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2022.12.16 ON AIR

「ニューオリンズR&Bを作った男 ヒューイ・ピアノ・スミス伝」の出版を記念して偉大なピアニストでありソングライター、ヒューイ・ピアノ・スミスを聴く


☆「ニューオリンズR&Bを作った男 ヒューイ・ピアノ・スミス伝」(ジョン・ワート著 陶守正寛訳 発行/DU BOOKS 発売/ディスクユニオン)
☆Best New Orleans Masters/Huey “Piano”Smith (PVCP-8111)

ON AIR LIST
1.Rockin’ Pneumonia And The Boogie Woogie Flu Pt.1 & 2/Huey “Piano” Smith
2.Blow Wind Blow/Huey “Piano” Smith && The Clowns
3.Sea Cruise/Huey “Piano” Smith & The Clowns
4.Don’t You Just Know It/Huey “Piano” Smith & The Clowns
5.Dearest Darling/Huey “Piano” Smith & The Clowns

ニューオリンズ・ミュージックにとても詳しい音楽ライターの陶守正寛(スモリマサヒロ)さんが、ニューオリンズの偉大なピアニストでありソングライターでもあるヒューイ・ピアノ・スミスの伝記本を翻訳され上梓されました。本のタイトルはで発行元はDU BOOKS 発売元はディスクユニオンです。この本を書いたのはアメリカ、ルイジアナに住んでいるジョン・ワートという音楽ライターの方で、この方が書いた原書を読んだ陶守さんが日本訳で出したいと彼に直接交渉し長い時間をかけてこの度出版となりました。
400ページを越えるなかなか読み応えのある本でヒューイ・ピアノ・スミスというミュージシャンやニューオリンズの音楽のことだけでなく、黒人音楽のショービジネス界の金銭的なことや権利関係などショー・ビジネスの裏側も知ることができる充実の本です。
中身はみなさんに読んでいただくとしてまずはヒューイ・ピアノ・スミスを一曲聞いてください。洋楽を好きな方、特に50,60年代のR&Bが好きな方ならどこかで耳にしたことのあるこの曲からどうぞ!
Pneumonia(ニュモーニア)は病気の肺炎のことでFlu(フルー)はインフルエンザのこと。
「若い奴らのリズムに俺もトリコになってしもた。ロッキンの肺炎とブギウギのインフルエンザやにかかったしもたで」
すごくファンキーな曲です。

1.Rockin’ Pneumonia And The Boogie Woogie Flu Pt.1 & 2/Huey “Piano” Smith

陶守さんが本のあとがきでヒューイ・ピアノ・スミスの音楽を知るきっかけがドクター・ジョンの1971年リリースのアルバム「ガンボ」だったと書いてますが、僕も全く一緒であの「ガンボ」のアルバムが最初にヒューイ・ピアノ・スミスはじめニューオリンズの音楽を知るきっかけでした。でも70年代初期にヒューイ・ピアノ・スミスのレコードを売っているレコード店が周りになかった。だからずっと名前だけ知ってるけど聞いたことのないミュージシャンでした。ちゃんとアルバムを聴いたのは70年代の終わり頃だったかも知れません。
そのドクター・ジョンが名盤「ガンボ」でカバーしてるヒューイの一曲が次の曲。
「風よ吹け吹け、最後の裁きの日まで、風よ吹け吹け私の悩みを吹き飛ばしてくれ」ヴォーカルはジュニア・ゴードン

2.Blow Wind Blow/Huey “Piano” Smith

大好きな曲です。

次は1959年にヒューイが自分のバンド「クラウンズ」の為にレコーディングをしていた曲から発売元のエースレコードがヒューイの歌を外して白人のロックンロール・シンガー、フランキー・フォードの歌をダビングして発売し、それがポップ・チャートで14位、R&Bチャートで11位の大ヒットになりました。本人に断りなしにそういうことをやるレコード会社は本当にひどいですが、ヒューイにお金もまともに支払ってないことは更にひどいです。そういう不当な扱いを受けていたヒューイが裁判を起こして権利を主張する話がこの本にでてきます。
今日はもちろんヒューイのオリジナルで聴いてもらいます。

