2021.09.17 ON AIR

この夏、私のヘビー・ローテーションだったロス・ロボスの新譜”Native Son”vol.2

Los Lobos / Native Son (NEW WEST NW 6516)

ON AIR LIST
1.Los Chucos Suaves / Los Lobos
2.Dichoso / Los Lobos
3.Flat Top Joint / Los Lobos
4.Love Special Delivery / Los Lobos
5.Jamaica Say You Will / Los Lobos

前回に引き続きロス・ロボスのニュー・アルバム”Native Son”特集
この夏、ヘヴィ・ローテーションでよく聞いたアルバムでした。タイトル曲の”Native Son”を除いて他の曲は全てカバー曲。
今回のアルバムはロス・ロボスのメンバーが子供の頃から青春時代を過ごした頃の思い出深い曲のカバー集ですが、やはり彼らがチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人なのでチカーノ音楽の先輩たちの曲も録音されています。
最初の曲名はLos Chucos Suaves(ロス・チュコス・スワベス)スペイン語なので発音が正確にあっているかどうかわからないのですが・・。
ロス・ロボスのメンバーと同じメキシコ系アメリカ人のチカーノの伝説的なミュージシャン、ギタリスト ラロ・ゲレーロの曲。「チカーノ・ミュージックの父」と呼ばれるゲレーロは彼らにとっては尊敬する大先輩で、ゲレーロとは95年にコラボで”Papa’s Dream”というアルバムも作っているんですが、残念ながら僕は聞いていません。どうも子供用のアルバムみたいです。ライ・クーダーのアルバム「チャヴェス・ラヴィーン」でもゲスト参加したゲレーロはこの曲を歌ってました。
1.Los Chucos Suaves / Los Lobos

次の曲「ディチョソ」はこのアルバムの中でもめちゃくちゃ好きな曲です。好きな人と2人でいたらチーク・ダンスでもしてください。もちろん1人で踊ってもいいんですが。  
原曲はアフロ・キューバン・ジャズ、ラテン・ソウルのパーカッショニストとして有名なウィリー・ボボです。
ウィリー・ボボはマイルス・デイヴィス、ウィントン・ケリー、ハービー・ハンコックなど素晴らしいジャズマンのアルバムに参加し、ステファン・スティルスなどロックからもちろんラテンのファニア・オールスターズなどのアルバムにも参加してます。いい曲です。
2.Dichoso / Los Lobos
ぼくはこういうラテンの曲が好きなのですが、小学校5年生の頃に亡くなった父に連れられて有名な「ミカド」というキャバレーに連れられて行ったことがあります。父もなんでそんなところに子供の私を連れて行ったのかわからないんですが、その時ステージがあって生演奏、つまりライヴ演奏をやっていたわけです。そのバンドがラテン・ジャズの「有馬徹とノーチェクバーナ」というオーケストラで、歌が坂本スミ子さんとアイ・ジョージさんでお二人ともラテンの曲を歌ってました。子供心になんかすごいなぁと思ったのですが、後から聞いたらお二人ともめちゃくちゃ歌のうまい人で、坂本スミ子さんは本場からも誘いがあったそうです。その頃からうちで父親がラテンもののレコードを時々聞いてたのでそういう音がどこか心に残っているのかなぁと思うのですが・・。

次もロスのロックというよりロカビリーのバンドでザ・ブラスターズのカバーです。ブラスターズは元々ブルーズが好きなバンドでハウリン・ウルフのカバー、ビリーボーイ・アーノルドのブルーズのカバーなども録音しています。ロス・ロボスとは仲がいいみたいでブラスターズは79年結成ですから、後輩バンドですね。
曲はブラスターズのデイヴ・アルビンが作ったものです。
3.Flat Top Joint / Los Lobos

次は60年代のロスのバンドでThee Midnighters(ジー・ミッドナイターズ)の曲のカバーです。ちょっと余談になりますが、このバンドはTheではなくてTheeと頭についていいるのですが、これは古い英語で聖書などに出てくる言葉ですが、古い日本語でいうと汝とかそなたとか、つまりあなたという意味ですが、なんでそういうバンド名にしたのか
このミッドナイターズはロス・ロボスと同じイースト・LA出身のメキシコ系のチカーノの大先輩バンドにあたり、リード・ヴォーカルのリトル・ウィリーGは実力も人気もすごくあり、ソロでも活動してました。
4.Love Special Delivery / Los Lobos

最後、オリジナルはシンガーソングライターのジャクソン・ブラウンの曲です。これは1972年彼のファースト・アルバムの最初に収録されていて
ジャマイカと呼んでいた好きだった女の子と毎日草むらに寝転んだりして遊んでいた。また明日もくるよって言ってくれよ。お父さんが船の船長さんなんですかね。彼女はお父さんに連れられて航海に出てしまったみたいな歌です。Sweetな少年時代の思い出のラブ・ソング
5.Jamaica Say You Will / Los Lobos
最後にwe will sail until our waters have run dry「海の水が枯れてしまうまで僕たちは海を航海しよう」と歌っているのはどういう意味なんだろうと思いますが、彼女はもういないわけですから・・。だから彼女がいたらそうしたかったという願望を最後に歌ったのでしょうか。