2018.01.12 ON AIR

レコードでブルーズ名盤を聴く
1990年ブルーズの名盤ジミー・ロジャース「ルデラ」

Ludella/Jimmy Rogers (Antone’s 12/BEDROCK RECORDS BEDLP13)

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ON AIR LIST
1.You’re Sweet/Jimmy Rogers
2.Rock This House/Jimmy Rogers
3.Ludella/Jimmy Rogers
4.Chicago Bound/Jimmy Rogers
5.Got My Mojo Workin’/Jimmy Rogers

 

 

 

 

シカゴ・エレクトリック・ブルーズの全盛期というのは、40年代中頃から50年代中頃だと言われている。今日聴いてもらうジミー・ロジャースも代表作と言われるのは、チェス・レコードで1950年代に録音したシングルを集めた「シカゴ・バウンド」となっている。確かに「シカゴ・バウンド」は名盤と呼ばれのにふさわしい一枚だ。
しかし、今回聞いてもらう1990年リリースの「ルデラ」というアルバムも素晴らしい一枚。シカゴ・ブルーズ全盛と呼ばれてから40年経ち、しかもシカゴではなくテキサスのアントンズ・レコードからリリースされたのが今回のアルバム
ドラムはスタジオ録音がハウンドドッグ・テイラーのバンドに在籍したテッド・ハーヴィ。そして、ライヴ録音はマディ・ウォーターズのバンドにいたウィリー・スミス、ピアノがパイントップ・パーキンス、ハーモニカがファビラス・サンダーバードのキム・ウィルソン、プロデューサーもキム。このあたりのメンバーを見ただけで期待感が高まる。ライヴの方にはギターのヒューバート・サムリンも参加。

まず一曲 今日もLPレコードなのでA面の1曲目です「君は素敵だ、ベイビーとっても素敵だ。通りを歩いている中で君がいちばん素敵だ。膝までのミニスカートにポンチョのケープを着ている君が素敵だ」
1.You’re Sweet/Jimmy Rogers

ガッガ、ガッガ、ガッガ・・というシャッフルのリズムがとにかく気持ちいいです。シカゴでカツ行くしたが、ジミー・ロジャーズの歌声は南部のダウンホーム・テイストを失ってない。キム・ウィルソンのハーモニカはパワーがあってバンドに力を与えているし、パイントップの落ち着いたピアノはもう国宝ものだ。

ライヴ・バージョンもいかにこのレコーディング・セッションがよかったかを示しているのが次のテイクです。非常に濃厚なブルーズの音の塊がグルーヴしている。
2.Rock This House/Jimmy Rogers

全盛と言われた40、50年代のシカゴ・ブルーズと今回聴いている90年のブルーズは違っていて当たり前。録音している場所も録音している機材もエンジニアも違うし、参加ミュージシャンも違うし・・ハーモニカのキムなんかはシカゴ・ブルーズに憧れた若手ですから。そしてジミー・ロジャースの歌う気持ちも昔とは違うし、時代の空気も違うし、だから一概に過去の録音と同じ土俵で比べるのはおかしいと思う。

次はアルバム・タイトル曲「ルデラ」女性の名前で「ルデラ、オマエの家の家賃も払ってやったし、なんでもオマエのためにしてやったん。でも、オマエなんか浮気してるやろ。ルデラ、オレの言うてることが聴こえるか、オマエになんでもしてやったけど、もうオマエとはやってられんわ」I Can’t Get Along With Youと歌っている。
3.Ludella/Jimmy Rogers
ルデラ、ルデラと歌う時のジミー・ロジャーズのもっちゃりした声がいいですね。B.B.キングのようなゴスペルからきた歌い方と違う南部ミシシッピーの土着を感じさせる彼の歌声がもうこのアルバムのど真ん中にあって、その周りを他の優れたミュージシャンが囲んでサポートしている素晴らしいセッションだ。

次はジミー・ロジャースを代表する曲で50年代の彼の名盤のアルバム・タイトルでもあった「シカゴ・バウンド」
「1934年にオレは彼女が行かないでというのを振切ってジョージアを出て、メンフィスへいったそこにも愛した女はおったけど、メンフィスを出てセントルイスへ行った。そんでセントルイスからシカゴへきた。シカゴがいいよ。最高の町や」
4.Chicago Bound/Jimmy Rogers

最後はかってバックを勤め、録音もたくさんしたマディ・ウォーターズの定番曲だったMojo Workin
このアルバムのブロデュースはハーモニカのキム・ウィルソンですが、キムは白人のブルーズバンド「ファビュラス・サンダーバード」のメンバーです。かってマディがあの天才と呼ばれたハーモニカのリトル・ウォルターにいちばん近いのは、キム・ウィルソンと言ったことがあるほどのハーモニカ・プレイヤー。このアルバムではちょっと音が大きい、出過ぎな感じもあるが、憧れのジミー・ロジャースと一緒というのでテンション高かったのでは・・。そのキムのテンションがこのアルバムの演奏をひっぱっているように思う。

5.Got My Mojo Workin’/Jimmy Rogers

今日は黄金期のシカゴ・ブルーズの立役者のひとり、ジミー・ロジャースの1990年のアルバム「ルデラ」でした。
彼は50年代はシカゴの売れっ子ミュージシャンでしたが、60年代は引退して服の店をやってたみたいで約10年間のブランクのあと72年にフレディ・キングの後押しもあって、レオン・ラッセルのシェルター・レコードからのアルバムで復帰してる。97年に残念ながら亡くなった。
ジミー・ロジャーズのこのアルバム「ルデラ」は買い!