2026.03.06 ON AIR

70年代のブルーズ3大キングの行方

スタックス・レコードで花開いたアルバート・キングの70年代

ON AIR LIST
1.Killing Floor~I’ll Play The Blues For You/Albert King
2.Don’t Burn Down The Bridge (‘cause You Might Wanna Come Back Across)/Albert King
3.I Believe To My Soul/Albert King
4.I Wanna Get Funky/Albert King

3月17日からギターの上村秀右と関西方面にデュオ・ツアーをやります。自分の50周年記念のツアーで小さなお店も含めてたくさん回ってみようかなと思っています。来て欲しいと言うご要望があれば番組のホームページからメールください。行ったことのないところも行ってみたいと思ってます。

ブルーズの三大キングと言われたB.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングの70年以降の活動と曲の話で今回はアルバート・キング。
60年代のアルバート・キングを振り返ると、1967年にリリースされたアルバート・キングの『ボーン・アンダー・ザ・バッド・サイン』というアルバムがありました。これはアルバートが契約したスタックス・レコードとの最初のアルバムでした。そんなに売れたわけではなかったのですが、当時から現在までブルースとロックにいろんな影響を与えた名盤です。
スタックスというレーベルは主にソウル・ミュージックのレーベルだったのでアルバートは少し異色の存在でした。スタックスにはステイプル・シンガーズ、アイザック・ヘイズ、エモーションズ、ルーファス・トーマス、ジョニー・テイラーなど当時人気のあったソウル・シンガー達が揃ってまして、アルバート・キングともう一人リトル・ミルトンがブルーズ派でした。そのスタックスのミュージシャンが集まって1972年にロスの黒人街ワッツで開かれた10万人を集めたイベントがワッツ・タックスでした。
では、そのワッツ・タックスのライヴ・アルバムからアルバート・キングを2曲ライヴのまま続けて聴いてください。

1.Killing Floor/Albert King

2.I’ll Play The Blues For You/Albert King

このワッツ・タックスのアルバムは若い頃によく聴きました。とにかく72年頃になると僕はブルーズだけでなくソウル、ファンク、ゴスペルと完全に黒人音楽に自分の志向が変わってしまい、ロックのレコードはあまり聞かなくなってしまいました。当時同じ関西でバンドを始めたキー坊(上田正樹先輩)のサウス・トゥ・サウスのメンバーはじめ関西の黒人音楽を演奏するバンドはみんなこのアルバムに影響を受けました。ぜひ聴いてもらいたい一枚です。
アルバート・キングはその前68年の有名な”Live Wire/Blues Power”はじめライヴアルバムがいくつかあるのですが、やはりライヴの素晴らしさが彼の売りのひとつでした。特にダイナミックなギター・ソロはB.B.キングやフレディ・キングとはまた違う魅力的なトーンとフレイズで特にそのタイミングの素晴らしさは唯一のものだと思います。それでそのいくつかあるアルバートのライヴアルバムの中で皆さんに聴いてもらいたいアルバムが73年の”Blues at Sunrise”です。これはスイスのモントルーの有名な「モントルー・ジャズ・フェスティバル」でのライヴ・アルバムです。73年ですからいま聞いたワッツ・タックスの翌年でI’ll Play The Blues For Youがヒットした頃です。
女性と別れ際の歌ですかね「戻ってきたくなった時のために二人にかかっている橋を燃やさないでくれ」

3.Don’t Burn Down The Bridge (‘cause You Might Wanna Come Back Across)/Albert King

えげつないギターでしたが、アルバートのギターの影響を受けたギタリストはジミ・ヘンドリックスはじめスティーヴィー・レイボーン、山岸潤史などたくさんいます。でも誰もアルバートのようには弾けません。例えばエリック・クラプトンはフレディ・キングのように弾くことはしますがアルバートのようには弾かないです。アルバート・キングはアルバート・キングしか弾けないんです。それはなぜか・・ギターが左利きということもあるのですが、チューニングが変則チューニングで未だにはっきりどういうチューニングだったのかははっきりしていません。つまりアルバートが誰にもそのチューニングを教えなかったからです。使っている弦が普通より細い弦だったというのはわかっているし、彼はほとんどコードを弾かなかったというのは映像を見ていると分かりますが・・まあ謎の多いギタリストです。
そして実は歌が上手いです。190センチくらいある体の大きな人でしたから、声量もあるのですが声質がまろやかで「スモーキー・ヴォイス」なんて呼ばれています。次の曲はレイ・チャールズの曲でちょっと難しい歌ですが、すごくいい感じの自分流に歌いこなしています。

4.I Believe To My Soul/Albert King

歌がいい感じなんですが、結局ギターをガンガン弾いてしまうのでえぐいギターの印象が強くなるという困ったもんです、アルバートくん。
次の曲もレイド・バックしている歌ですごくいい感じです。

5.I Wanna Get Funky/Albert King

アルバートはやはり南部ミシシッピの生まれで、育ったのもアーカンソーですからアルバートは「ダウンホーム」な感じを持ってます。そう言えばアルバートはダウンホーム・ブルーズで有名なジミー・リードのバンドでドラムを叩いていた頃もありました。ギターもフレイズはたくさんあるわけではないんですが、タイミングの違いを使って違うフレイズに聞こえます。そしてスケールが大きくてそのノリが気持ちいいんです。
スタックスレコードにいた8年間で10枚ほどアルバムを出したのですが、75年にスタックスレコードが倒産してしまいます。もう大手のレコード会社はブルーズをあまりリリースしない時代になりましたが、幸運なことにアルバートはすぐに「ユートピア」というレコード会社と契約します。まだまだアルバート・キングは売れるブルーズマンと評価されていたのでしょう。この会社では2年間で4枚のアルバムをリリースします。そして「ユートピア」と切れた後もすぐに「トマト」というレーベルに移り、70年代はライヴ盤や企画ものを含めてほぼ毎年のようにアルバムが出ています。
来週は「ユートピア」と「トマト」のレーベルで録音された曲を聴きます。まだまだ続くアルバート・キング!