2025.07.11 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第三回目日本にも多くのファンを作ったオーティス・クレイの若き日の歌声

ON AIR LIST
1.Got To Find A Way/Otis Clay
2.I Testify/Otis Clay
3.That’s How It Is/Otis Clay
4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay
5.I’m Satisfied/Otis Clay

世界に誇る日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝してP-Vine レコードの僕の好きなでもあまり知られていないアルバムを紹介しょうと思っています。
今回紹介するのはディープ・ソウル・シンガーのオーティス・クレイのアルバム”Got To Find A Way-The Beginning”
P-Vineからリリースされたのは1979年ですが、内容は65年から67年にシカゴのレーベル「ワン・ダー・フル」からリリースされたシングルをコンピレーションしたものです。
オーティス・クレイは78年の春に来日できなかったO.V.ライトの代わりに初来日公演が決まったのですが、ぼくも当時クレイのアルバムは持っていなくてコンピレーション・アルバムで2,3曲聴いたくらいでした。来日すると決まっていたO.V.ライトへの気持ちが強すぎて、はっきりオーティス・クレイにはそれほど期待していなかったのですが、幕が開くともう本当に一生懸命歌ってくれ真のソウルを聞かせてくれたクレイに最後は涙してしまった素晴らしいコンサートでした。そのコンサートで一曲目に歌ったのが60年代に「ワン・ダー・フル」に録音したこの曲でした。去っていった彼女に「君の愛なしで一人で生きるのに耐えられない。俺は君を取り戻すんだ」

1.Got To Find A Way/Otis Clay

今日もぼくのLPレコードから音源を取っているのでイントロなんかでノイズがありますが、ぼくはノイズさえ好きです。
この曲を一曲目に歌った来日公演のライヴ・アルバムも素晴らしいので聴いて欲しいのですが、今の「ワン・ダー・フル」レコードの録音は20代半ばの彼がショービジネスでこれから這い上がろうと頑張っていた頃の歌でパワフルでひたむきな歌声で好きです。
僕はオーティス・クレイが2度目に来日したときにお会いして一曲だけ一緒に歌ったことがあるのですが、とても優しくて誠実な紳士で彼の歌が心に届く理由がわかりました。決して超ビッグなソウル・シンガーではなかったけど与えられた場所で与えられた時間、彼はとにかく誠実な歌、つまりソウルを伝えようと懸命に歌う人出した。次の歌は彼女をたまらなく好きになってしまい、それが止まらなく大きく強くなっていく気持ちを歌ったものです。君を愛していることをぼくは証明してみせる。testifyというのは証言するとか立証するという意味です。

2.I Testify/Otis Clay

クレイは子供の頃からずっとゴスペルを歌っていていくつかのゴスペル・グループにも参加しています。ゴスペルを歌ってソウルに転向するシンガーは山ほどいるのでそこから有名になるのは大変なんですね。65年にソウルに転向して今日聞いているワン・ダーフルというレーベルからデビューしました。最初のヒットが67年の次の曲That’s How It Is。
好きになった女性に利用されて騙されていても、もう俺は普通ではないくらいお前を愛していると歌う切ないソウルです。

3.That’s How It Is/Otis Clay

もう歌の入力メーターを振り切ってるやろみたいなすごい勢いで歌ってます。
ワン・ダーフルを辞めてからはコテリオンそして70年代にはメンフィスのハイ・レコードへ。このハイ・レコードで”Trying To Live My Life Without You”が自己最高のチャート24位になり広く知られる存在になりました。日本に来た78年にはもうハイを辞めていたのですが、ステージで歌ったのはほとんどがそのハイ時代の曲とこのアルバムのワン・ダーフル時代の曲でした。
クレイ自身はハイのサウンドよりもシカゴのワン・ダーフルの音の方が好きだと言ってました。僕もこの若き日のクレイの歌声とちょっとゴツゴツした感じのサウンドがフイットしていて好きです。

4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay

途中のドラムとベースと歌だけになるとこなんかほんまかっこええです。
P-Vineがこのワン・ダーフル時代の音源をアルバムにしてリリースしたのがクレイが来日して僕らを感動させた翌年の79年。すごくいいタイミングで僕らはクレイの若い頃の歌を聴くことができたわけですが、ブルーズ・バーやソウル・バーではこのアルバムが話題になっていました。ハイとワン・ダーフルとどっちが好きだとか盛り上がってました。

5.I’m Satisfied/Otis Clay

やっばり素晴らしいシンガーです。
70年代後半くらいからP-Vineレコードは大手のレコード会社がリリースしない、あるいはできないフィールドの音源やミュージシャンを独自の編集で積極的にアルバムにしてぼくらに提供してくれました。ライナーノーツも含めてそれらはすごく黒人音楽を知るための力になりました。前回の5 Dutonesもそうですがワン・ダーフルというシカゴのレーベルがいいブルーズやR&Bを出していると知ったのはP-Vineのおかげでした。
ただリリースの量が多すぎてとても買いきれませんでした。なのでまた再発してください。頼むよ、P-Vine!
P-Vineのサイトへどうぞ→P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.07.04 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第2回目60年代ハード・ドライヴィング・R&Bバンド”5 DU TONES”

