2026.02.06 ON AIR

92才のブルースマン、ブルーズと歩み続けるボビー・ラッシュ

Bobby Rush vol.2

ON AIR LIST
1.Down In Louisiana/Bobby Rush
2.Porcupine Meat/Bobby Rush
3.Nighttime Gardener/Bobby Rush
4.I Don’t Want Nobody Hanging Around/Bobby Rush

前回は長い年月大きなヒット曲もなく、ひたすらチタリン・サーキットという各地の黒人クラブを毎晩のように演奏してツアーをする厳しい生活をしていた時代のボビー・ラッシュの話でした。
そんな中、2003年のマーティン・スコセッシが総監督を務めた”The Blues Movie Project」の7本の映画の中の一つ「ロード・トゥ・メンフィス」に出演したあたりから少し流れが変わってきます。南部にボビー・ラッシュというたたき上げの黒人ブルーズマンがいて、なかなか面白いライヴをやっていることが広まって行きました。そして2000年代は毎年のように精力的にアルバムを出し続けました。2007年頃になると海外ツアーも始めます。日本にはそれ以前1999年にパークタワー・ブルースフェスで来日しています。彼の活動が広がって行ったわけです。
そして2001年に”Hoochie Man”というアルバムが初めてグラミーにノミネートされます。ボビー・ラッシュこの時68才です。
今から聞いてもらう2012年の”Down In Louisiana”もノミネートされましたが賞を獲ることはできませんでした。79歳でした。でも、アルバムは充実した内容で評価も高く、セールスも良かったと思います。まずそのアルバム・タイトル曲。

1.Down In Louisiana/Bobby Rush

「ロード・トゥ・メンフィス」の映画の中で「オレもB.B.キングやバディ・ガイのようにグラミー獲って楽になりたいなぁ」とちょっと弱音を吐くシーンがありました。
それがやっと2017年のアルバム「ポキュパイン・ミート」で最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞でグラミーに輝きました。そのアルバム「ポキュパイン・ミート」からそのタイトル曲を聞きましょうか。この時ボビーはすでに83才。長く苦労して音楽を続けてきた彼が83才でグラミーを獲ったことに僕だけでなく長年のファンたちは本当に喜びました。
曲名の「ポキュパイン・ミート」のポキュパインというのは動物のヤマアラシのことでミートですからヤマアラシの肉。これは綺麗だけど危険な女をヤマアラシの肉にたとえた曲で見かけは美味しそうに見えるけどその肉は硬くて食べれないから、気をつけろよという意味。

2.Porcupine Meat/Bobby Rush

次のシャッフル・ブルーズにはニューオリンズに在住する私の盟友、山岸潤史が在籍した「パパ・グロウズ・ファンク」のレジェンドのドラマー、ジェフリー・ジェリービーンズ・アレキサンダーとスライド・ギターにケブ・モが参加しています。曲名は”Nighttime Gardener”ですから「夜の庭師」ですが、「オレは夜の庭師だ、昼間に庭に水を蒔く庭師がいるけどあれはあかんな。俺は君の庭に夜に水を蒔くんや」というボビーらしいちょっとエロい歌です。

3.Nighttime Gardener/Bobby Rush

先日の東京ビルボードのライヴにはダンサー兼コーラスのお姉ちゃんが一人だけ来ましたが、正式には2,3人お姉ちゃんが登場します。そのお姉ちゃんたちが全員めちゃ大きなお尻としっかりした足をしていて、しかもそれを強調したちょっとセクシーな衣装で登場するのがライヴの定番です。結構それだけでも盛り上がるのですが、曲に合わせてボビーが男の客に「どう、このお尻?」といってお尻を指差すとお姉ちゃんがお尻をブルブルと震わせたり、しゃがんだりしてよりエロくなります。それをコンプライアンスが・・とかセクハラとかいうのは無粋というものです。黒人の生活文化の伝統の一つみたいなもんです。アメリカだとお客さんは女性も大笑いです。まあ「男はほんまに女のお尻好きやねぇ。アホやね」という感じですね。
ボビーが歌の題材にしているのは本当に黒人の庶民の生活の匂いのあることで、お金のことだったり、食べ物のことだったり、不倫やセックスのことです。彼が「チタリン・サーキットの帝王」と呼ばれているのはそういう歌の題材にもよります。
次の歌も「俺が家にいない時、女房がひとりで家にいる時に誰かに家の周りをうろつかれたくないんよな」という歌で女房の浮気を心配してる歌です。

4.I Don’t Want Nobody Hanging Around/Bobby Rush

ファンクをやってもブルーズやっても南部のゆったりしたダウンホーム感があるところがボビー・ラッシュの特徴で、そこにウィットや笑いを入れ込んで本当に庶民の生活を歌い続けて来た人です。92才ですが東京ビルボードでの1月のライヴは元気で歌もハーモニカも年老いた感じありませんでした。ひとりでやったギターの弾き語りも心に残りました。素晴らしかったです。
また来年ぜひ来日してほしいです。お尻の大きなお姉ちゃんダンサーも一緒に!ボビー・ラッシュ最高でした。Hey Hey The Blues Is Alright!