブルを回してみなさんに聴いてもらいます。
アルバム・タイトルがThe Prince Of The Blues・・ブルーズの王子様ですが、彼はデビューした頃そう呼ばれていたそうです。
出身はジョージア州アトランタ、1932年生まれ。リトル・リチャードもジェイムズ・ブラウンもオーティス・レディングも同じアトランタ出身で全員、このビリー・ライトが歌手としてのアイドルだったそうです。
リトル・リチャードもジェイムズ・ブラウンもオーティス・レディングもアイドルにしていた歌手ってすごい気になります。
ちなみにリトル・リチャードは憧れていたビリー・ライトと同じ年なんですが、ビリーの方がデビューが早かったんですね
彼は普通の黒人の若者と同じように教会で歌いながらもブルーズが大好きという少年でした。彼が若い頃に流行し始めたのがジャンプ・ブルーズで彼の最初の大きなステージもジャンプ・ブルーズのワイノニー・ハリスのオープニング・アクトだったそうです。その彼の才能に目をつけたのが黒人のレコード会社として有名な「サヴォイ・レコード」で、1949年に彼は”Blues For My Baby”という曲でデビューします。それがあっと言う間にR&Bチャートの3位に入るという快挙。
残念ながらそのデビュー曲は今日のアルバムには入ってないので、同じ49年にリリースされている曲を聴いてみましょう。
ビリー・ライト、17才です。
1.Billy’s Boogie Blues/Billy Wright
典型的なパワフルなジャンプ・ブルーズシンガーです。声が若いです。
17才でこんなゴージャスなオーケストラをバックに朗々と歌うのですから大したものです。1952年にはニューヨークの黒人音楽の殿堂アポロシアターにも出演しています。だからあっと言う間に全国区的なスターになったんでしょうね。それでトップテンに入った曲が4曲あるのですが、そのうちの三曲がスロー・ブルーズです。つまり充分に聴かせる歌手でもあったということだと思います。
その一曲を聴いてみましょう。
2.Stacked Deck/Billy Wright staékt
彼はソングライターでもあり、いまの曲も彼の自作のものです。
実はリトル・リチャードは同性愛者だったのですが、このビリー・ライトもそうだったようです。顔のメイクもばっちりしていたそうですし、着ているステージ衣装も最初はスーツ着てるんですが、派手なスーツにスカーフしたりしてます。リトル・リチャードのリーゼントのヘアースタイルもビリー・ライトのマネだそうで、リチャードがデビューする時にはライトは先輩として手を貸したようです。ライヴも一緒にやっていたようです。
そのリトル・リチャードは50年代半ばにR&Rで大スターになるのですが、次のビリー・ライトの曲を聴いているとR&Rに流れて行く感じがわかります。もうそこまでR&Rは来てるジャンプ・ブルーズです。
1950年ビリー・ライト自身が書いた曲です。
3.After Dark Blues/Billy Wright
小出斉くんが書いた「ブルースCDガイドブック」という本を読むと、いまの曲はニューオリンズのプロフェッサー・ロングヘアの”In The Night”の元歌と書いてありました。実は僕が自分のバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」の新しいアルバム”Blues Before Sunrise”にその”In The Night”を録音したのですが、リズムとメロディはそんなにも似てないのですが、よく聴くと歌詞がほとんどいっしょですね。In The DarkっていうところをIn The Nightにしたんですね。
次も彼の自作の曲なんですが、曲のタイトルがLive The Life
「一晩中遊んで、昼間ずっと寝て、子供のように遊んで人生を楽しもう。お互いに干渉しないで自分が好きな自分の人生を死ぬまで楽しもうや」
4.Live The Life/Billy Wright
1954年まではサボォイレコードからコンスタントにリリースしていたのですが、55年にこれも黒人のレーベルとして有名なピーコック・レコードに移籍し、そのあたりからリリースが減って59年で彼のレコーディング・データは終わっています。結局、リトル・リチャードのように白人のマーケットでも売れるということもなく、たぶん黒人サークルをずっとまわりながらレコードを出していたのだと思います。そう考えるとB.B.キングなんかが白人にも認められたいと思っていた気持ちが理解できます。長く音楽を続けるには白人にも認知されてレコードが売れないと黒人マーケットだけでは苦しいということです。
70年代に入ってからはショーのMCなんかをしてたらしいのですが、70年代中頃からはショービジネスのシーンからは消えてしまったようです。でも、亡くなったのが1992年ですから消えてから亡くなるまで彼は何をしていたのでしょう。気になるところです。
最後に困った歌ですが、独身の女はあんまり好きやないねん、やっばり結婚している女が好きだという・・いまの時代ヒンシュクの歌ですが・・どうでしょう。
5,Married Woman’s Boogie/Billy Wright

