2018.11.23 ON AIR

サザン・ソウル・シンガー、ウィリー・ハイタワー78才のニューアルバム
Out Of The Blue/Willie Hightower (ACE CDCHD 1520)
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ON AIR LIST
1.I Found You/Willie Hightower
2.Somewhere Dry/Willie Hightower
3.Tired Of Losing You/Willie Hightower
4.Easy Lovin’/Willie Hightower
5.Raining All The Time/Willie Hightower

7月に昔のアルバムをON AIRしたウィリー・ハイタワーが日本に来てくれました。
10月27日に東京のビルボードのセカンドステージを僕は観たのですが、落ち着いたサザン・ソウル・マナーの歌は派手さはないんですが、心のこもった誠実な歌でした。
御年78才なので若い頃のハイトーンのところは少し声が出にくそうな感じもありましたが、全体的には78才でここまで歌えるのか・・と感激しました。
そして来日の前になんと初めてのトータルなソロ・アルバム”Out Of The Blue”をリリースをしたことにも驚きました。今日はその新譜を聞きます。しかも全曲新曲です!
今日はウィリー・ハイタワーのニューアルバム”Out Of The Blue”です。
まずは収録されている1曲目
「愛を失ったときのことを想い出すよ。すごく好きだった人が行ってしまってオレは泣けるだけ泣いた。死にたくなるような気持ちなんて初めてだった。この世の中が終わりに思えたし、二度と恋はしないと思っていた。でも、でも、君を見つけた。君と知り合ってしまった」
1.I Found You/Willie Hightower
まだこんなに歌えるバリバリ現役です。
ビルボードで聴いたときに楽屋の出入り口の近くの席でした。それでこの新しいアルバムからの曲を一曲も歌わなかったので、ウィリーが楽屋に戻る時に握手して「新しいアルバムのI Found Youを聴きたいです」って言ったら満面の笑みでもう一度強く手を握り返してくれたので、これは歌ってくれるかなと思ったらサム&デイヴのカバーの「ソウルマン」でした。ちょっとがっかりでした。たぶん、ギターのスティーヴ・クロッパーが一緒に来ていたので有名なクロッパーを立てて彼が昔録音に参加した「ソウルマン」になったんでしょうが・・・。
クロッパーはウィリーの曲をいろいろ間違えてました。というかほとんどの曲ちゃんと弾けてなかったです。ギターの音が聴こえてない時もありました。
クロッパーは日本で知っているお客もそこそこいるので集客が増えるという意図で彼を入れたのでしょうが、もっとしっかり弾いて欲しかったですね。でも、そういう状況でもウィリーは一生懸命歌ってましたよ。

2.Somewhere Dry/Willie Hightower
こういう大人の男の失恋ソウルがまたたまらんのですよ。タイトルがね涙の出ないどこかSomewhere Dry・・

ウィリー・ハイタワーは1940年アラバマの生まれです。多くのソウルシンガーと同じように子供の頃から教会で歌い、ゴスペルクワイアの経験を経てソウル・シンガーになってます。1956年16才でプロに。この当時のソウルシンガーの多くはサム・クックの影響を受けてますが、ウィリーも同じです。7月にウィリーの昔の音源を聴きましたが、その中にウィリーのヒット”If I Had A Hammer”がありましたが、その曲もサム・クックが歌っていたからカバーしたものでした。1960年代なかばからシングルをいろんなレコード会社からリリースしているけれど、チャートのトップ10位に入るような大ヒットはないもののウィリーの歌に魅了される人たちは多かった。大きなヒットはないもののシンガーでいられたのはやはりライヴでの彼の歌の実力があったからです。70年代に突入しアラバマのフェイムレコードと契約し、そこで録音した”Walk A Mile In My Shoes”がチャートの30位に入った。これで勢いがつけばよかったのだけどその後が続かなかった。80年代に入ると録音も少なくなりあまり名前を聞かなくなっていきました。それが今回の久々の録音、78才初アルバムですから驚きました。

今回のアルバムはほとんどテンポがミディアムで早い曲はないのですが、そこがもの足りないと思う人もいるかも知れませんが、僕は返って落ち着いたアルバムになっていると思います。
3.Tired Of Losing You/Willie Hightower
ウィリーはすごく有名にもならなかったし、しばらくシーンから離れて歌っていない時もありました。その時はお母さんの身体の調子が悪くて他の仕事をしながら面倒を見ていたそうです。
4.Easy Lovin’/Willie Hightower

僕はソウル・ミュージックとブルーズが好きになったのが同じ70年代最初に同じように好きになったので、その垣根はなくずっと聴いてきました。オーティス・レディングはじめメンフィスのスタックスレコードのシンガーたち、ジェイムズ・カーやスペンサー・ウィギンスに代表されるゴールドワックスレコードのシンガーたち、バックビートのO.V.ライト、O.Vはその後ハイレコードに移りましたが、そこにいたアル・グリーン、オーティス・クレイ、アン・ピーブルズ・・・本当にサザンソウルが輝いていた60年代70年代でした。いまも活躍しているシンガーもいますが、ディープなフィーリングとソウルという言葉に表されている魂を感じさせてくれるいわゆるサザンソウル・シンガーはすっかり少なくなってしまいました。そんな中、78才のウィリー・ハイタワーのこの新譜はうれしくなる一枚です。
最後にウィリーに言いたいです「たぶん、ステージの上の演奏があなたの思うようにはなってなかったと思います。でも、あなたが心を込めて一生懸命歌ってくれたことをたくさんの人がちゃんとわかってます。少なくとも僕は。だからまた日本に来てください」
Thank You For Coming To Japan,Willie! And I Love Your New Album”Out Of The Blue” Please come to Japan once again.