3.Sea Cruise/Huey “Piano” Smith & The Clowns

素晴らしくスピード感のがあり、コーラス含めアレンジも含め本当に素晴らしい。この曲はのちにジャマイカのスカという音楽にも影響を与えたR&B史上大切な曲です。

次はヒューイが作った最高のパーティ・ソングです。日本でテレビ・コマーシャルに使われていたので知っている方もいるかと思います。これを聴いて一緒に歌ったら大抵の嫌なことは忘れます。これもR&Bの名曲です。
最初は「オレは物を大切にするんだ。知ってる?両方の足に左足の靴を履いてるんだ」と奇妙な歌詞から始まるんですが、途中から「オレが押して欲しい時にお前は押してくれる。わかるかな?おばはんは焦らして来るけど若い女はぎゅっと搾りとってくる。わかるかな?」とセクシャルな歌詞になります。最高の歌詞です。

4.Don’t You Just Know It/Huey “Piano” Smith & The Clowns

なんか嫌なことがあったらこの歌を思い出して「あっはっはっは」って歌ってください。

ヒューイ・ピアノ・スミスは歌は上手くないと思っていたらしく、いつも自分のバンド「クラウンズ」にはヴォーカリストを入れていました。何人かいたのですが一番有名なのがボビー・マーシャンです。

ファッツ・ドミノやプロフェッサー・ロングヘア、ギター・スリム、ドクター・ジョンなどと同じようにニューオリンズの音楽に大切なものを残したのがヒューイ・ピアノ・スミス。
今日ON AIRしたヒューイ・ピアノ・スミスの「ベスト・ニューオリンズ・マスターズ」というアルバムは1956年から64年までにACE レコードに残された音源で日本のP-Vine レコードからリリースされています。
アップ・テンポのパーティ・ソングはもう素晴らしいのですが、僕は次のような彼のバラードも好きです。

5.Dearest Darling/Huey “Piano” Smith & The Clowns

今回出版された「ヒューイ・ピアノ・スミス伝」はすごく充実した本です。年末年始の家で過ごされる時に読んで見てはどうでしょうか。アルバムを聴きながら読むといいかも知れません。
番組ホームページにアルバムと今回の本と写真も出していますので参考にしてください。

2022.12.09 ON AIR

ニューオリンズ・ファンクを代表するバンド、ザ・ミーターズの素晴らしい軌跡を知るシングル・コレクション盤

The Message From The Meters(REAL GONE MUSIC RGM-0491)

ON AIR LIST
1.Sophisticated Cissy/The Meters
2.Cissy Strut/The Meters
3.Hand Clapping Song /The Meters
4.Hey Pocky A-Way/The Meters
5.People Say/The Meters

ジェイムズ・ブラウンのファンクでもなくスライ&ザ・ファンミリーストーンのようなファンクでもないニューオリンズ独自のファンクを作り出したミーターズ。今日はそのミーターズのシングルを集めたシングル・コレクション「The Message From The Meters」を聴きます。
ミーターズのメンバーはギーボードのアート・ネヴィル、ギターのレオ・ノセンテリ、ベースがジョージ・ポーター、ドラムがジョー”ジガブー”モデリストの四人。
ミーターズは1968年にデビューしたが実はその前にアート、レオ、ジョージにネヴィル・ブラザーズのアーロンとチャールズが加わって「ザ・サウンズ」というバンドを組んでいた。その後アーロンとチャールズが抜けてドラムのジガブーが加わってミーターズの結成となった。
今日はシングル・コレクションなのでまずは68年のデビュー・シングルを。

1.Sophisticated Cissy/The Meters ソフィスティケイトッド

ドラムとギターから始まりオルガンとベースが入ってくるイントロですでにかっこいい。
ギター、オルガン、ベース、ドラムというコンパクトな編成のサウンドなのでバンドをやる私のような者にとってはとても勉強になる音作りです。それにしてもベースとドラムのリズムがもう素晴らしすぎて聞き惚れてしまう。
この曲はR&Bとポップチャート共に34位まで上がりまずまずのデビューだったのでは・・。
プロデュースはリリースしたレコードレーベル「ジョーシー」を立ち上げたマーシャル・シホーンと名プロデューサー、アレン・トゥーサン
このチームでミーターズの録音だけでなく、ミーターズがスタジオ・ミュージシャンとして活動しリー・ドーシー始めドクター・ジョン、アール・キングなど多くのシンガーの録音に参加し始めます。
そしてミーターズを代表する曲が翌1969年に2枚目のシングルとしてリリースされたこの曲