アトランタで生まれてアトランタで51才で亡くなったビリー・ライトですが、彼の影響を受けたリトル・リチャード、ジェイムズ・ブラウン、オーティス・レディングたちに与えた影響は大きかった歌手です。

2020.05.22 ON AIR

永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード曲集 Vol.19

戦後エレクトリック・シカゴブルーズ-3

Moanin’ In The Moonlight/Howlin’ Wolf (Chess/MCA VICTOR MVCM-22004)

Moanin’ In The Moonlight/Howlin’ Wolf (Chess/MCA VICTOR MVCM-22004)

THE REAL FOLK BLUES/Howlin’ Wolf (Chess/MCA VICTOR MVCM-22019)

THE REAL FOLK BLUES/Howlin’ Wolf (Chess/MCA VICTOR MVCM-22019)

ON AIR LIST
1. Red Rooster/Howlin’ Wolf
2.Spoonful/Howlin’ Wolf
3.Killing Floor/Howlin’ Wolf
4.Sitting On Top Of The World/Howlin’ Wolf
5.Back Door Man/Howlin’ Wolf

今日はエレクトリック・シカゴブルーズのスタンダード曲の三回目。前回は有名曲、ヒット曲が多いリトル・ウォルターだけで終わってしまったのですが、今日のハウリン・ウルフもウルフだけでいい曲がたくさんあるのでウルフだけです。
ウルフはシカゴに来る前にメンフィスで活躍していたのでメンフィス録音にもいい曲があるのですが、今日はシカゴ録音の中だけで選曲してみます。

僕が最初にハウリン・ウルフを聞いたのは、1970年に日本ビクターからシカゴ・ブルーズのコンピレーション・アルバムで「シカゴブルース・ゴールデンパッケージ」というのがリリースされていて、そのアルバムにはマディ・ウォーターズ、サニーボーイ・ウィリアムスン、エルモア・ジェイムズなどシカゴのチェスレコードで録音したブルーズマンたちの曲が入ってました。
その中で歌声にまず圧倒されたのがハウリン・ウルフでした。
1. Red Rooster/Howlin’ Wolf
圧倒的なウルフの声にのけぞってしまいますが、バックのサウンドとリズムのグルーヴも素晴らしいこの曲。
歌詞は「オレの赤い雄鶏が怠け者で庭を荒らしてばかりいる。どっかへ行ってしまって帰ってこないけど見つけたら連れて来て欲しい、あいつはめんどうばかり起こすんだ」
R&Bではサム・クック、ロックではローリング・ストーンズがカバーしたブルーズのスタンダード”Red Rooster”です

