015.8.14 ON AIR「アナログレコードでブルーズを聴こう!シリーズ」第8回

Roots Of Rock Vol.2 (YAZOO 1063)
20150807 ON AIR TRACK LIST
1.Bull Doze Blues : Henry Thomas
2.Roll And Tumble Blues : Hambone Willie Newbern
3.That’s No Way To Get Along : Robert Wilkins
4.Walk Right In : Cannon’s Jug Stompers
5.Big Road Blues : Tommy Johnson

 

 

 

先週に引き続きロック・ミュージシャンがカバーした1920~30年代の貴重なブルーズの音源。「ルーツ・オブ・ロック」というタイトル通り、ロックの源となったこういうブルーズを60~70年代のロック・ミュージシャンたちは熱心に聴いていたんですね。
1曲目はどこかで耳にした方もいると思います。これは60年代アメリカのブルーズ・ロックバンド「キャンドヒート」が”Going Up The Country”というタイトルで美味しいところを使っています。有名な「ウッドストック」の映画の最初に流れてくる曲です。2曲目は「ローリン&タンブリン」として今やブルーズの定番曲となっていますが、シカゴ・ブルーズの親分マディ・ウォーターズもカバーし、ロックではジョニー・ウィンターなどカバーしている人が多い曲です。このハムボーン・ウィリー・ニューバーンが録音として残っている最初だろうと思います。3曲目はストーンズ・ファンなら68年のアルバム、名盤「ベガーズ・バンケット」でこの曲を「プロディガル・サン」というタイトルでカバーしてることを知っていると思います。このロバート・ウィルキンスが原曲ですが、こういう戦前の古いあまり知られていないブルーズをカバーするところに、ストーンズのブルーズへの懐の深さを感じます。4曲目は僕が中学生の頃に日本でもフォーク・ソングのブームがあったんですが、その頃に日本のフォークグループもよくカバーしてました。それは白人のルーフトップ・シンガーズというグループのカバーだったのですが、実はオリジナルはこのキャノンズ・ジャグ・ストンパーズだとブルーズに出会ってから知りました。1929年の録音です。最後5曲目はブルーズ史上では絶対に書かせない素晴らしい曲。ボニー・レイット、エリック・クラプトンがカバーしています。歌っているトミー・ジョンソンはおそらくブルーズ史上最強の酒飲みに入ると思いますが、工業用のアルコールも飲んでしまったという強者です。当然のようにアルコール中毒で死んでいます。
遠い昔のこういうブルーズが歌い継がれて現在のロック・ミュージックのルーツになっていることを知り、そのブルーズマンたちがどんな気持ちだったのかと想いを馳せるのも意味のあることだと思います。こういう音楽を最初から「古い」と聴かない人がいますが、僕はかってこういう言葉を詞にしました「古いものは明日には新しく、新しいものは明日には古い」。音楽に古いも新しいもありません。