2.Cissy Strut/The Meters

R&Bチャート4位、ポップで23位まで上がったこの曲でミーターズは広く知られることになった。
もう「かっこいい!」としか言い様がない曲。特にドラム!こういう曲を聞くとドラムやりたくなる。
93年だったか僕はニューオリンズで久しぶりに里帰りしてきたドラムのジガブーのライヴをクラブで聞く機会があったのだが、用意されていたドラムがちょっとボロくてシンバルが割れてるドラムセットでしたが、そんなの関係なくめちゃくちゃいいリズムを叩いてました。その日はもうニューオリンズ中のドラマーが彼のプレイを聞きにきている感じだった。

次の曲は”Clap your hands now, people clap your hands”というコーラスが入っている曲で自分が大好きな曲。

3.Hand Clapping Song /The Meters

このアルバムのクレジットを見ていて気がついたのだが、オリジナルの作曲のクレジットがメンバー全員の名前になっている。そこに誰かのバンドではなくメンバー四人が公平に扱われている結束の強いバンドなんだと感じます。

次はニューオリンズ・テイストが全面に押し出されているこれもミーターズを代表する曲です。

4.Hey Pocky A-Way/The Meters

77年にミーターズ解散後にネヴィル・ブラザーズが結成されてそのネヴィルズの演奏で知っている方も多いでしょう。

アルバム・ジャケットも男臭い感じでいいですね。

2022.12.02 ON AIR

忘れじのロッキン・ブルーズマン、ターヒール・スリムの作品集

The Ultimate R&B Collection/Tarheel Slim (Firefly FF 1437)

ON AIR LIST
1.Wild Cat Tamer/Tarheel Slim
2.Number Nine Train/Tarheel Slim
3.Security/Tarheel Slim&Little Ann
4.Anything For You/Tarheel Slim&Little Ann
5.It’s Too Late/Tarheel Slim&Little Ann

今日は最近ゲットした大好きなターヒール・スリムのアルバムをOn Air!
アルバム・タイトルが”The Ultimate R&B Collection”
Ultimate(アルタマット)とは究極の、とか最高のという意味ですが、まあベスト盤的なアルパムなのでしょう。

ターヒール・スリムは本名:アルデン・バン 最初の芸名はアレン・バン。1923年ノースキャロライナ生まれでお母さんがブルーズマンのブラインド・ボーイ・フラーなどが好きで聞いていてスリムも14歳くらいからギターを弾き始め、いくつかのゴスペル・グループでギターを弾き録音に参加したこともある。
ニューヨークで初レコーディングしたのが1952年ですから29歳の時。ちょっと遅い感じもする。

最初の”Wild Cat Tamer”はニューヨークの有名プロデューサーのボビー・ロビンソンの元で彼の「ヒューイ・レコード」からリリースされたシングル。歌詞が面白い。
ワイルドキャットは「山猫」の意でタマーは「調教師、使い手」ということで「オレは山猫(オマエ)の調教師なんだ。オマエを手なづけてやるさ。トムもディックもハリーもオマエの手玉に乗っていたけど、オレはそうはいかない。オレの命令を聞くようになるのさ。トムは皿を洗って、ディックは床を磨いて、ハリーは洗濯してアイロンがけもお前にさせられていたけど、オレはそうはいかない。俺は山猫調教師なんだ。オマエを手なづけてやるさ」

1.Wild Cat Tamer/Tarheel Slim

リズムはR&Rやロカビリーにも通じるいわゆるロッキン・ブルーズ・グルーヴでワイルドな感じがよく出ている。トレモロがかかったギターの音もいい。
ソロを弾いているのはジミー・スプライルというギタリストで、ワイルドとあだ名がついていたくらいでワイルドなギター。
次の曲がいまの”Wild Cat Tamer”のシングルのB面。ふつうシングルのA面、B面は違う曲調の曲を入れるものだが、同じようなビートを使った曲で多分この2曲がターヒル・スリムの一番有名な曲だと思う。
私もレコーディングさせてもらったほど大好きな曲。
「ナンバー9列車に乗って彼女は行ってしまった」という失恋のロッキン・ブルーズ 。