ウルフは1964年にストーンズが出ているイギリスのテレビ番組に出たり、イギリスのミュージシャンと作ったロンドンセッションというアルバムもあり、イギリスでは大人気でした。次の”Spoonful”もイギリスのクリームがWheels of Fireという二枚組のアルバムでライヴ録音していますが、クリーム・ファンには悪いけど断然このウルフのオリジナルの方がいいです。
ドラムがサム・レイ、ベースがウィリー・ディクソン、ピアノ、ジョニー・ジョーンズ、ギターがジミー・ロジャースとウルフの右腕だったヒューバート・サムリンという鉄壁のウルフのメンバーでの1961年録音
「スプーン一杯のダイヤ、スプーン一杯の金、でもオレの心はスプーン一杯のオマエの大切な愛で満足だよ。金やダイヤでウソをついたり、死んだり、泣いたり、喧嘩の元になるスプーン一杯のことで」
2.Spoonful/Howlin’ Wolf
本名がチェスター・アーサー・バーネットといういい名前なのに一生「吠える狼」ハウリン・ウルフという名前で黒人たちに愛されたブルーズマン。体も歌声も大きくてしかも心も大きい人で仲間のミュージシャンにも慕われました。あまり悪い噂とか話が残っていない人です。そして、ウルフのブルーズを聞いていると歌が上手いとか楽器が上手いとかそいう次元ではない、人間そのものがその人のブルーズだということ感じます。

女性とモメているブルーズは山ほどあるんですが、次のこの歌に同感する男性も多いと思います。でも反対に人称を変えると同感する女性も多いと思います。
「あんな女、早く別れておけばよかった。別れてメキシコへでも行けばよかった。最初にそう思ったんやけどな。別れられんとつき合ってしまっていまや修羅場や。ああ、早く別れておけばよかった」
3.Killing Floor/Howlin’ Wolf
Killing Floorはモンタレー・ポップフェスのライヴ盤でジミ・ヘンドリックスがカバーしています。
すごく印象に残るギターのリフです。ウルフの右腕として生涯ウルフにつき合ったヒューバート・サムリンは決して器用なギタリストではないんですが、すごく印象に残るこういうギターを弾く素晴らしいギタリストです。
次の曲もクリームがカバーしていますが、本当にイギリスのロックミュージシャンに人気のハウリン・ウルフです。元々は「ミシシッピー・シークス」という1930年代に活躍した4人組のグループですごい人気でたくさんの曲を録音しました。
「ある夏の日に彼女は行ってしまった。でも大丈夫、オレは世界のてっぺんに座っているから、そんな気分やから大丈夫や。夏も秋もクリスマスの時期もオレはずっと働き続けたけど、彼女は行ってしまった。でも、大丈夫、オレは世界のてっぺんに座っているから、最高の気分」
なんかすごく男のやせがまんみたいに聴こえるブルーズですが、僕はこの曲すごく好きです。
4.Sitting On Top Of The World/Howlin’ Wolf
いまの曲、調べたらグレートフル・デッド、ナット・キング・コール、フランク・シナトラもカバーしてます。今日はハウリン・ウルフで終わってしまいますが、次の歌はいかにもブルーズらしい曲でどうしてもこのブルーズ・スタンダードに入れたいと思います。
「オレはバックドアマン(間男)、男たちは知らんやろけど、女たちは知ってるよオレのこと。みんなが寝ようとしている頃に夜ばいして、にわとりの鳴き声がしたらさよなら」
バックドアは裏口で裏口のドアからわからんように入ってきて女性とええことしてまた裏口から帰っていくというまさに間男のブルーズ。
5.Back Door Man/Howlin’ Wolf

今日はハウリン・ウルフのブルーズらしいブルーズの曲ばかりでした。ブルーズスタンダード曲集の16回目 シカゴエレクトリック・ブルーズの三回目、今日はハウリン・ウルフの名曲でした。

2020.05.15 ON AIR

永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード曲集 vol.18
フォーク・ブルーズ編

AMERICAN FOLK & BLUES ANTHOLOGY/LEADBELLY (NOT NOT3CD111)

AMERICAN FOLK & BLUES ANTHOLOGY/LEADBELLY (NOT NOT3CD111)

FRISCO BOUND/Jesse Fuller (ARHOOLIE CD-360)

FRISCO BOUND/Jesse Fuller (ARHOOLIE CD-360)

The Best Of Mississippi John Hurt/Mississippi John Hurt (Vanguard VCD-19/20)

The Best Of Mississippi John Hurt/Mississippi John Hurt (Vanguard VCD-19/20)

