2022.06.03 ON AIR

シカゴ・ブルーズの名ピアニスト、ジョニー・ジョーンズの素晴らしい演奏のコンピレーション・アルバム

Johnny Jones / Doin’ The Best I Can (2 CD JSP 4245A/B)

ON AIR LIST
1.Elmore’s Contribution To Jazz/Elmore James(piano:Johnny Jones)
2.Doin’ The Best I Can/Little Johnny Jones
3.Big City Blues/Big Maceo(piano:Johnny Jones)
4.Hoodoo Man/Junior Wells(piano:Johnny Jones)
5.TV Mama/Joe Tuner (piano:Johnny Jones)

イギリスのJSPレコードから出ているブルーズ・ピアニスト、ジョニー・ジョーンズの録音を集めたアルバム二枚組です。
ジョニー・ジョーンズなんてよくある名前ですが、40年代終わりから50年代にかけていわゆるシカゴ・ブルーズが最も充実していた時代にエルモア・ジェイムズ、ジュニア・ウエルズ、タンパ・レッド、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフなどのバックでピアノを弾いた人です。
彼はピアノだけでなくハーモニカも吹き、歌も歌いますが、ピアノは格段の腕前で人気のピアニストでした。このアルバムにはいろんなブルーズマンと残した彼の名演が収録されているのと同時に50年代の熱気あるブルーズがたくさん収録されています。興味のある方は是非ゲットしてください。

ジョニー・ジョーンズは1924年にミシシッピー、ジャクソンで生まれ、1945年21歳の時にシカゴにやってきています。ちなみにシカゴ・ブルーズのピアニストと言えばマディ・ウォーターズの右腕として活躍したオーティス・スパンがいますが、彼とジョニーはいとこ同士です。そのスパンに「あいつのピアノには負ける」と言わせたのがこのジョニー・ジョーンズ。
ジョニー・ジョーンズと言えばエルモア・ジェイムズと言われるほどエルモアの録音にたくさん参加していますが、最初に聞いてもらうのはエルモアのファンキーなインストルメンタルの曲です。
1957年録音

1.Elmore’s Contribution To Jazz/Elmore James(piano:Johnny Jones)

エルモアのスライド・ギターのバックで跳ねるようなピアノをジョニー・ジョーンズが弾いていて耳に残ります。曲名を直訳するとジャズへのエルモアの寄贈・・Contributionは寄付とか貢献という意味ですがなんでこんなタイトルなんでしょう。

ジョニー・ジョーンズは大酒飲みでなかなかワイルドな性格だったようです。まあ、当時のブルーズマンに大酒飲みは珍しくないのですが、残された彼の写真を見ているとやんちゃなこといっぱいやったやろうなと思います。シカゴブルーズ全盛期、ピアノの才能もすごくあるし服装もおしゃれです。女性にもモテたでしょう。
ジョニー・ジョーンズは歌も録音しています。このアルバムには29才当時の歌が6曲収録されています。
聞いてもらう曲はハウリン・ウルフのバージョンでも有名な”Sitting On The Top Of The World”と同じようなメロディの8小節ブルーズ。当時の芸名はリトルが付いていてリトル・ジョニー・ジョーンズ。歌も決して悪くないのですがヒットにはならなかったようです。

2.Doin’ The Best I Can/Little Johnny Jones

実はジョニー・ジョーンズが師として仰いだのがシカゴブルーズ・ピアノのパイオニアとも言われるブルーズ・ピアノの名人、ビッグ・メイシオでした。ビッグ・メイシオは左手で揺るぎなくグルーヴするリズムを刻み、右手は自在にメロディを繰り出せる人でした。その師匠のビッグ・メイシオが41才で脳卒中で右半身不随になりピアノが弾けなくなりました。それでも歌が素晴らしかったメイシオには録音の話が来ました。それでほぼ完璧に師匠メイシオのピアノスタイルを弾くことできるジョニー・ジョーンズがピアノを弾き、メイシオが歌だけ歌うという録音が残っています。ジョニー・ジョーンズにとってはある意味光栄な話かも知れませんが、ピアノが弾けなくなったメイシオはどんな気持ちだったでしょう。その曲を聴いてみましょう。

3.Big City Blues/Big Maceo(piano:Johnny Jones)

ジョニー・ジョーンズより10才くらい年下でこれから這い上がっていく当時のジュニア・ウエルズの録音にも参加しています。録音メンバーがドラムにオディ・ペイン、ベースにデイヴ・マイヤーズ、ギターにルイス・マイヤーズ、そしてピアノがジョニー・ジョーンズ、ジュニアの歌とハーモニカ。シカゴ・ブルーズの素晴らしい録音です。

4.Hoodoo Man/Junior Wells(piano:Johnny Jones)

次はジャズ・ジャンプ・ブルーズの名シンガー、ビッグ・ジョー・ターナーがエルモア・ジェイムズやジョニー・ジョーンズと録音した曲。
エルモアやジョニーはジャズ・ジャンプの畑ではけど、都会的な感じとエルモアたちのいなたいサウンドのミックスがちょっと面白い、いい感じになっています。

5.TV Mama/Joe Tuner (piano:Johnny Jones)

ジョニー・ジョーンズはやんちゃな生活を送っていたせいか、1964年に40歳という若さで亡くなってしまいました。

このアルバムは二枚組でまだまだいい曲があるのでまた次の機会にON AIRしたいと思います。