2.Number Nine Train/Tarheel Slim

ギターのワイルドな感じがたまりませんが・・。いまの二曲は「ロカビリーの乱痴気パーティ」と呼ばれたくらいワイルドな印象を与えたようです。

ターヒールは1955年にアナ・リー・スタンフォードという女性と結婚して”The Lovers”という名前でデュオで歌い始めます。
そのデュオを50年代終わりに「ターヒール・スリムとリトル・アン」という名前に変えてデビュー。当時、”Let The Good Times Roll”のシャーリー&リーとかミッキー&シルビアとか男女ペアがR&Bで流行りました。

3.Security/Tarheel Slim&Little Ann

リトル・アンもいいでしょ?ターヒルも負けじとパワフルに歌ってます。

次は思いっきりニューオリンズ調の曲です。

4.Anything For You/Tarheel Slim&Little Ann

二人は65年くらいまでシングルをリリースして活躍していたが、ヒットがなくてその後二人とも音楽シーンから消えてしまった。それから70年代に入ってターヒールはいわゆる再発見されてフェスティバルに出たりシングルも出したがヒットには至らなかった。

ロッキンでファンキーな曲が二人の持ち味かと思いきや実は一番ヒットしたのは次の1959年にリリースされたマイナー調の悲しい曲でR&Bチャート20位まで上がりました。「もう遅すぎる」という別れの歌で女性の方が浮気したのか、家に訪ねて来たけど中に入れなかった男がもう君はいらないんだと言う。許して欲しいもう二度と同じようなことはしないわと女は言うが、もう遅いよオレには新しい彼女がいるんだというヘヴィな曲です。

5.It’s Too Late/Tarheel Slim&Little Ann

10代からギターを弾きゴスペルやコーラス・グループにも入り、ブルーズも歌いロッキン・ブルーズで時代の波に乗りR&B時代になってからはリトル・アンとデュオを組んで活躍したターヒール・スリムのバイオグラフィやディスコグラフィを見ていると頑張って生きた男の人生を見るようだ。結局大きな成功を収めたミュージシャンではないのだが、私の中には彼の曲がずっと残っている。77年に53才でこう頭ガンで亡くなったのだが、最後の三年間ぐらいは彼がどんな風に生きていたのかもわからない。リトル・アンとは最後まで添い遂げたのだろうか。

2022.11.25 ON AIR

ノース・ミシシッピ・オールスターズの色褪せない代表作であり名作

World Boogie Is Coming / North Mississippi Allstars (Songs&South Records/P-Vine PCD-24312)

ON AIR LIST
1.Jumper on the Line [Extended]/North Mississippi Allstars
2.Goat Meat/North Mississippi Allstars
3.Rollin ‘N Tumblin/North Mississippi Allstars
4.Boogie/North Mississippi Allstars
5.Get the Snakes out the Woods/North Mississippi Allstars
6.Snake Drive/North Mississippi Allstars

このアルバムは2013年に日本のP-Vine Recordsからもリリースされてます。ノース・ミシシッピ・オールスターズは以前にもOn Airしたことがありますが、前回の放送で彼らの仲間であるドゥエイン・バーンサイドのニュー・アルバムをOn Airしている時に彼らのこの素晴らしいアルバムをOn Airしてなかったことに気づいた次第。

96年に結成されたノース・ミシシッピ・オールスターズはたくさんミュージシャンがいるような名前だが、ルーサーとコーディのディキンスン兄弟二人のグループ。なぜこのバンド名になったかと言う由来を「彼らの周りにいる北ミシシッピのすばらしいミュージシャンたちとコラボして彼らを世界に広めたいという彼らの気持ち」からそうなったと日本盤アルバムのライナーを担当した井村猛君が書いています。

今日はこの井村君の詳細なライナーを元に話を進めていきたいと思います。

まず最初の曲。このアルバムはこんな感じで始まる。

1.Jumper on the Line [Extended]/North Mississippi Allstars

ヒル・カントリーブルーズの重鎮、ジュニア・キンブロウのインスト曲。実はジュニア・キンブロウはジューク・ジョイント(安酒場)を経営していて、ディキンスン兄弟も早くからその店に出入りしていたそうだ。キンブロウの店では今の曲のような感じで誰かが自然と演奏を始め、自然とみんながジョイントして行く。そのキンブロウの店ももうないそうでキンブロウも98年に亡くなりました。

キンブロウの店でディッキンス兄弟が知り合ったのがギタリストのライトニン・マルコム。次の曲はそのマルコムと兄のルーサーが二人で作った曲。マルコムはベースも弾いてノース・ミシシッピ・オールスターズのツアーにベーシストとして参加していることもありその重心の低いどっしりしたブルーズはカッコいい。

