2019.02.08 ON AIR

テキサスから発信された現在の女性ブルーズ・シンガーたち

Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies/I Just Wanna Make Love To You (Mr.Daddy-O Records SPACE-016)

ON AIR LIST
1.I’ll Be There/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
2.I’ve Got A Feeling/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
3.Just Like A Fish/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
4.One Good Man/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
5.I Just Wanna Make Love To You/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies

 

今日は昨年11月にリリースされた「Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies」です。
ブラッデェスト・サキソフォンは日本のジャズ・ジャンプ・ブルーズバンドなのですが、まだ一度もライヴを聴いたことがありません。
プロフィールを見ると20年前から活動しているんですね。アルバムも何枚かリリースされているし、今回も今日聴くアルバムと自分たちのアルバム「Bloodest Saxophone IN TEXAS」の二枚を同時にリリースしています。バンマスでテナーサックスの甲田伸太郎さんを中心にトロンボーン、バリトンサックス、ギター、ベース、ドラムという編成です。

このアルバムはフューチャリング・テキサスブルーズレディーズとなっているようにテキサスの女性シンガー5人がブラッドサキソフォーンをバックに歌う内容になっています。
最初はソウル・サポーターズというコンビ名でコーラスの仕事もしているローレン・セルヴァンテスとアンジェラ・ミラーのふたり。曲はサックスプレイヤーで、キングピンズという自己のバンドで多くの録音を残し、アレサ・フランクリンの名盤”Amazing Grace”にも参加しているキング・カーティスとメルヴィン・ダニエルズというシンガーの共作です。
思えばキング・カーティスもテキサス出身ですね。
1.I’ll Be There/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
すごく軽快な気持ちのいいブルーズで声もいいですよね。

数年前からアメリカでブルーズが盛り上がっているのはテキサス、オースティンと言われていたんですが、ここ数年本当にテキサスからブルーズというルーツ・ミュージックをしっかり踏まえ、しかもオールドスタイルだけでないどこか新しさを持った音楽が発信されています。
次の曲なんかも「これ、いつの時代やねん」と言いたくなるほどしっかりルーツを感じさせてくれる一曲です。このI Got The Feelingは元々は30年代から60年代にかけて長く活躍した女性シンガー、ビッグ・メイベルの歌で、ブルーズ好きな方はどこかで聴いたことのあるリフだと感じると思います。このアルバムの一曲目に入って曲で、ここで歌っているのはディアンナ・グリーンリーフというシンガーですが、なかなか骨太のシンガーです。
2.I’ve Got A Feeling/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
これ何も言わずに聴いてもらったら1950年代くらいの録音だと思う人もいると思いますが、録音は去年の9月テキサス、オースティンの録音です。

次はこのアルバムで5曲ソロで歌っているクリスタル・トーマスさんですが、5曲収録されているのでイチオシなのでしょう。年末に日本に来られたのでどこかでご覧なった方もいるかと思います。
クリスタルさん、おいくつかわかりませんが、すごく落ち着いた歌いっぷりで、シャウトしたり唸ったり、がなったりしないところがいいですね。女性のブルーズ・シンガーでがなるように歌う人が僕は苦手なんですが、クリスタルさんはナチュラルでストレートな感じでいいです。曲は僕の好きなエスター・フィリップスも歌っていたと思うのですが、オリジナルはブルーズ・シンガーの極みジュニア・パーカーで1967年の「Like It Is」というアルバムに収録されてます。
3.Just Like A Fish/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies

次もクリスタル・トーマスで曲はジャニス・ジョップリンが作詞作曲して歌った”One Good Man”。1969年の「i got dem ol’ kozmic blues again mama 」通称「コズミック・ブルーズ」というジャニスのアルバムに入ってるんですが、僕もロック好きだった頃よく聴いたアルバムです。クリスタルさんはジャニスのように激しく歌わないで静かに攻めてくる感じで、それもまたいいです。
そういえばジャニス・ジョップリンもテキサスのポートアーサーという街の出身でした。同じテキサスということもあってクリスタルさんはこの曲を選んだのでしょうか。
「私はいろんな高いものが欲しいわけではなくて、正直な嘘偽りのない男が欲しいの」
4.One Good Man/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies

最後はこのアルバムBloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladiesのアルバムタイトル曲で、参加した女性シンガー全員で歌っています。マディ・ウォーターズの有名ブルーズですが、僕も昔ウエストロード・ブルーズバンドの「ジャンクション」というアルバムでファンク・テイストにアレンジしたんですが、こういうアレンジもあるかと想いました。
このアルバムに参加のクリスタル・トーマス、ジェイ・マラーノ、アンジェラ・ミラー、ディアンナ・グリーンリーフ、ローレン・セルヴァンテスの五人で歌ってます
5.I Just Wanna Make Love To You/Bloodest Saxophone feat.Texas Blues Ladies
恐らくアメリカにはまだまだブルーズを歌ういいシンガーがいるんだと思います。それも懐かしのブルーズではなくいまの感じで歌える人たちが・・、これからもこういうブルーズシンガーを探して僕たちに届けてもらいたいです。最後に苦言をひとつ、日本で聴いてもらうことを意識したのかどうかわかりませんが、山下達郎さんの”Your Eyes”をクリスタルさんが歌ってますが、その曲はアルバムのコンセプトには馴染まないと僕は思います。いい曲ですが、このアルバムには要らなかったと思います。
今日は昨年11月にリリースされたBloodest Saxophone feat.Texas Blues LadiesのI Just Wanna Make Love To Youを聴きました。