初夏になると聴きたくなるニューオリンズ・ミュージック
ON AIR LIST
1.IKO IKO /Dr.John
2.IKO IKO/The Dixie Cups
3.Jock-O-Mo/Sugar Boy Crawford
4.Going To The River/Fats Domino
5.Tipitina/Professor Longhair
今日はまずこの曲を聴いてください。
1.IKO IKO /Dr.John
ドクター・ジョンの名盤”GUMBO”の一曲目に収録されている「アイコ・アイコ」
”GUMBO”は1972年にドクター・ジョンが地元ニューオリンズの音楽をカバーしたアルバムです。僕はこのアルバムで初めてニューオリンズ音楽に触れました。この曲自体はボビュラーに広まってCMにも使われたことがあるので知ってる方も多いと思います。
実際にヒットしたのは1965年のニューオリンズの女性3人のコーラス・グループ「ディキシー・カップス」でチャートの20位まで上がりました。
そのディキシー・カップスのバージョンを聴いて見ましょう。
2.IKO IKO/The Dixie Cups
素朴な「アイコ・アイコ」でいいですね。ディキシー・カップスはとてもキュートなコーラスを聞かせてくれるグループでこの番組でも特集したことがありますが、1964年にチャート1位になった”Chapel Of Love”(涙のチャペル)や”People Say”などヒット曲がありニューオリンズ音楽には欠かせないグループです。
それで今の「アイコ・アイコ」には実はもっと前に原曲がありましてそれがシュガー・ボーイ・クロフォードという同じニューオリンズのシンガーが歌った”Jock-O-Mo”です。
このJacko Moという曲は歌詞の内容がよくわかりませんが、ニューオリンズのマルディグラ・インディアンと呼ばれる先住民たちのチャントと呼ばれる民族的な反復される掛け声を元にしているものです。チャントは日本の民謡でもあるみんなが繰り返し反復して歌うものと同じです。世界の民族音楽にチャントはあります。
ではシュガー・ボーイ・クロフォード
3.Jock-O-Mo/Sugar Boy Crawford
Jock-O-MoからIKO IKOになったわけですが、ロックバンドのグレイトフル・デッドや同じニューオリンズのマルディグラ・インディアンのグループ「ワイルド・マグノリアス」などがカバーしています。それで少し前にニューオリンズの大きなイベントである「ジャズ・ヘリテイジ・コンサート」が開かれていたのでニューオリンズのお馴染みの曲を聴いてみたいと思います。
まずいつもこの曲を聴くと初めてニューオリンズに行った時に一緒に旅行した川田さんという友達のことを思い出します。彼は友達でもありましたがとても信頼できる人でぼくの後見人みたいな人でした。二人でニューオリンズのホテルに荷物を置いて真っ先に行ったのがミシシッピー・リバーが見える場所でした。とにかくブルーズの歌詞にもよく出てくる川と言えばミシシッピ川で、その大きな川の流れを見て二人で感慨に耽ったものです。ファッツ・ドミノの次の曲もおそらくミシシッピ・リバーを想定して作られたものだと思います。彼女が街から出て行ってしまい、フラれてもう川に飛び込んで死んでしまいたという絶望した悲しい歌です。最後のI’m Tired Of Living In Misery(虚しい気持ちで生きることに疲れた)という一節が辛いです。
楽しい歌が多いファッツ・ドミノにしては珍しい悲しい歌です。
4.Going To The River/Fats Domino
「ブルーベリーヒル」「ファットマン」「Ain’t That A Shame」いファッツ・ドミノはヒット曲も多く、ニューオリンズという枠を超えてアメリカではポピュラーな存在で国宝級のミュージシャンなのですが、日本ではそれほど評価されていない気が今もします。70年代に来日してくれた時も本当にお客さんが少なくて僕はファッツに申し訳ない気持ちでステージを見ました。
同じニューオリンズのピアニスト、シンガーであるプロフェッサー・ロングヘアはアメリカ国内でさえ正当な評価を受けられませんでした。アレン・トゥーサン、ドクター・ジョンはじめニューオリンズのミュージシャンたちには尊敬されてましたが。一時は音楽をやめてギャンブラーになってしまったほどでした。ブギやブルーズにニューオリンズのセカンドライン、そしてルンバやカリプソなど南米の音楽をミックスしたプロフェッサーが作った音楽の素晴らしさがなかなか広く伝わりませんでした。でも晩年は多くのミュージシャンやファンの支えもあってジャズ・フェスティバルで復帰しヨーロッパへのツアーしました。今もプロフェッサー・ロングヘアを讃えるピアニストたちのライヴが毎年ニューオリンズで行われています。
5.Tipitina/Professor Longhair
この曲名からつけられたティピティーナスというクラブがニューオリンズにあってさっき言ったプロフェッサー・ロングヘアを讃えるピアニストたちのライヴはそこで開かれています。
こういうゆったりした曲を聴くとニューオリンズへ行きたくなりますね。