ON AIR LIST
1.Get It/ 5 Du Tones
2.Soul/ 5 Du Tones
3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones
4.Please Change Your Mind/5 Dutones
5.Dont Let Go/5 Dutones

自分のバンド、blues.the-butcher-590213もアルバムを出している日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はインディペンデント・ブルーズ・レーベルつまりブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。しかし、現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝して私の好きなP-Vine レコードのいかにもP-Vineらしいアルバムを紹介しょうと思っています。
今日第2回目は1979年にP-Vine レコードがコンピレーションしてリリースしたシカゴのグループ「ファイヴ・ドュ・トーンズ」アルバム・タイトルが”Shake A Tail Feather”
この番組HPに出している彼らのアルバム・ジャケット写真を見て欲しいんですが、ファイヴ・ドュ・トーンズなのにメンバーが6人います。なぜかはわかりません。とにかく顔だけ見ると五人はなんか悪いことやってそうなストリートの匂いプンプンしてます。とにかく生きのいいグループでパーティ・バンド的なテイストが強くてそのB級感がまたたまらない魅力なんですけどね。
では5 Du TonesのLPレコードA面の1曲目。彼らのショーの始まりのような曲です。

1.Get It/ 5 Du Tones

いいですよね、このパーティ感。ラフでタフ。汗だくだくのライヴ感。若い人でこういうのカバーする人いないですかね・・はい、いませんね。
次の曲は同じシカゴのグループで、カーティス・メイフィールドが率いてヒット曲も多いインプレッションズがやってそうな曲です。ファルセットも入っているし曲調もインプレッションズ風ですがやっぱりどこかワイルドでラフ。でも、そのB級感、ホームパーティのバンドっぽいところがこの 5 Du Tonesの魅力だと思います。

2.Soul/ 5 Du Tones

ファルセットも入ったコーラスの曲でやりようによってはもっとオシャレになるところですが、オシャレにならんとこがいいです。
いま、インプレッションズのことを話しましたが、シカゴというとまずマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフで有名なシカゴ・ブルーズの街ですが、実はチャイタウン・ソウルとも呼ばれるソウルのメッカでもあり50年代から60年代はタイロン・デイヴィス、シル・ジョンソン、オーティス・クレイなどのディープなソウルシンガーと洒落たバラードを売りにしていたコーラス・グループのザ・スパニエルズ、デルズ、フラミンゴス、そしてインプレッションズとなかなか多彩でした。その中でこの5 Du Tonesの存在はちょっと異色だったと思いますが、彼らはR&Bの歴史に残る次のハード・ドライヴングな、かっこいいダンス・ナンバーを残しました。1963年にチャート28位まで上がったヒットです。

3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones

R&RとR&Bの感覚を両方持ったこの曲は最高で、ヒットするのも納得です。いまの曲で思い出した方もいるかもしれませんが、ブルーズ・ブラザーズの映画の中で楽器屋のオヤジ役をやっていたレイ・チャールズが劇中で歌ったのがいまの”Shake A Tail Feather”。映画「ヘア・スプレー」でも使われてました。あとジェイムズ&ボビー・ピュリファイ、アイク&ティナ・ターナーなどカバーも多いです。僕も一度歌ってみたいなと思ってる魅力的な曲です。5 Dutonesはいろんなタイプの曲をやっているのですが、次の曲はどう考えてもJame Brownの大ヒット曲”Please Please Please”をちょっとパクったやろという曲です。僕はそういうB級感覚も好きなんですが、ジェイムズ・ブラウンの当時の影響力というのも感じますね。

4.Please Change Your Mind/5 Dutones

こういうシングルを集めたコンピレーション・アルバムはやはりその音楽をよく知っている人が選曲、編集しなければいけないし、ヒット曲ばかり集めるというのは安易だし、そのグループの特徴を拾い出すセンスが必要です。70年代終わりにそんなに有名でもない、でも面白いグループをリリースできたのはやはりP-Vineレコードだったからだと思います。
では最後も彼らのハード・ドライヴ・ダンス・ナンバーです。

5.Dont Let Go/5 Dutones

今や日本が世界に誇るインディペンデント・レーベル「P-Vineレコード」の50周年を記念してシリーズでお送りしている「祝50周年P-Vine Records!!! 」の第2回目は60年代半ばのファンキーなR&Bグループ「5 Dutones」を聞いていただきました。
P-Vineのリリースカタログはこちら→P-Vine Records https://p-vine.jp