ON AIR LIST
1.Midnight Special/Leadbelly
2.Cotton Field/Leadbelly
3.Good Night Irene/Leadbelly
4.San Francisco Bay Blues/Jesse Fuller
5.Coffee Blues/Mississippi John Hurt

今回は「フォーク・ブルーズ」のスタンダード曲
「フォーク・ブルーズ」というのは、僕の中では50年代から60年代の白人のフォーク・ブームの時代に、弾き語りの黒人ブルーズマンが白人のフォークソングと同じような感覚で受け入れられ人気になった頃のブルーズを指しています。
50年代、ボブ・ディランなんかもそうですが、アメリカの民族音楽を過去にさかのぼって歌った人たちがいます。そういうミュージシャンたちは白人のカントリー&ウエスタンと一緒に社会的に弱者であった黒人のブルーズ、ラグタイムなどとくに戦前のアコースティック・ギターの弾き語りの黒人音楽に興味を抱いたようです。
最初に聴いてもらうレッド・ベリーの曲は白人シンガーにも広く取り上げられました。
レッド・ベリーは19世紀後半の生まれですが、生年月日がはっきりしません。生まれたのはルイジアナの農場ですが、若い頃はルイジアナとテキサスあたりのストリートで演奏してました。時には売春や賭博が盛んなヤバい場所で演奏することもあり、気の短い性格からもめ事も多かったのか殺人や殺人未遂で3,4回刑務所で服役しています。最初に聴いてもらう曲も刑務所で作った曲でロックバンドのCCRのカバーでも有名になった曲です。
「朝からろくな食べ物ももらえない刑務所で朝から仕事が始まる。でも、文句は言わない方がいいよ、いろいろとトラブルになるから。Let the midnight special Shine a light on meですから「ミッドナイトスペシャル、ライトで私を照らしてくれ」というサビの部分は、ミッドナイトスペシャルというのは刑務所の近くを夜中に走る急行列車のことで、その列車のライトが刑務所を照らすのですがそのライトを浴びたものは刑務所から出られるという噂というか迷信が囚人たちの間にあったそうです。だからオレを照らしてくれと。それでヒューストンあたりにいるんだったらギャンブルでもめ事を起こさない方がいいよ、喧嘩なんかしたら刑務所行きだからね」という歌です
1.Midnight Special/Leadbelly

中学生の頃に次の歌をニュークリスティ・ミンストレルスという白人のフォーク・グループのカバーで初めて聴きました。シングルレコードも持っていますが、高校生の頃に今度はさっきも言ったロックバンドのCCRがカバーしているのも好きになりました。
ブルーズ・テイストがあるかと言われればあまりないのですが、いわゆる民衆の歌としてフォークとブルーズが一緒に取り上げられた時代の代表的な曲として今回選びました。
2.Cotton Field/Leadbelly

1886年にガッシー・ディヴィスという人が歌ったのが最初と言われている曲をレッドベリーがカバーして、それをまた白人のフォークシンガーたちが歌って有名になった曲です。
少し前にストーンズのキース・リチャーズのソロアルバム”Crosseyed Heart”にも収録されていました。
3.Good Night Irene/Leadbelly
レッドベリーは主に12弦ギターを弾きながら歌いましたが、次のジェッシー・フラーも12弦ギターです。ブルーズのギター名人、ロバート.Jr.ロックウッドもよく12弦ギターを弾いてましたが、戦前の黒人の弾き語りブルーズマンには12弦ギターを使う人が多くいます。12弦の音の響きも好きなんでしようが、大きな音が出るということもうるさい酒場とかストリートで演奏するには役立った楽器だったのでしょう。
ジェッシー・フラーはギターだけでなく、歌、ハーモニカ、カズーそれに自分で作ったフットデラという楽器をひとつりであやつるいわゆるワンマンバンドで、YouTubeで一回見て欲しいんですがめちゃおもろいです。
そのジェシー・フラーのこの曲もフォーク・ブルーズの名曲「愛していた女性が船に乗って行ってしまいサンフランシスコ湾(ベイ)にひとり残されて泣きたい気分だよ」という歌。
1974年にシンガー・ソングライターのフィービー・スノウがリリースしたデビューアルバムがこのタイトルでした。もちろんこの曲も歌っているのですが、白人のフォーク好きな人たちなら必ず知っている鉄板の名曲です。
4.San Francisco Bay Blues/Jesse Fuller
1991年にアンプラグドのライヴをやったポール・マッカートニーがカバーしていました。

