2022.02.18 ON AIR

現在のブラック・ミュージックの最前線「シルク・ソニック」とブルーノ・マーズ

Silk Sonic / An Evening With Silk Sonic (WARNER MUSIC WPCR-18451)
Bruno Mars / 24K Magic (WARNER MUSIC WPCR-17559)

ON AIR LIST
1.Leave the Door Open / Silk Sonic
2.Smokin Out The Window / Silk Sonic
3.Fly As Me / Silk Sonic
4.Too Good To Say Goodby / Bruno Mars

この番組はブラック・ミュージックのルーツであるブルーズを中心としてON AIRしている番組ですが、今日はブルーズから少し離れて昨年から話題の最先端のブラック・ミュージックを聞いてみようと思います。普段はこういう音楽を聞かない方も今夜はちょっと耳を傾けてください。
ブルーズから50年代にR&BやR&Rが生まれて、そこから60年代にソウルとファンクの時代になり、70年代ソウルとファンクには黒人たちが自分たちのメッセージなどを強く込めた時代でした。それからディスコの時代を経ておしゃれなソウルが生まれたり、その後ラップ、ヒッブホッブとブラック・ミュージックはめまぐるしく変わってきました。僕自身はなるべく広範囲に音楽、特にブラックミュージックを聞くように心がけてますが、現在なかなか心から寄り添えるものは少なくなってきています。音楽はその時代時代のものですからそれに僕がついていけないだけのことかも知れません。

今日はブルーズから離れて話題沸騰の現在のブラック・ミュージックのトップランナー、ブルーノ・マーズとこれまた才能のあるアンダーソン・パークと組んだユニット「シルク・ソニック」が去年11月にアルバム”An Evening With Silk Sonic”をリリースしました。今日はまず久しぶりに共感できたそのアルバムを聞いてみようと思います。
現在グラミー賞4部門にノミネートされているこのアルバムは去年3月にこのアルバムにも収録されている「Leave the Door Open」がシングルでリリースされるなり若いブラック・ミュージック・ファンだけでなく、オールドタイマーのソウル・ファンなども巻き込んで話題となりました。
このヒット曲をまずは聞いてみましょう。

1.Leave the Door Open / Silk Sonic

僕のようなオールド・タイマーのブラック・ミュージック・ファンにとってはどこか懐かしいテイストがします。それは70年代のソウル・バーやディスコで流れていた曲のテイストなんですね。70年代の中頃くらいがぼくがいちばんディスコに通った時代です。
フィラデルフィア発のフィリー・ソウルと呼ばれるハロルド・メルビンとブルーノーツ、スタイリスティックス、あとシカゴのチャイライツ、それからエスコーツなどもいました。それらはスウィート・ソウルと呼ばれるもので、きれいなメロディ・ラインとそこに加わる甘いコーラス、そして高揚感に溢れたものでした。それがこのユニットにはあるんです。しかし、シルク・ソウルはただ過去のスウィート・ソウルをリメイクした感じではなく、ラップやメロディの新しいテイストをそこに入れています。
アルバムではブルーノ・マーズはキーボードを弾き、アンダーソンはドラムを叩いています。
Radio music Awardのライヴの様子がYouTubeにアップされているので是非見てもらいたいです。音楽もステージ・パフォーマンスもブラック・ミュージッの伝統を感じさせるライヴの様子が見れます。そして、ここ十数年いやもっとか・・・ブラック・ミュージックの最先端でまともに聞く気持ちになれなかったのは、こういうはっきりしたメロディとハーモニーそしてパワーのある歌がなかったからです。この前にON AIRしたジョン・バティーストとはテイストは違いますが、歌そのものが僕自分の胸に入ってきた若い人たちの音楽は久しぶりです。

もう一曲シルク・ソニックのアルバム”An Evening With Silk Sonic”から。

2.Smokin Out The Window / Silk Sonic

このアルバムにはシルク・ソニックの二人の70年代ファンクへのオマージュがあり、次のファンクも懐かしい感じがするのですが古い感じはしない。結局、彼らは黒人音楽としてのソウル・ミュージックがいちばん豊かに実っていた時代のテイストを取り入れながら、新しいサウンドですごくグルーヴするファンクのビートで新しい音楽を提示したアルバムです。

3.Fly As Me / Silk Sonic

2017年にマーズがツアーのオープニングにアンダーソン・パークを使ったことで二人は音楽的に接近してこのプロジェクトになったらしいですが、二人ともそれ以前から70年代から80年代のソウル・ファンクの匂いがどこかでしていたので今回のシルク・ソニックでそれを全開でやってみようということになったのでしょう。
ブルーノ・マーズは6,7年前にレコード店に流れていたPVを見ていたら最後まで見てしまったんですよ、なんか見た目はね今度日本ハムの監督になったビッグボス新庄監督みたいな感じなんですよ。見た目がね。でも音楽に何か惹かれるものがあり何だろうと思っていたのですが、それは僕が好きだった70年代のソウル・ファンクの匂いでした。若いシンガーなのにおじさん、おばさんを惹きつけるテイストを前から持っていた人です。
ブルーノ・マーズの2016年の作品「24K・マジック」からバラードの曲を最後に、

4.Too Good To Say Goodby / Bruno Mars

いにしえのブルーズから脈々と続くブラック・ミュージックの最先端の音楽に去年からすごく興味が湧いているところです。
今日はシルク・ソニックとブルーノ・マーズを聞きました。やっぱり歌がいい音楽はいいですね。