スタンダップ・ブルーズ・シンガー大特集 第六回目
Little Willie John vol.1
ジェイムズ・ブラウンはじめ多くのシンガーに敬愛された稀代のシンガー、リトル・ウィリー・ジョン
ON AIR LIST
1.All Around The World/Little Willie John
2.I Need You Love So Bad/Little Willie John
3.Talk To Me, Talk To Me/Little Willie John
4.Fever/Little Willie John
5.My Love-Is (Underdub Take 9)/Little Willie John
今回のスタンダップ・シンガーのシリーズでリトル・ウィリー・ジョンは特集しないのですかと言った人がいて「そや、このリトル・ウィリー・ジョンはやらなあかん」というくらいブルーズ、R&Bで大切なシンガーです。。
リトル・ウィリー・ジョンは50年代から60年代にかけて卓越した歌唱力を持ちヒットを連発したシンガーで私の中では同時代によりポピュラリティがあったサム・クックと同等の偉大なシンガーです。
彼の最初のヒット。1955年キング・レコードからのデビュー曲です。「オレがおまえを愛してないなんてことはモナリザが男だというくらいありえないことだ」要するにめちゃ愛してるという熱愛のブルーズ。R&Bチャート5位まで上がったヒット。
1.All Around The World/Little Willie John
ちょっとチリチリというノイズが聞こえるかも知れませんが、僕が持ってるアナログLPレコードからデジタルに変換してるのでノイズがありますが勘弁してください。
いや~めちゃ声出てますね。もう楽勝ですね。バックの演奏も素晴らしいです。これはキング・レコードのスタジオ・ミュージシャンたちです。
今の曲はブルーズのスタンダードとなって60年代にもリトル・ミルトンやルース・ブラウンにもカバー録音されています。
次の曲はこの前ジュニア・パーカーのアルバムからON AIRしましたが、オリジナルはこのリトル・ウィリー・ジョンです。
珠玉のブルーズバラード。
2.I Need You Love So Bad/Little Willie John
今のギターは多分ミッキー・ベイカーというキングレコードのスタジオ・ミュージシャンですが、この人がまたギター名人でバッキングもソロもめちゃ上手いし、センスもいいです。
次の曲は僕も昔録音して今もカバーして時々歌っていますが、これが初めて聴いたウィリー・ジョンの曲だったかも知れません。
「僕に話しかけてくれ、僕に話して、君が話してることを聞くのが大好きなんだ。君の甘く優しい話し方でね。前に聞いたことがある君が愛について話すところはいつもすごくい感じなんだ。僕が好きなそのところをもう一度話してくれよ」
最高です。
3.Talk To Me, Talk To Me/Little Willie John
同時代のスーパースター、サム・クックと実力的には同等の素晴らしいシンガーだと思います。もっともっと評価されていいシンガーです。
この曲を作った人を今回初めて知ったのですが、ジョー・セネカという黒人俳優で僕も観たことがある「クロスロード」という映画でウィリー・ブラウンンの役を演じていた役者。あの映画は確か音楽をライ・クーダーが担当していました。そのジョー・セネガさんがソングライターをやってた頃にこの曲を作ってたとは・・。僕もカバー録音させてもらったんですが、印税届きましたかね。
次は”Fever” リトル・ウィリー・ジョンの歌の中でいちばん有名な曲で、いまやブルーズでもR&Bでもジヤズでも取り上げられるスタンダードになっています。1956年R&Bチャートの1位。ペギー・リーのヴァージョンで知ってる方も多いと思いますが、ブルーズではバディ・ガイ、かのエルビス・プレスリーそしてマドンナもカバーしています。「どんなに貴女を愛しているか、どんなに貴女に恋い焦がれているか、貴女にキスされて抱きしめられると恋の熱(Fever)に浮かされてしまう」
4.Fever/Little Willie John
ようできた曲です。曲も歌詞も歌もアレンジもようできてます。
今のFeverはこのウィリー・ジョンがオリジナルシンガーです。ウィリー・ジョンは子供の頃、ジャズのデューク・エリントンの楽団で歌ったことがあったり、大人になってからもジャズ・オーケストラの専属歌手をやっていたこともある実力の持ち主ですが、やはり彼の本領はR&Bです。
ウィリー・ジョンが歌手として本当に素晴らしいということを証明するようなテイクを次の曲で聞いてください。ウッド・ベースとフィンガー・スナッピングだけで他の楽器は何もないけど、逆に彼の歌の上手さが浮き彫りになっている名唱だとぼくは思います。なんかあまりにも簡単に歌っているのでむずかしさを感じないのですが、これは相当難しいです。
5.My Love-Is (Underdub Take 9)/Little Willie John
リトル・ウィリー・ジョンは1937 年に生まれ68年に亡くなってますからわずか30年の人生だったんです。リトルと呼ばれてたのは背が低かったからなんですが、それでからかわれることも多くてしかも彼自身が短気な人で酒を飲んではよく喧嘩もしたそうです。それである日喧嘩相手をナイフで刺して殺してしまいムショ入りとなりました。結局その刑務所で肺炎で亡くなったそうなのですが、一説には肺炎ではなくて刑務官に暴行されたのでは・・とう説もあります。短気は損気といいますがなんか残念な人生です。あと歌手としてのプライドもあったと思います。亡くなった後にジェイムズ・ブラウンがトリビュート・アルバムも出してますし、アレサ・フランクリンも好きなシンガーでウィリー・ジョンの名前を出しています。来週もう一回リトル・ウィリー・ジョンの特集です。