2019.10.04 ON AIR

★50年代の希代の歌手でありソングライター、チャック・ウィリス
The Song Of Chuck Willis~From The Bottom Of My Heart/Chuck Willis (JASMIN JASMCD-3075)
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ON AIR LIST
1.It’s Too Late(She’s Gone)/Chuck Willis
2.C.C.Rider/Chuck Willis
3.Feel So Bad/Chuck Willis
4.Oh What A Dream/Ruth Brown
5.What Am I Living For/Chuck Willis
6.Hang Up My Rock & Roll Shoes/Chuck Willis

今日は1950年代に活躍したR&Bシンガー&ソングライター、チャック・ウィリスを聴いてみようと思うのですが、チャック・ウィリスと言っても馴染み薄いですよね。
そんなこと言うたらこの番組で流してる曲のほとんどは世間的には思いっきり馴染み薄い曲ばっかりですけど・・・。
他のラジオ局の音楽番組が流行の曲しかほとんどON AIRしないので、ブルーズを中心としたいい音楽を聴いてもらおうとしてるんですけどね。
今日聴いてみるアルバムはジャスミンレコードからリリースされたチャック・ウィリスの”The Song Of Chuck Willis/ From The Bottom Of My Heart”というコンピレーションアルバムです。
スーツなのにターバンを頭に巻いてカメラ目線のめちゃ濃い顔のチャック・ウィリスがジャケットに写っています。プロフェッサーロング・ヘアなんかもターバン巻いてる写真ありますが、ターバンはオシャレやったんですかね。
チャックさんはヒット曲たくさんあるし、彼の作った曲はたくさんの人にカバーされているのになぜあまり馴染みがないかと言えば、30才という若さで亡くなってしまったということもあると思います。活動していた期間は50年代のほぽ10年です。今日聴いてもらうアトランティックレコードの前にオーケーレコードから52年に”My Story”という曲でデビューして、56年にアトランティックレコード入りです。

では、最初にロックの名盤と言われているエリック・クラプトンのデレク&ドミノスのアルバムでもカバーされ、オーティス・レディング、バディ・ホリーもカバーしてますが、僕はフレディ・キングのカバーが好きです。
タイトルどおり「もう遅過ぎる、彼女は行ってしまった。君のことが誰よりいちばん好きだと言えばよかった」という歌です
1.It’s Too Late(She’s Gone)/Chuck Willis
1956年R&Bチャートの三位まで上がりいまも歌い継がれている名曲ですが、不肖永井も歌ったことあります。

彼が有名になったのは1957年にリリースされた次の”C.C.Rider”という曲なんですが、この曲は元々1920年代にマ・レイニーという女性ブルーズシンガーが録音したブルーズの古典です。それをリメイクさせたのですが、この曲でチャック・ウィリスは”The King Of Stroll”と呼ばれることになりました。「ストロールの王様」ということですが。ストロールというのは1957年頃に流行っていたダンスのステップなんですが、男女が向い合わせに1列ずつになって順番にふたりで踊るんですが、めちゃユルいダンスです。誰でも踊れるようなダンスなので流行ったんでしょう。そのダンスとこの曲がぴったりフッィトしてR&Bチャートの1位になり、白人のポップチャートでも12位まで上がりました。
2.C.C.Rider/Chuck Willis
このC.C.Riderが白人のチャートでも上がったというのは、実は50年代半ばにアメリカの全国放送のテレビ番組で「アメリカン・バンド・スタンド」というのがありまして、ディック・クラークという人気の司会者がいまして、その番組でこの曲が取り上げられたこともあって大ヒットしたようです。この他にもダイヤモンズというグループのモロの「ストロール」という曲もあって、それに合わせて白人の10代の男女が本当にユルいダンスやってるのがyoutubeに上がってるので見てください。
いまのC.C.RiderやIt’s Too Lateの前、1954年にチャックが出した”Feel So Bad”という曲もいまだに歌い継がれていてブルーズのスタンダードになっています。リトル・ミルトン、オーティス・ラッシュ、レイ・チャールズも歌ってます。
3.Feel So Bad/Chuck Willis
ちょっとラテン風味のリズムに乗ってハイトーンのよく伸びるいい声してます。
彼はシンガーとしてもアップテンポからバラードまで歌える素晴らしい才能があったんですが、ソングライターとしても才能があり他の歌手にも曲を提供しています。
50年代アトランティック・レコードの看板歌手で、R&Bの女王だったルース・ブラウンがヒットさせたこの曲も作詞作曲はチャック・ウィリスでした。
愛してる彼と結婚する夢を見てしまった歌で、目が覚めてああ夢だったのねとがっかりしているせつない歌です。
4.Oh What A Dream/Ruth Brown
ルース・ブラウンは1949年からアトランティックレコードの大ヒット歌手でアトランティックを大きな会社にした功労者ですが、チャック・ウィリスも56年にアトランティックに入ります。入ってすぐヒットしたのが最初に聴いてもらったIt’s Too Late。
そこから10曲ほどアトランティックでヒットを出していますが、僕がいちばん好きな曲が次のWhat Am I Living For
「What Am I Living For,If Not For You」と始まるんですが、あなたのためでないとしたら私は何のために生きているのだろう。誰のためでもないあなたのために私は生きている。
私は毎晩何に恋いこがれているんだろう。あなたの唇を感じて、強く抱きしめることに焦がれているのに・・愛する人よ、あなたは私の人生のすべて、他の誰でもない、あなたなんだ」
強烈なラブソングです。
5.What Am I Living For/Chuck Willis
100万枚売れた.What Am I Living For。
チャック・ウィリスはちょうどブルーズがR&Bやロックンロールに変っていく時代に活躍したので、もちろんブルーズのテイストもありながらゴスペルのテイストも入った素晴らしいR&Bシンガーでソングライターでした。しかし、30才でガンで亡くなってしまいました。その最後となったシングルがいまの曲です。
いまのWhat Am I Living Forのシングルの片面が”Hang Up Rock & Roll Shoes”
6.Hang Up My Rock & Roll Shoes/Chuck Willis

まだまだいい曲を書いて、まだまだいい歌を残せる実力のあったチャック・ウィリスの若くしての死は本当に残念です。
今日聴いたジャスミンレコードの”The Song Of Chuck Willis/ From The Bottom Of My Heart”というCDはまだ出回っていると思います。アトランティック時代のアルバムでは1958年の”The King Of The Stroll”というのが一枚だけありますが、そしてもう一枚なくなってからアトランティックがリリースした”I Remember Chuck Willis”があります。
アルバムをゲットして是非ゆっくり聴いてみてください。