2024.07.26 ON AIR

ジョニー・ウィンターがプロデュース、マディ・ウォーターズの晩年のアルバムが3枚セットで再発

77年”Hard Again”,78年”I’m Ready”,81年”King Bee

ON AIR LIST
1.Mannish Boy/Muddy Waters
2.I Want to Be Loved/Muddy Waters
3.The Blues Had a Baby and They Named It Rock And Roll /Muddy Waters
4.I Just Can’t Be Satisfied/Muddy Waters
5.Jealous Hearted Man/Muddy Waters

シカゴ・ブルーズのボス、マディ・ウォーターズは長年チェス・レコードに所属し50年代にチェスがブルーズのレーベルとして認知される源となるヒットを発表した。しかし75年の「ウッドストック・アルバム」が最後のチェスレコードでの録音となる。チェスが事実上の倒産となってしまったからだ。1949年にフィルとレナードの兄弟によって運営されて来たブルーズの名門レーベル「チェスレコード」の倒産によって最も古くから在籍し貢献して来たマディが次に行くレーベルが決まらなかった。シカゴ・ブルーズのボスとは言えシカゴ・ブルーズの隆盛はとうに過ぎた70年代。そのマディに手を差し伸べたのは、新興のブルー・スカイ・レコードのプロデューサー役も務めていたブルーズ・ロックのスター、ジョニー・ウィンターだった。
今回このブルー・スカイ・レーベルからリリースされた77年”Hard Again”、78年”I’m Ready”,81年”King Bee”の三枚がセットで7/19にBSMFレコードからリリースされる。マディの晩年を語る上で大切な三枚。今日は最初の1977年リリースの「ハード・アゲイン」から何曲か聴いてみましょう。
まずは私もカバーさせてもらっている1955年リリースのいかにもマディといった感じのブルーズから。

1.Mannish Boy/Muddy Waters

オリジナルのチェス録音とは違う70年代のいい意味での少しロック的ないいサウンドとグルーヴしてます。このブルーズロックなテイストの入れ込み具合が難しいところです。ジョニー・ウィンターはそのさじ加減が上手いです。何よりそのサウンド乗って歌うマディの力強く、溌剌とした歌を聞けばどんな状態かわかると思います。演奏が終わった後のメンバーの笑い声もいいムードを表してます。
アルバムの参加ミュージシャンはまずプロデュースとギターのジョニー・ウィンター、もう一人ギターのボブ・マーゴリン、ハーモニカにジェイムズ・コットン、ピアノがパイントップ・パーキンス、ベースがチャールズ・キャルミーズそしてドラムがウィリー・スミス
実にしっかりしたメンバーでサウンドもしっかりしておりプロデュースのジョニー・ウインターのマディへのリスペクトが感じられるアルバムです。
次の曲もオリジナルは1955年のリリースです。この曲はロックのローリング・ストーンズがデビューのシングル盤で取り上げた曲です。

2.I Want to Be Loved/Muddy Waters

次の曲は”The Blues Had a Baby and They Named It Rock And Roll”と長い曲名なんですが、マディが作った曲です。
「ブルーズは魂のある音楽なんだ。ジェイムズ・ブラウンもレイ・チャールズもオーティス・レディングもそう言ってる。そしてブルーズにはロックンロールという赤ん坊がいるのさ」と歌われています。つまりよく言われることですが、ロックンロールはブルーズをルーツにしてできた音楽であり、ブルーズがなかったらロックンロールは生まれなかったし、現在のロックもなかったということです。
ブルーズには赤ん坊がいるそいつらの名前はロックンロール!

3.The Blues Had a Baby and They Named It Rock And Roll /Muddy Waters

次はリリースして一晩で3000枚売れたというマディの最初のヒット”I Can’t Be Satisfied” の再録音。
永遠不滅のブルーズの名曲の一つでもあります。そしてトラックの運転手をしていたマディが本格的にブルーズマンになれた一曲です。
歌詞は「いろんなことがうまく行かなくてずっと苦労して困って来た。でももう我慢できない。オレは満足できない」
アコースティックなサウンドになってます。スライドギターはジョニー・ウインターだと思います。

4.I Can’t Be Satisfied/Muddy Waters

70年代にマディが全盛だった50年代のチェスレコードのようなサウンドを求めるのはナンセンス。マディが新しいサウンドの中でなんとか自分の歌を表現しょうと力いっぱいやっている感じがする。そして70年代にこうして自分のブルーズを録音する機会を与えてくれたジョニー・ウインターと参加ミュージシャンたちにマディは感謝していたのではないでしょうか。
今日は7/19にBSMFレコードからリリースされるマディ・ウォーターズの3枚セットから77年”Hard Again”を聞きました。持っていない方はこの機会に是非。