2016.06.03 ON AIR

30年代の人気ブルーズマン、Jazz Gillumのゆるやかなブルーズ

JAZZ Gillum 1935-1947/Document Records DLP 522)

img01ON AIR LIST
1.Key To The Highway/Jazz Gillum
2.Midnight Special/Jazz Gillum
3.Keep On Sailing/Jazz Gillum
4.Hand Reader Blues/Jazz Gillum
5.Take A Little Walk With Me/Jazz Gillum

 

 

 

 

今日は(昔)いにしえのブルーズです。いにしえ言うても僕がON AIRしている曲は若い人にとっては全部いにしえやないか!になってしまうんですが、僕の中ではブルーズがエレキになる前のものが大体いにしえになってます。今日は1930年代から40年代にシカゴの人気者だったジャズ・ギラム。日本ではジャズ・ジラムという読み方をずっとされてきたんですが、英語としてはやはりギラムと呼ぶのが正しいと思うのでジャズ・ギラムと呼びます。
まずは彼を代表する曲で、エリック・クラプトン他たくさんのミュージシャンにカバーされ、いまも歌い継がれている名曲を。
Key To The Highway

歌もいいですけどギラムの哀愁のあるハーモニカもいいですね。
60年代のロックバンドCCRがカバーしていてそれで知ってる方も多いと思いますが、元々はフォーク・ブルーズシンガーのレッド・ベリーが元々あった民謡に歌詞をつけたと言われています。
ミッドナイト・スペシャルとは夜行列車の意味ですが、レッド・ベリーは刑務所生活をしていたことがあります。その時に夜行列車のライトが刑務所の壁を照らすのを見て、きつい労働をさせられる刑務所を出て自由になりたい気持ちをこの歌に託したと言われています。
Midnight Special

シカゴ・ブルーズというとマディ・ウォーターズなどのエレクトリックされた50年代のシカゴ・ブルーズを思い出しますが、それ以前のシカゴ・ブルーズのボスはこのジャズ・ギラムの録音でもギターを弾いているビッグ・ビル・ブルーンジー。
歌の間に入るギターやピアノのオブリーガードの感じは後輩マディたちのブルーズと同じですね。
Keep On Sailing

次の曲も戦後のシカゴ・ブルーズを代表するひとりで、マディはじめシカゴ・エレクトリック・ブルーズの立役者のひとりジミー・ロジャーズの「スラピー・ドランク」という曲を思い出させるスイングするビートが気持ちいい。これもこの時代にすでにその形やビートはできていたんですね。
Hand Reader Blues

このアルバムの裏の参加ミュージシャンのクレジットを何気なく見ていて、1930年代中頃から40年代中頃の録音なんですが、この主役のジャズ・ギラムもすごいブルーズマンですが、参加してるのがギターでビッグ・ビル・ブルーンジー、ピアノでルーズヴェルト・サイクス、ビッグ・メイシオ、エディ・ボイドそしてウォシュボードのウォシュボード・サムと、ブルーズの歴史に名前が残っている人たちがすごく多いです。やはりその時代のシカゴ・ブルーズの盛り上がりを感じます。
では、最後にシカゴ・ブルーズのギター名人、ロバートルJr.ロックウッドが41年にシカゴで録音した曲なんですが、これをこのジャズ・ギラムが6年後の47年に録音しています。
Take A Little Walk With Me

ジャズ・ギラムはほのぼのしてる、どこか田舎臭さを残した歌で全体の感じものちのマディやウルフのように攻撃的な感じもないですしね。たまに夜中、こういうブルーズを聴きながらぼんやりして、酒飲むのもいいかと思います。