フォーク・ブルーズで忘れてはいけないのがミシシッピー・ジョン・ハート。1893年にミシシッピーに生まれたジョン・ハートは多くの黒人と同じように幼い頃から農園で働いてました。9才の時に母親に買ってもらったギターに夢中になり、独自の「スリーフィンガー・ピッキング」を修得し10代にはストリートで演奏するようになってました。34才の時に一緒にやっていたフィドルプレイヤーのウィリー・ナムールがオーケーレコードでレコーディングした際に、彼がジョン・ハートのレコーディングをレコード会社に薦めてくれて録音したもののまったく売れず、彼は故郷に戻ってしまいます。それでずっと地元で農作業をしながら夜の酒場やパーティなんかで歌っていたところ、1963年70才になった頃にハートを探していた民俗学者のトム・ホスキンズという男が訪ねてきてハートは多くの人前に出ることになります。トムはレコードで聞いていた伝説のジョン・ハートを探し続けていたのです。
5.Coffee Blues/Mississippi John Hurt
彼はブルーズマンではないという人もいます。フォーク・シンガーと呼んだ方がいいのかも知れない。実際彼のレパートリーは昔から伝えられてきたカントリー・ソングやフォーク、例えばYou Are My SunShineのようなポピュラーな曲まで入っています。もちろんブルースもあるのですが、聞いてもらったように彼の表現がきれいなギターワークに深みのある暖かい声の歌でブルーズ的な要素よりもカントリー、フォークの要素の方が強いです。でも、ブルーズを聞いているとこういう音楽にも出会うわけで一曲選んでみました。

2020.05.08 ON AIR

永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード曲集vol.17
ブルーズン・ソウル編-1

We're Gonna Make It/Little Milton(Chess/Checker MCA MVCM22024)

We’re Gonna Make It/Little Milton(Chess/Checker MCA MVCM22024)

Walking The Backstreets And Crying/Little Milton(Stax SCD 8514-2)

Walking The Backstreets And Crying/Little Milton(Stax SCD 8514-2)

RAW BLUES/Johnnie Taylor (Stax/P-Vine PCD-4473)

RAW BLUES/Johnnie Taylor (Stax/P-Vine PCD-4473)

Little BlueBird/Johnnie Taylor (Stax SCD 8558-2)

Little BlueBird/Johnnie Taylor (Stax SCD 8558-2)

ON AIR LIST
1.We’re Gonna Make It/Little Milton
2.Walking The Backstreets And Crying/Little Milton
3.Hello Sundown/Johnnie Taylor
4.Part Time Love/Little Johnnie Taylor
5.The Blues Is Alright/Little Milton

