2018.07.20 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ/聞き逃していたゲイトマウス・ブラウン

Pressure Cooker/Clarence Gatemouth Brown (Alligator AL 4745)
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ON AIR LIST
1.She Winked Her Eye/Clarence Gatemouth Brown
2.My Time Is Expensive/Clarence Gatemouth Brown
3.Pressure Cooker/Clarence Gatemouth Brown
4.Ain’t Nobody Here But Us Chickens/Clarence Gatemouth Brown
5.Cold Strings//Clarence Gatemouth Brown

今日はアルバート・コリンズ、ジョニー・ギター・ワトソン、ジョニー・コープランドはじめ多くのブルーズ・ギタリストに影響を与えたゲイトマウス・ブラウンの73年録音のアルバム”Pressure Cooker”を聴きます。
クラレンス・ゲイトマウス・ブラウンは2005年に81才で亡くなるまでたくさんのレコード・レーベルに、たくさん音源を残しました。
ブルース史上に名を残したのは50年代のピーコック・レコードに録音した音源だと思います。僕がブルーズを聴き始めた頃は、そのピーコックレコードのアルバムがなくて、レッド・ライトニンというレーベルからブートレッグでリリースされていた「サンアントニオ・ボールバスター」というアルバム聴いてました。
そのアルバムに1949年から59年までのピーコックの主な曲が収録されていて聴き倒しました。
その時代のゲイトマウスが素晴らしすぎて、その後の彼のアルバムを耳にしてもあまり心が動かなかったというのが僕の本音です。
しかも、その後ゲイトは60年代に入るとフィドル(バイオリン)を弾いてカントリー・ミュージックをやり始めます。このカントリーをやるゲイトが僕は正直好きになれなかった。カントリー・ミュージックは嫌いではないんですが、ゲイトがやるカントリーがまったくいいと思えなかった。
それであまりゲイトのアルバムを買わなくなっていて、今日聴くこのアルバムも何度か中古盤屋さんで見かけてたんですが買いませんでした。
ところが先日、このレコードを見つけた時に安かったこともあるのですが、買ってみようかと思い買ったら「ええアルバムやないか」ということになったわけです。
このアルバム”Pressure Cooker”は1973年にフランスのパリで録音されてます。
最初の曲はその50年代ピーコックレコーで時代に録音した曲の再録音です。
1.She Winked Her Eye/Clarence Gatemouth Brown
ゲイトマウスは60年代中頃にはダラスのテレビ局のR&Bの番組「ザ・ビート」のハウスバンドのバンドリーダーをやっていて、まだまだテキサスではブイブイいわしてました。
でも、70年代に入ると彼がやるジャズ・テイストやカントリー・テイストの音楽がブルーズファンにも敬遠されて、彼はニューメキシコに住んでそんなにツアーもやらなくなっていました。でも、彼はヨーロッパでは人気があり、このアルバムにも参加しているジャズのピアニスト、ジェイ・マクシャーンやサックスのアーネット・コブたちとヨーロッパでツアーをしていました。このアルバムはたぶんそういうヨーロッパ・ツアーの途中で録音されたものだと思います。
フランスのレーベル”Black & Blue”の73年録音ですが、僕がもっているのはその録音を1985年にアメリカのアリゲーター・レコードがリリースしたものです。このアルバムはグラミーにもノミネートされたんですが、それも僕は知らなかった・・・。

次の曲も1949年に録音したものの再録です。すごくいいムードのスローブルーズでゲイトのギターもジェイ・マクシャンのピアノも素晴らしいです。
2.My Time Is Expensive/Clarence Gatemouth Brown
こういうのを聴くとこんなにいい感じでブルーズができるのになんでカントリーやらなあかんの・・と思うんですよね。カントリーを前面に出してやったことでゲイトマウス・ブラウンというブルーズマンのイメージはぼやけてしまったと僕は思っています。でも、カントリーとかジャズは彼のやりたかったことだから仕方ないですが・・。
では、アルバム・タイトル曲”プレッシャー・クッカー”
インストルメンタルですが、ゲイトマウスのアグレッシヴなギターのスピード感が堪りません。
途中のテナーサックスのソロはアーネット・コブです。アーネット・コブはジャズのサックス・プレイヤーの中でもブルーズに近い人でゲイトと同じテキサス出身です。
3.Pressure Cooker/Clarence Gatemouth Brown
タイトルのプレッシャー・クッカーは圧力鍋だけど圧力鍋いう感じの曲ですかね。早く調理できるから早いテンポいうことですか・・・。
ジャズギターのジョージ・ベンンソンの曲にクッカーというのがあり、メロディも似ていてそれもめちゃテンポの速い曲なんですが、なにかテンポが早いこととクッカーは関係あるのでしょうか。ご存知の方ご一報ください。
でも、まあギターはめちゃ上手いです。ゲイトはピックを使わないで指で弾くんですが、たぶん親指、人差し指、中指の三本で弾いてるんですが、目に留まらないくらい早いです。こういうゲイトのギター奏法をその後のジョニー・ギターやアルバート・コリンズがマネしたというか引き継いだというか、テキサス・ブルーズ・ギターのひとつの伝統みたいになったわけです。

次は40年代ジャンプ・ブルーズの王様、ルイ・ジョーダンのたくさんあるヒット曲の中のひとつ。たぶん、ゲイトが音楽をやり始めた10代の頃の超人気ミュージシャンだったルイ・ジョーダン。ゲイトが流行らせた「ヒューストン・ジャンプ」と呼ばれたダンサブルなブルーズにもすごく影響があったと思います。
4.Ain’t Nobody Here But Us Chickens/Clarence Gatemouth Brown
長い間、このアルバムを知っていながら買わなくてゲイトマウスさんすんまへんでした。