2022.09.02 ON AIR

弟エドガー・ウィンターが亡き兄ジョニーに捧げた渾身の追悼アルバム”Brother Johnny”
久々の痛快なブルーズロック・アルバム!

Brother Johnny / Edgar Winter(Quarto Valley Records)

ON AIR LIST
1.I’m Yours And I’m Hers/Edgar Winter
2.Rock ‘n’ Roll Hoochie Koo/Edgar Winter
3.Got My Mojo Workin’/Edgar Winter
4.Drown In My Own Tears/Edgar Winter

ブルーズ・ロックの代表的ミュージシャンのひとりジョニー・ウィンターが亡くなって8年が経ちました。亡くなった少し前に来日して日比谷野音でやったライヴを僕も観に行きました。ジョニー・ウィンターは60年代終わりにデビューし、いつもブルーズを大切にしながら自分の道を歩き続けた人でした。そして多くのギタリストにも影響を与え、現在も彼のフォロワーがたくさんいます。そんな彼の追悼盤というのが長い間発表されなかったのですが、先ごろジョニー弟のエドガーがプロデュースしたアルバム”Brother Johnny”がとうとうリリースされました。仲の良い兄弟で 共演もしてアルバムにも参加してきたので、追悼盤を作るのはやはりエドガーが一番適任だったと思います。
このアルバムにはエドガーとゲスト参加したミュージシャンたちの愛が溢れています。

ジョニー・ウィンターは1969年にCBSレコードからメジャー・デビューしその時のキャッチ・フレイズが「100万ドルのギタリスト」すごくテクニックのあるブルーズ・ギタリストとして注目されていました。しかし彼はブルーズが大好きなひとりのミュージシャンでギターだけを取り上げられるのは本意ではなかったようです。しかし、ロックの中でエレキ・ギターが主役になっていった時代でギターそのものだけでなくアンプやエフェクターも改良され、新しいものもたくさん出てきた頃でギターに注目が集まる時代でした。
そのファースト・アルバムはマディ・ウォーターズのベーシストそしてソングライターでもあるウィリー・ディクソンやハーモニカのウォルター・ホートンが参加していてブルーズ色の強いものでした。そのアルバムに収録されていた曲がカバーされてこの追悼盤にも収録されているのでまずはそれを聞いてみましょう。曲はジョニーのオリジナルです。Z.Z.トップのビリー・ギボンズがリード・ヴォーカルとギター、そしてスライドギター、デレク・トラックスがゲスト参加しています。

1.I’m Yours And I’m Hers/Edgar Winter

70年代はじめに私がよく聴いたロック・アルバムの一つにジョニー・ウィンターの「ジョニー・ウィンター・アンド」があります。当時はロック喫茶でもよく流れていたライヴ・アルバムでブルーズとロックンロールがミックスされたロックの名盤の一枚です。そのアルバムに収録されていた”Rock ‘n’ Roll Hoochie Koo”が今回の”Brother Johnny”でも録音されています。これはジョニー・ウィンター・アンドに参加していたリック・デリンジャーが作りスマッシュ・ヒットさせた曲です。当時のロックの輝きがある曲です。今回のアルバムではエドガーが歌い、ギターにスティーヴ・ルカサーが参加しています。

2.Rock ‘n’ Roll Hoochie Koo/Edgar Winter

しかし今回のこのアルバムの参加ミュージシャンを見るとジョニー・ウィンターの多彩な交流と彼がいかに多くのミュージシャンに尊敬され愛されていたかがわかります。
ざっと名前を挙げるとジョー・ボナマッサ、ケブ・モ、ビリー・ギボンズ、デレク・トラックス、ジョー・ウォルシュ、スティーヴ・ルカサー、ドイル・ブラムホールII、ウォーレン・ヘインズ、ロベン・フォードといったギタリストにマイケル・マクドナルド、リンゴ・スター、ボビー・ラッシュなどなど。
ひとつ忘れてはいけないのは、ブルーズのレーベル「チェスレコード」が倒産した後に在籍してた偉大なマディ・ウォーターズに手を差し伸べてアルバムを作ったのはジョニー・ウィンターでした。ジェイムズ・コットンやパイントップ・バーキンスなども入れたバンドを組みマディをメインにしたコンサートもよくやっていました。ブルーズへのリスペクトのある人でした。そのマディの曲をヴォーカルにボビー・ラッシュを立ててエドガーはピアノを弾いています

3.Got My Mojo Workin’/Edgar Winter

今の曲はブルーズの詩人と呼ばれたパーシー・メイフィールドが1964年にリリースした曲でその原曲はラテン調のファンキーなアレンジなのですが、ジョニー・ウィンターのカバーはまるっきりアレンジして今のようなヘヴィなロックにしていました。
ではジョニーがファースト・アルバムに収録した曲で、レイ・チャールズのヴァージョンが有名なのですが恐らくそのレイのヴァージョンをカバーしたのだと思いますが、今回の追悼盤でエドガーが歌っています。

4.Drown In My Own Tears/Edgar Winter

”Brother Johnny”いいアルバムです。ブルーズロック好きの方は是非ゲットして聞いてみてください。