2.Goat Meat/North Mississippi Allstars

今の二曲でハーモニカを担当したのが元レッド・ツェッペリンのロバート・プラント。どういう繋がりなのかわかりませんが・・。

次はマディ・ウォーターズはじめ南部のブルーズの定番曲でありブルーズロックのミュージシャンたちもよく取り上げる「ローリン&タンブリン」

ここでも彼らは絶妙なさじ加減でこのトラッドな良さを残しつつ自分たちの好きなサウンドでうまくアレンジしている。

要するにルーツ・ミュージックの良さを熟知した上でまず全体のサウンドとグルーヴに重点を置いていて、他のブルーズロックのバンドのようにギターが中心になっている曲作りではないところがミソ。実はそこがとても重要なポイントで、いまのブルーズロックのつまらなさは歌とサウンドとグルーヴが二の次になっていてやたらギターだけを押し出してくるところでルーツを失うことになっていると思うのですが・・・。

3.Rollin ‘N Tumblin/North Mississippi Allstars

すごくかっこいいブルーズロックの曲に仕上がってる。

次の曲はミシシッピでずっと伝わるブギのグルーヴ。こういう土着的でトラッドなブルーズをやっても少しも古い感じがしないところがこのノース・ミシシッピ・オールスターズの特徴。それは本人たちが古い音楽をやっているという意識が全くないからだと思う。自分たちの周りで幼い頃からずっと演奏されて生活や体の一部になっている音楽に新しいも古いもない。そういう音楽を彼らなりの今のサウンドで表現しただけで中身はトラッドなノース・ミシシッピのブルーズだ。

4.Boogie/North Mississippi Allstars

永遠不滅のブギ。グルーヴも音の歪み方もかっこいい。他にもブルーズロックのバンドはたくさんあるがこんなにブルーズのリアル感とロックする格好良さを持ったバンドは少ない。

最後の曲は亡くなったR.Lバーンサイドとギターのケニー・ブラウンの会話をサンプリングしたところから次の曲へなだれ込むカッコ良さ。スライドギターはケニー・ブラウン、もう一つのロックしているギターはR.Lバーンサイドの息子で前回ON AIRしたドゥエイン・バーンサイド。

5.Get the Snakes out the Woods/North Mississippi Allstars

6.Snake Drive/North Mississippi Allstars

2013年にリリースされたこのアルバム”World Boogie Is Coming”は多分時間が経っても変わらずカッコいいアルバムでありつづけると思います。その一つの理由はディッキンスン兄弟の自分たちの故郷のブルーズへの愛に溢れているからです。気まぐれにやってきてその音楽のうわずみだけを取ったのではなく、幼い頃からどっぷり北ミシシッピのブルーズに浸かっている彼らだからこその音楽です。彼らは白人ですが同じ場所で生活し育ってきたから黒人ミュージシャンと心から繋がっている感じがします。それがコラボした時の違和感のなさ、そして素晴らしいグルーヴを作る源にもなっていると思う。これからもまだまだ期待できるノース・ミシシッピ・オールスターズ!

今日は最初からそのまま6曲を聞きましたが、またON AIRします!

Hey Hey The Boogie Is Alright!

2022.11.18 ON AIR

17年ぶりのニューアルバムを発表したヒル・カントリー・ブルーズの重要ブルーズマン、ドゥエイン・バーンサイド

Acoustic Burnside/Duwayne Burnside (DOLCEOLA DOLC-1012)

ON AIR LIST
1.Going Down South/Duwayne Burnside
2.She Threw My Clothes Out/Duwayne Burnside
3.Alice Mae/Duwayne Burnside
4.44 Pistol /Duwayne Burnside
5.Bad Bad Pain/Duwayne Burnside

