2022.09.09 ON AIR

レヴォン・ヘルムが最後に残したメイヴィスとの美しい歌のアルバム”Carry Me Home”

Carry Me Home / Mavis Staples Levon Helm

ON AIR LIST
1.The Weight/ Mavis Staples Levon Helm
2.You Got To Move/ Mavis Staples Levon Helm
3.I Wish I Knew How it Would Feel to Be Free/ Mavis Staples Levon Helm
4.This Maybe The Last Time/ Mavis Staples Levon Helm

70年代数々の名盤を発表し歴史に残るロックバンド「ザ・バンド」。そのドラマーでありヴォーカリストでもあったリヴォン・ヘルムが亡くなったのは2012年。晩年は病と闘いながら最後まで自分のスタジオで録音やライヴ配信などを続け強い意思を持った素晴らしいミュージシャンでした。彼が亡くなる前年2011年にレヴォンのウッドストックのスタジオでこのアルバムは録音されていました。
スタジオ・ライヴ的に録音された曲も多く、特にレヴォンが楽しそうにドラムを叩くシーンがYou Tubeで公開されています。
この録音にはレヴォンのバンドとメイヴィスのバンド、二つのバンドが参加しています。レヴォンのバンドはドラムがリヴォン、ラリー・キャンベル(ギター、マンドリン)、バイロン・アイザックス(ベース)、ジム・ウィーダー(ギター)とブライアン・ミッチェル(キーボード)そしてレヴォンの娘さんのエイミー・ヘルム、そしてテレサ・ウィリアムスがコーラス、そこにホーンセクションという編成。一方メイヴィスのバンドはバンマス的存在でもあるギターのリック・ホームストロム、ジェフ・タームズ(ベース)、スティーヴン・ホッジズ(ドラム)にメイヴィスの姉イヴォンヌ・ステイプルズ。そのイヴォンヌも2018年に亡くなりました。あとダニー・ジェラード、ヴィッキー・ランドルがコーラスで参加。
メイヴィスとレヴォンが仲良くなったのはおそらくザ・バンドの最後のコンサート1978年の有名な「ラスト・ワルツ」に「ステイプル・シンガーズ」としてメイヴィスが参加してからでしょう。
そのラスト・ワルツでも歌っていたザ・バンドを代表するこの曲をまず聞いてください。このアルバム”Carry Me Home”の最後に収録されています。この時あまり歌えなくなっていたレヴォンでしたが、この歌だけシンガーとして絞り出すように歌っています。

1.The Weight/ Mavis Staples Levon Helm

宗教的でもあり私たちが完全に理解するのはなかなか難しい歌ですが、背負っている荷物をおろして休んで楽になるんだという意味でしょう。

メイヴィスは家族で結成された「ステイプル・シンガーズ」のリード・ヴォーカルとして10代からずっとゴスペルやスピリチュアルズを歌い、60年代の後半からソウル・コーラスグループとしてもヒットを出して有名になったのですが、基本的なゴスペルの精神はずっと失わなかったグループでした。
次の歌も古いトラッドな黒人霊歌。1965年に南部のブルーズとゴスペルを歌うフレッド・マクダウェルが録音し、それをローリング・ストーンズがカバーしたことで一躍世の中に広まった曲です。
「身分が高くても低くても、金持ちでも貧しい者でも神様が決めた時にはあの世に行かなければならない」という歌

2.You Got To Move/ Mavis Staples Levon Helm

実はぼくが今度リリースした初めての弾き語りアルバム”Kick Off The Blues”でもカバーしています。聞いてください。

それぞれのバンドで録音した曲もあるようですが、次の曲は二つのバンドが一緒に録音している様子がYouTubeに映像でアッブされてます。本当にレヴォンもメイヴィスも楽しそうに笑いながら、そして周りの人たちもみんなが幸せそうに録音に参加している様子がいいです。曲はニーナ・シモンが作りました。
「自由であるというのがどういう気持ちなのか知りたい。私を縛る鎖を壊すことができるのなら、そして私が言うべきことを全て言えたなら、私は世界中が聞こえるように大きなはっきりした声で言うだろう」
黒人が全てに抑圧されている状況に反発したニーナ・シモンが作った名曲です。

3.I Wish I Knew How it Would Feel to Be Free/ Mavis Staples Levon Helm

最後はメイヴィスのお父さん、ポップ・ステイプルズが作ったゴスペルソング
「これがたぶん最後だろう」と言う意味ですが、レヴォンにとっては最後のアルバムになってしまいました。

4.This Maybe The Last Time/ Mavis Staples Levon Helm

98年に喉頭癌と患ってしまったレヴォンは晩年を病と闘いながら素晴らしいアルバムをリリースし続けました。”Dirt Famer”(2007) ”Electric Dirt”(2009)”Ramble At Thee Ryman”(2011) ライマン
そしてこの”Carry Me Home”を録音したのが最後となりました。偉大なドラマーであり素晴らしいシンガーでありました。個人的にはザ・バンドのメンバーで一番好きです。そのレオヴォンの気持ち、志を持ってメイヴィスは春からずっとツアーを続けて今も元気です。
今日はレヴォン・ヘルムとメイヴィス・ステイプルズがコラボした素晴らしいヴォーカル・アルバム”Carry Me Home”を聞きました。このアルバム買い!です。