2017.11.17 ON AIR

シカゴ・ダウンホーム・ブルーズの極みスモーキー・スマザーズ

Smokey Smothers Sings The Backporch Blues/Smokey Smothers
(OLDAYS RECORDS ODR6216)

Smokey Smothers Sings The Backporch Blues/Smokey Smothers(OLDAYS RECORDS ODR6216)

ON AIR LIST
1.Come On Rock Little Girl/Smokey Smothers
2.I’ve Been Drinkin’ Muddy Watter/Smokey Smothers
3.I Ain’t Gonna Be No Monkey Man No More/Smokey Smothers
4.You’re Gonna Be Sorry/Smokey Smothers
5.Way Up In The Mountain Of KentuckySmokey Smothers

 

 

 

今日はどっぷりダウンホーム・シカゴ・ブルーズです。
実は今日聴いてもらうアルバムはブルーズの隠れた名盤と言われるスモーキー・スマザーズの「Smokey Smothers Sings The Backporch Blues」Backporch というのは家の裏口のポーチ、裏口のベランダみたいなことです。だから直訳するとスモーキー・スマザーズが歌う裏口ベランダのブルーズと鳴りますが、まあ裏口での噂話みたいなことでしょう。

1. Come On Rock Little Girl/Smokey Smothers
当時シカゴでいちばん売れていたジミー・リード・スタイルのブルーズですが、ゆったりとしたダウンホーム感がいいです
スモーキー・スマザーズと言う人はこれといったヒットもないですが、50年代にはハウリン・ウルフのバック・ギタリストで、アール・フッカーやボ・ディドリーともやっていました。

このアルバムは1962年にリリースされたのですが、62年というとマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフのシカゴ・ブルーズの全盛がちょっと過ぎた頃で、このスモーキーはマディたちの次の世代のシカゴ・ブルーズマンで当時33才です。その下の世代、この頃20歳くらいだったのがマジック・サム、バディ・ガイ、オーティス・ラッシュでフレディ・キングが28才。もうシカゴにはいろんなタイプのブルーズ・ギタリストがめちゃたくさんいた頃です。それでそのフレディ・キングがこのアルバムで6曲参加しています。フレディとスモーキーのふたりのギターの絡み方が素晴らしくシカゴ・ブルーズのギターのお手本みたいな曲を聴いてください。
2.I’ve Been Drinkin’ Muddy Watter/Smokey Smothers

ギター二本がグイグイとドライヴしていくのをドラムが一緒にグルーヴしていくのですが、このドラムがフィリップ・ポールというこれまた名人で、フレディ・キングの大ヒット”Hide Away”ほかキング・フェデラルというレコード会社のスタジオ・ミュージシャン・ドラマーでいい曲にたくさん参加しています。ベースがいないのでドラムがすごく生々しく録音されていてドラムの人がシャッフルのリズムを研究するのにもこのアルバムはいいと思います。実はこのよく翌日にその大ヒット”Hide Away”がレコーディングされています。だから次世代のブルーズが生まれていく貴重な時代の録音です。
もう1曲フレディ・キングが参加している曲を聴いてみましょう
3.I Ain’t Gonna Be No Monkey Man No More/Smokey Smothers
生々しいサウンドでいいですね。60年代初期シカゴのブルーズクラブの風景が浮かんできます。
ピアノとかハーモニカとかホーンが入っていないのですごくギター・サウンドの作りがわかるし、彼の生まれ故郷南部ミシシッピーの匂いがやっぱりしてます。参加しているフレディ・キングがインタビューでジミー・ロジャーズのことを絶賛していましたが、フレディとかバディ・ガイとかマジック・サムがこういう伝統的なシカゴ・ブルーズギターを直接受け継いだ世代で、その後になるとやはりB.B.キング・スタイルのチョーキングを多様するモダン・ブルーズのスタイルになっていくんですが、彼らはしっかり南部スタイルも体得してます。
まあ、時代の流れとは言え、こういうギター二本、ドラムみたいな生々しい感じはなくなっていくんですが、どこかロック的で若い人たちも好きになるテイストを含んでます。ストーンズなんかはこのあたりをよく聴いていると思います。

では、典型的なスロー・ミディアム・テンポのシカゴ・ブルーズ・スタイル
4.You’re Gonna Be Sorry/Smokey Smothers
この間もコンサートの最後にブルーズのセッションがあったのですが、ほとんどのギタリストが今日聴いてもらっているようなウォーキング・ベースをーのパターン(ガッガ・ガッガ・・・)をギターで弾かないんですね。自分がソロを弾いている以外の時は適当にコードを鳴らしているだけなんですよ。でも、ブルーズのギターの絡みというのは今日聴いてもらっているようにいろいろあるんですよ。ブルーズ・ギターはソロを弾くだけではダメなんですよ。だから先日のセッションもぼくだけがずっと、ガッガ・ガッガ・・・ってリズムを弾くことになるわけです(笑)そのガッガ・ガッガ・・・がブルーズのリズムの命なんですよ。だから、ブルーズ・ギターを志向する方にはこういうアルバムとかエディ・テイラー、ジミー・ロジャースなんかをたくさん聴いて欲しいです。
5.Way Up In The Mountain Of KentuckySmokey Smothers
このアルバムは日本のオールデイズ・レコードからCD化されてリリースされています。