2019.07.19 ON AIR

シカゴ・ブルーズの名門レーベル「チェスレコード」の兄弟レーベル「チェッカー」の蔵出しブルーズ vol.2

Blues From The Checker Vaults (ONE DAY MUSIC DAY2CD245) 
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ON AIR LIST
1.Pretty Thing/Bo Diddley
2.Country Boogie/Elmore James
3.Me and My Chauffeur/Memphis Minnie
4.Fouty Cup Of Coffee/Danny Overbea
5.Dorothy Mae/Joe Hill Louis

前回に引き続きチェッカー・レコード音源を集めたコンピレーション・アルバム”Blues From The Checker Vaults”を聞きます。
チェスレコードがマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフで儲かり、契約するミュージシャンも増えて新たに作ったレーベルがチェッカーです。チェスからチェッカーってちょっと洒落てていいですよね。
チェスはブルーズのレーベルとして有名ですが、チェスは他にも「アーゴ」というジャズ系レーベルも設立しています。今日聴いてもらうチェッカーというレーベルはブルースマンもいますが、当時の新しい動きのR&B系のミュージシャンも多く在籍していたし、ドゥ・ワップのコーラスグループやゴスペルグループもいました。
今日最初に聴いてもらうボ・ディドリーは一般的にロックンロールのカテゴリーに入れられているのですが、僕にとっては唯一無比のグルーヴィーなR&Bです。
当時としては斬新なサウンドとグルーヴで一度聞いたら忘れられないひとりです
僕らは弁当箱と呼んでますが、四角いボディのギターを持っているのも彼のトレードマークですが、そのギターにボヨヨーンというエフクトのトレモロをかけるのが彼のサウンドの特徴。
聞いてもらうのはPretty Thing 可愛いものと言うタイトルですが、何か日本語では言いたくないほどチャラい歌です
のっけにYou Pretty Thingですから「君、かわゆいよね~」ですよ。そして立て続けにLet me buy you a wedding ringですから「結婚指輪を買わせてくれへんか」です。かわゆいと言ってからすぐに結婚指輪です。その後もずっとぐどき文句が続いて、やさしくキスさせてくれよとかオレの人生をすべて君に捧げるとか言うとります。
1.Pretty Thing/Bo Diddley
チャック・ベリーと並んで50年代ロックンロールのブームを作ったボ・ディドリー、YouTubeでライヴ映像が見れますが、めっちゃカッコいいです。とくにリズムギターの女性がロングのタイトスカートで踊りながらギター弾く様がセクシーでいいです。

次はエルモア・ジェイムズなんですが、エルモアとなればスライド・ギターと思われがちですが、エルモアはスライドギターでなくて普通に弾いてもギター上手いんですよ。スライドギターだとアーシー、土着的なスタイルになるのですが、普通に押弦で弾くと意外とモダンなギターを弾くところがおもろいです。
ライヴの映像が残ってないので実際ステージでどのくらいの割合でスライドギターを弾いていたのかわからないのですが、写真を見るとスライド・バーをはめてないものも多くて普通に弾いてことも多かったのではと思うのですが、その辺りの情報というか記録はないのかなと思います。エルモア・ジェイムズのインストルメンタルの曲です。
2.Country Boogie/Elmore James
サックスもピアノもいいですが、やっぱりエルモアはインパクトの強いスライド・ギターですかね・・。

メンフィス・ミニーがチェッカーで録音を残しているとは気づかなかったです。彼女は1920年代から活躍している、ベッシー・スミスと並ぶ偉大な女性ブルーズシンガーです。1929年が初録音です。1960年に病気で倒れるまで、Columbia, Vocalion, Bluebird, OKeh, Regal, Checker, and JOBといろんなレコード会社に録音した人気者で歌だけでなくギターがまた上手い。
タイトルが「Me and My Chauffeur」というのですが、Chauffeur(ショーファー)とはお抱え運転手のことで「わたしのお抱え運転手にならへん。ダウンタウンへドライヴに連れてってほしいのよ。彼はとっても運転が上手くて、私は断りきれへんわ。でも、いろんな女に手を出す男はいらんよ。そうなったら私のお抱え運転手をピストルで打つからね」
まあ、ブルーズによくある乗り物ネタ、車に乗るイコール夜の営みとのことで運転が上手い男は断れないわということです。
3.Me and My Chauffeur/Memphis Minnie
私のお抱え運転手にならへんかというくらいで、メンフィス・ミニーは3回運転手。旦那さんを変えてます。若い頃はなかなかべっぴんさんでギターも上手いし、歌もうまいで、モテたでしょうね。

次はダニー・オーバービーってあまり知られてないブルーズマンです。
50年代にシカゴで活躍したギタリスト&シンガーのブルーズマン。
1940年代中頃から活動し始めて50年代初めにシカゴのクラブ常連ブルーズマンになったんですが、人気者になった理由のひとつは背中や歯でギターを弾くパフォーマンスをやってたかららしいです。T.ボーン・ウォーカーの真似ですが・・。
52年にチェスレコードと契約して今日のテーマになってるチェッカー・レーベルから”Train, Train, Train” という曲をリリースすると、なんとR&Bチャートの7位まで上がるヒットに。そしていまから聴いてもらう”Forty Cups of Coffee”が二枚目のシングルとしてリリース。
ダニー・オバービーさんの知られている曲はこの二曲だけで、その後同じチェス系列の「アーゴ」というレーベルに移って、50年代後半はこれもブラック・ミュージックでは有名な「フェデラル・レコード」に移籍して録音しましたがヒットは出なかった。70年代までシカゴのクラブで活動してましたが、76年に音楽界からリタイアして94年に68才で亡くなりました。

それでこの曲なんですが、「ロックン・ロールの初期の曲」と言われているのですが、僕にはR&Bにしか聴こえないんですが・・。曲名がForty Cups of Coffeeですから40杯の珈琲です。最初にPace the floorという歌詞から始まるんですが、たぶんリビングルームでイライラして行ったり来たり、とまったり、じっと何かを見つめたりしながら珈琲を呑んで頭を掻いたりしてるわけです。嫁さんか彼女が家に帰って来ないのでイライラしながら40杯の珈琲を呑んだという歌です。結局A Quarter to fiveですから朝の5時15分前に帰ってきてこの男怒るのかなと思ったら、ハグしてキスしたいくらい嬉しいわけです。最後に40杯珈琲飲んだけどオマエが帰ってきてくれてオレは嬉しいよ~で終わってるんですが、オレやったら別れてますよ。お人好しの男のブルーズです
4.Fouty Cup Of Coffee/Danny Overbea
チェッカーというレーベルは60年代のR&B,ソウルものもたくさんレコーディングしていましたが、このコンピレーション・アルバムでは一応ブルーズにしぼっている感じですね。
シカゴに会社があったからと言ってシカゴのミュージシャンだけを録音していたわけではなく、いろんな街にいいミュージャンがあると出かけていって録音したり、次のジョー・ヒル・ルイスなんかはメンフィスの「サンレコード」が録音したものを買ってチェッカーがリリースしています。
確かにさっきのシカゴ録音のダニー・オーバービーさんなんかと比べてみると、やはりメンフィスのワイルドな感じがはっきりあります。
私の大好物のワンマンバンドで有名なジョー・ヒル・ルイスさんですが、この曲ではひとりではなくてバンドでやっています。ギターの音の太い感じとワイルドなグルーヴがたまりません。
5.Dorothy Mae/Joe Hill Louis