アフリカン・アメリカンからいいブルーズのアルバムがあまりリリースされてこない現状ですが、今日紹介するドゥエイン・バーンサイドの新譜「アコースティック・バーンサイド」は久しぶりにリアル・ブルーズを感じさせるアルバムです。実に17年ぶりのアルバムだそうで思わず「久しぶりすぎるやろ」とツッコミたくなります。
ドゥエイン・バーンサイドはノース・ミシシッピーの伝説のブルーズマン、R.L.バーンサイドの14人いる子供のひとりで(何番目かはわかりませんが)メンフィスの近くのホーリー・スプリングスというところで育ちました。父親のバンド「サウンドマシ-ン」に参加したのが最初ですが、自宅近くにある父R.L.の友達でもあるブルーズマン、ジュニア・キンブロウのジューク・ジョイントでも10代はじめからギグに参加していたようです。98年頃に自身のバンド「ミシシッピ・マフィア」を結成してアルバムもリリースしてましたが、ぼくがドゥエインの名前を知ったのはルーサー(g)とコーディ(ds)のディッキンソン兄弟を中心に1996年に結成されたブルーズロックバンド「ザ・ノース・ミシシッピ・オールスターズ」のメンバーとして参加した2001年頃。しかしドゥエインは2003年のアルバム「ポラリス」に参加した後2004年に脱退してます。2013年リリースの”World Boogie Is Coming”にはゲストとして参加してます。

最初の曲は父のR.Lも歌っていた曲でブラック・キーズなんかもカバーしていますが、元々南部に伝わるトラッドなブルーズ。こういう曲を聞くとブルーズの根底は民族音楽だと改めて思います。
プリミティヴなワン・コード・グルーヴで南部で伝承されて来たブルーズというのを感じさせる曲。途中で挟まれるドゥエインのギターのオブリガードにジミ・ヘン・テイストがあったりして土着的なのにジミヘンという面白い曲調になっています。
「オレは南へ降りていくよ。うすら寒い風も吹かない南へいくよ。オマエと一緒に行こうと思う。一緒に行こうと思うけど、でもオマエがどこに行こうが気にはしない。死んだ方がマシだ。土の中6フィートに埋められた方がマシだ」

1.Going Down South/Duwayne Burnside

次の曲などもノース・ミシシッピの伝統的なブルーズのスタイルなのに古い感じはしなくて、ギターソロやオブリガードにスピード感があっていい感じです。
2005年にリリースしたアルバム「Under Pressure」に収録された自作の曲で、オリジナル録音ではジミ・ヘンのようなサウンドでしたが今回はアコースティック・バージョンです。

2.She Threw My Clothes Out/Duwayne Burnside

彼女と喧嘩した時の歌ですかね。「あいつはオレの服を外に投げ捨てやがった。あいつにひどい目に合わされたよ」と歌ってるが、きっとその前に男の方がなんか悪さをしてるんだろうな・・・。
ザックザックというリズム・ギターのグルーヴとアグレッシヴなムード。こういうブルーズがすごくカッコいいなぁと僕は思うのですが、どうでしょう。

次の曲はもう踊るしかないいかにも北ミシシッピ・ブルーズの曲調。南部の湿気の多い暑いクラブの中で汗ダクダクになりながら、こういうグルーヴをずっと続けて客を踊らせているバンドの光景が目にうかびます。

3.Alice Mae/Duwayne Burnside

次はハウリン・ウルフなどが歌って来たトラッドなブルーズ。こういう曲も彼の体にしっかり入っているところがドゥエインの強みだと思う。
しかも古い音楽、古いブルーズとしてやっていなくて堂々と自分のブルーズとしてプレイしているそのあたりがとても頼もしい。
そしてこのブルーズの曲調がかっこいいと思い始めたら、あなたはブルーズを聞く耳と心を持ってる。そしてノース・ミシシッピにいつか行きたくなるはず。

4.44 Pistol /Duwayne Burnside

次の曲を聴いているとアコースティック・ギターを弾いてブルーズを歌ったジミ・ヘンドリックスを思い出します。
どの曲もそうなんですが、スピード感のあるリズムが素晴らしくてもうそれだけで聴けてしまいます。当たり前なんですがリズムが素晴らしい。

5.Bad Bad Pain/Duwayne Burnside

やっぱりカッコいです。このアルバム、今年のブルーズの新譜としてオススメです。
最後まで聴くとアコースティックもいいけれど、特にいまの曲なんかはやはりバンドで聞いてみたいなという気持ちになります。
こういうドゥエインのような南部のブルーズが体に宿っているブルーズマンがもっと活躍してくれると閉塞感のあるいまのブルーズ界が少し広がっていくのではないかと思います。来週は今日のドゥエイン・バーンサイドも在籍したノース・ミシシッピ・オールスターズの名盤をON AIR、お楽しみに!