2018.02.02 ON AIR

Nat King Cole/The Roots Of The Songs”A Tribute To Nat King Cole”(Oldays Records R-1700094~95)
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ON AIR LIST
1.Quizas,Quizas,Quizas/Nat King Cole
2.Lonely One/Nat King Cole
3.Route 66/Nat King Cole
4.It’s Only A Paper Moon/Nat King Cole
5.Love/Nat King Cole

 

 

 

 

この番組で前々回、ウエストコースト40年代の人気のブルーズ・ピアニスト、チャールズ・ブラウンを聴きましたが、今回はそのチャールズ・ブラウンに大きな影響を与えたナット・キング・コールを聴きます。
個人的な話ですが、実は僕の父はナット・キング・コールのレコードをよく聴いてました。父が洋楽でよく聴いていたのはキング・コールとプラターズでした。なんかラテンものも聴いてましたが、ミュージシャンの名前までは僕は覚えてません。
僕が生まれたのが1950年ですから、ナット・キング・コールのヒット曲が一気に日本にも入ってきた時代です。
そのヒットの中の一曲をまず聴いてみましょう。この曲はよく親父が口ずさんでいました。1958年キング・コールのヒットです。
1.Quizas,Quizas,Quizas/Nat King Cole
元々この曲はキューバの曲でキサスは「たぶん」っていう意味だそうです。だから「たぶん、たぶん、たぶん」ですね。
日本でもラテン系のアイ・ジョージさんがこの歌を歌っていたのを覚えてます。あと坂本スミ子さんも素晴らしいラテン系歌手でした。

うちの親父が聴いていたのは、キング・コールのジャズ・ヴォーカルでもポピュラーなヒット曲でしたが、僕は意味もわからず子供心になぜか次の曲がすごく好きで親父がいない時にレコードを出して聴いてました。
「寂しいとても無口な奴がいる」と始まるこの歌はやはり失恋の歌で「君が行ってしまったから僕はその寂しい奴、Lonely Oneになったんだよ」と。
なんでこんな寂しい歌を10才になる前に好きだったんでしょう、私は・・・。
2.Lonely One/Nat King Cole

キング・コールはポピュラーとかジャズ・ヴォーカルのカテゴリーに入ってますが、実は30年代にスイング・ジャズの実力派ピアニストとして活躍してました。そして、1939年にギターとベースとピアノだけのトリオ「ナット・キング・コール・トリオ」を結成します。当時はまだビッグバンド全盛の時代だったのでこのトリオ編成はかなり画期的だったのではないでしょうか。
そのトリオ時代に戻ったようなアルバム”After Midnight”が1957年にリリースされ、そこでは彼が素晴らしいピアノを弾いています。結局僕がいちばん好きなキング・コールのアルバムもその”After Midnight”ですが、その中からブルーズ・シンガーもよく取り上げる曲です。車でシカゴから旅をしていろんなアメリカの町を通ってウエストコーストまで行く歌です。
3.Route 66/Nat King Cole

僕もいまのRoute 66を歌ってましたが、もう一曲キング・コールで歌っていたのが次のペイパー・ムーンです。
タイトルを直訳するとそれはただの紙の月、つまり紙で作った月。見せかけの安っぽいものだけどもしあなたが信じてくれたら見せかけのものではないよ
あなたが信じてくれたら本当の愛になるという曲
4.It’s Only A Paper Moon/Nat King Cole
いい曲ですね。

キング・コールはラスベガスで白人の大きなクラブに出演するほど大スターになったのですが、人種の差別は有名になっても変らず白人のホテルには泊まれなかったり、レストランに入れなかったり、ステージで嫌がらせをされたりしたそうです。でも、彼はじっと我慢したそうです。
後輩にあたるレイ・チャールズやサム・クックはナット・キング・コールの成功をすごいと思っていたと思います。でも、彼らがスターに這い上がってきた60年代には黒人は我慢するだけでなく黒人の文化を大切にして誇りをもとうという風潮に変っていったんですね。
でも、僕はキング・コールが歌う時にきれいな白人の英語の発音をしたのを、サム・クックも意識したと思います。だからサムは白人の若い人たちに支持されたんだと思います。
そう思うとたかが発音だけでもアメリカの中の根深い差別主義を感じます。
最後はキング・コールが日本語でもレコーディングしたことのあるもう世界的に有名な曲を。
5.Love/Nat King Cole
ポピュラーな曲ですが、キング・コールのいろんな想いを推し量るとすごくいい歌詞ですね。
この歌を録音したあと1965年にキングめコールは亡くなりました。43才、若かったんですね。
いい歌がたくさんあります。冬の夜にホット・ウィスキーでも飲みながらナット・キング・コール・・・いかがでしょうか。