50年代シカゴ・ブルーズがエレクトリック化されマディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、サニーボーイ・ウィリアムスンなどやがて海外でも知られるブルーズマンが登場する。その後ブルーズからロックンロールとR&Bが生まれ、60年代のソウル・ミュージックの誕生へと繋がって行く。そのソウルの時代にブルーズとソウルの両方のテイストを持った音楽が生まれ「ブルーズ&ソウル」「ブルーズン・ソウル」と呼ぶようになった。そのブルーズン・ソウルの息吹はこのリトル・ミルトンの1965年の大ヒットあたりから始まった。人種差別の撤廃や黒人公民権運動が激しく動き出した時代だ。「家賃が払えんかも知れんし、毎日豆ばかり食べなあかんかもしれん、仕事が見つからなくて失業手当の窓口に立たなあかんかも知れん、でも、私たちは愛し合えばやっていけるよ」前向きな歌詞だけど、ある意味あまりに楽観的やないかと思える歌詞でもありますが、これがR&Bチャート1位になりました。いろんな政治的、社会的な動きの中で黒人たちは前向きに自分たちを主張してがんばって生きたいと表明したこの曲を支持したわけです。
1965年R&Bチャート1位
1.We’re Gonna Make It/Little Milton
豪快な歌いっぷりで気持ちいいです。日本にも三回くらい来てくれましたが素晴らしいブルーズシンガーでした。
いまの曲がブルーズかと言われれば、確かにメロディ、コードなどはR&Bと呼んだ方がいいと思うのですが、歌詞の内容がやはり報われない黒人たちの生活を表してして「私達の部屋は寒くて、私達の車は古くなってしまうかも」と歌詞が続きます。つつましい日常の生活にも困る様子が描かれていて、それはやはりブルーズと呼ぶものだと思います。でも、そこで打ちひしがれているだけでなくWe’re Gonna Make It(私達はやっていける)と歌ったところに60年代のソウルの前向きな気持ちが入ってます。だからブルーズン・ソウルと呼ぶのもわかります。ブルーズン・ソウルの初期の名曲です。
実は現在でも多くの黒人やカラードの人たちがこの60年代と同じところで苦しんでいるのは、みなさんご存知だと思います。
いまのはチェスレコードからリリースされた曲ですが、リトル・ミルトンはチェスのあとにメンフィスのスタックス・レコードに移ります。
別れを告げられて裏通りを歩きながら泣いているという歌
2.Walking The Backstreets And Crying/Little Milton
6分30秒くらいある長い曲なんですが、ここでもギターではなく歌で押して行くブルーズ・シンガー、リトル・ミルトンの真骨頂があります。

次のジョニー・テイラーもスタックスレコードで花開いたブルーズン・ソウルのシンガーですが、元々はゴスペルを歌っていてサム・クックの影響を受けサムのレーベルでも録音していました。彼は楽器をやらないシンガーなので日本のブルーズ好きな人たちでもあまり話にでませんが、黒人音楽ではブルーズのヒットもソウルのヒットも持つ超一級のシンガーです
この曲はチャートを上がって売れた曲ではないのですが、僕はブルーズん・ソウルの名曲だと思います。
この曲は不倫の歌です。
タイトルはHello Sundownですから「こんにちは夕暮れ、君に会えて嬉しいよ。君が現れるまで長い時間待っていた」と始まるこの歌は、陽が落ちて夜になると旦那がいる彼女と密会できるという不倫ソングです。こういう不倫の歌がブルーズだけでなく、ソウルにもたくさんあります。3.Hello Sundown/Johnny Taylor
ジョニー・テイラーは”Who’s Makin’ Love”というソウルのヒットで一躍知られるようになったのですが、それも「あんたが外で浮気している間にあんたの嫁はんも誰かとええことしてまっせ」という歌で、そういうのがチャートにあがるところがすごい国です、アメリカは。”Who’s Makin’ Love”はソウルの曲という認識なのでここではブルーズスタンダードには入れません。
次の曲も不倫ソングですが、タイトルがパートタイムラブです。
朝帰りしてきた彼女にどこへ行ってたんやと聴いたら、なんも訊かんといてもう一回出てくから。オレは彼女の欲しいものをなんでもあげた。できる限りのことはした。もうオレも束の間の愛を見つけよ。
4.Part Time Love/Little Johnny Taylor
では最後に僕もよく歌っていますが、ブルーズなんですが前向きな曲です。
「彼女にふられて彼女にブルーズをもらったけどオレかて新しい恋人を見つけるで、大丈夫や」
リトル・ミルトンが80年代ミシシッピーのマラコレコードから出したヒットです。ブルースはまだ死んでないというマラコレコードが宣言したような素晴らしいブルーズです。
”Hey,Hey,The Blues Is Alright!”
5.The Blues Is Alright/Little Milton