2018.07.13 ON AIR

LPレコードで聴く50年代ニューオリンズの重鎮、デイヴ・バーソロミュー

Shrimp And Gumbo/Dave Bartholomew(Imperial 1566311)
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ON AIR LIST
1.Shrimp And Gumbo/Dave Bartholomew
2.An Old Cow Hand From Blues Band/Dave Bartholomew
3.Somebody New/Dave Bartholomew
4.That’ll Get It/Dave Bartholomew
5.No More Black Night/Dave Bartholomew

今日は4000曲もアレンジ、プロデュースしたと言われる、50年代ニューオリンズのプロデューサー、アレンジャー、作曲家、トランぺッター、バンドリーダーそして歌手でもあるデイヴ・バーソロミューのアルバム”Shrimp And Gumbo”をLPレコードで聴きます。
デイヴ・バーソロミューはどちらかというと50年代のニューオリンズ音楽のプロデューサー、アレンジャーという裏方の重要人物という印象ですが、自分のシングル、アルバムもリリースしてました。
1920年12月24日生まれの彼は地元ニューオリンズで最初トランぺッターとして活動してました。その後兵役に行き、兵隊時代には作曲やアレンジの勉強をしていたらしいです。
兵役を終えてニューオリンズに戻るとサックス・プレイヤーのアルヴィン・レッド・タイラーやリー・アレン、そしてドラムのアール・パーマーなど才能のあるメンバーを揃えたバンドを作り、いろんな歌手のレコーディングやライヴをやるようになります。
そこから偉大なファッツ・ドミノのヒット曲の大半を彼がプロデュースアレンジし、アール・キング、クリス・ケナー、シャリー&リーのプロデュースをしてデビューさせる話が始まります。
このバーソロミューの次の時代がアレン・トゥーサンの時代になりミーターズなどが出てくるんですが・・。

まず一曲Shrimp And Gumboから聴いてみましょう。レーベルはインペリアル。50年代録音のシングルを集めたアルバムです。
アルバム・タイトル曲でいかにもニューオリンズらしいファンキーな曲です。
1.Shrimp And Gumbo/Dave Bartholomew
シュリンプは小さな海老のことでニューオリンズのいろんな料理に出てきます。そしてガンボはもうニューオリンズの名物料理で魚介類とライスを煮込んだものです。タイトルを見ただけでああニューオリンズとわかります。

ここで、ちょっと歴史を振り返ると1863年のリンカーン大統領の「奴隷解放宣言」のあとからニューオリンズではジャズが生まれます。ジャズはクレオールと呼ばれる黒人とフランスやスペインとのミックスの人たちによって作られたと言われています。それはブルーズにラグタイムやゴスペルやミンストレルといったいろんな音楽の要素が合わさってできたものです。その流れの中でニューオリンズ生まれの有名なコルネット・プレイヤー、ルイ・アームストロングが人気を博して、やがて世界を駆け巡る偉大なジャズ・プレイヤーになっていきます。そして、ニューオリンズのジャズも全米から世界へ。40年代に入るとジャズは大所帯のビッグ・バンド・ジャズが盛んになり、そのジャズのビッグバンドに歌手を入れてクラブで演奏する内にジャズ・ヴォーカルではなくニューオリンズ独特のR&Bが生まれていきました。そこにはジャズの要素だけでなくニューオリンズの海の向こうのリズム、カリプソやルンバの要素が入り、もちろんブルーズのテイストも入ってます。当時の流行だったダンサブルなジャンプ・ブルーズの要素も強く入ってました。
そして、そのビッグバンドを作って仕切っていた1人がデイヴ・バーソロミューでした。
今日のこのアルバムShrimp And Gumbo1949年から62年までの録音が入ってますが、その間に彼はトミー・リッジリー、ファッツ・ドミノ、クリス・ケナーといった人たちをデビューさせ、ヒットさせニューオリンズR&Bの創始者のひとりとなったのです。

次の曲もいかにもニューオリンズという感じのわくわくするような曲です。デイヴ・バーソロミューこの時絶好調です。
2.An Old Cow Hand From Blues Band/Dave Bartholomew
途中のサックスソロはリー・アレン、ドラムはアール・パーマーと当時のニューオリンズの一流ミュージシャンが集まったバンドで、演奏のクオリティの高さは当然です。

次の曲は同じニューオリンズのスマイリー・ルイスが56年に録音したもののカバーです。バーソロミューはバックに女性コーラスを入れてよりポップな感じに仕上げてます。ニューオリンズのナイトクラブの雰囲気を楽しめる曲で、このテイクにはピアノに天才と呼ばれたジェイムズ・ブーカーが参加しています。「いつの日か僕が君を欲しいように君は僕を欲しくなる。でも、僕は新しい彼女と行くつもりだよ。いつの日か僕が流したように君は泣いてくれるのだろうか」
3.Somebody New/Dave Bartholomew
ちょっとカクテルでも飲みたくなるでしょう。チークダンスしたくなるでしょう。
ニューオリンズでも大きな会場でやる超有名ミュージシャンもいいんですが、小さなクラブでやっている地元ローカル・ミュージシャンでいい人がたくさんいるんですよ。そういう時になんか本当にその土地に旅しに来てよかったなぁと思います。
次の曲は1953年のニューオリンズではなくテキサス、ヒューストンの録音になっていて、名前は書いてないんですが参加ミュージシャンも全部テキサスです。ライヴツアーにテキサスへ行った時に録音したものでしょうか。そして、ヴォーカルだけセスタ・エアーズと名前があって調べたんですがミュージシャンではなく、地元テキサスのラジオのDJらしいです。まあまあええ声してます 。曲はジャンプ・ブルーズからロックンロールへ移っていく53年という時代を感じさせるダンサブルなブルーズです。
4.That’ll Get It/Dave Bartholomew
次はライナーを読むと1951年のチャールズ・ブラウンの大ヒット”Black Night”のアンサー・ソングと書いてあります。ウエストコーストのチャールズ・ブラウンの”Black Night”は遠くルイジアナ、ニューオリンズにもにも影響を与えてたんですね。ピアノとサックスの醸し出すムードがもう実にブルージーないい感じで、バーソロミューの歌も上手いわけではないんですがストレートで味があります。
5.No More Black Night/Dave Bartholomew

今日のディヴ・バーソロミュー・オーケストラのような50年代の楽団はみんなお揃いのスーツをぴしっと着て、靴もピカピカで、こざっぱりしたミュージシャンがきれいなクラブとかボールルームと呼ばれるダンスホールで演奏してました。