2022.11.04 ON AIR

60年代私的ソウル・ミュージック-3

Live At Apollo/James Brown
I Never Loved a Man The Way I Love You/Aretha Franklin(Atlantic SD8139)
Stand!/Sly & The Family Stone(Epic ECPL-26)

ON AIR LIST
1.Cold Sweat/James Brown
2.Sweet Soul Music/Arthur Conley
3.I Never Loved a Man (The Way I Love You)/Aretha Franklin
4.I Want To Take You Higher/Sly & The Family Stone

私的60年代ソウル・ミュージックの三回目です。
60年代はR&Bからソウルと呼ばれるようになったソウル・ミュージックの時代でしたが、ファンクが誕生した時代でもありました。しかし10代だった自分はまだブラック・ミュージックに目覚めていなかったのでファンクという言葉も知りませんでした。ただファンキーという言葉はジャズ喫茶でもファンキー・ジャズという言葉が飛び交っていたので知ってました。ファンキーは「陽気な」という意味で使っていたと思います。でも、後から知ったことですが、ファンクはもっと黒人の生活に根ざした匂いみたいな意味も含んでいます。つまり都会の黒人のストリート系の生活や文化も含んだ黒人独特の言葉で私たちには簡単に理解できない部分もあります。
そのファンク・ミュージックを作り上げた代表がジェイムズ・ブラウンというのは間違いのないところで、まさにストリートに生きる黒人にしかできないようなダンサブルでヘヴィでソリッドな音楽を彼は作りました。そのファンクの誕生の曲が私はこれだと思います。1967年録音。

1.Cold Sweat/James Brown

この曲が生まれた67年、高二の私はビートルズの”Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”とクリームの”カラフルクリーム”を買って夢中になってました。まだソウルからもファンクからも遠いところにいました。
それでもジェイムズ・ブラウンは”I Feel Good”や”Men’s Men’s World”がヒットしてラジオで流れていたので知ってました。
ビートルズの名盤”Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”はじめとしてロックもとても充実した時代を迎えるわけですが、ファンクも含めて黒人音楽はソウル・ミュージックが豊かに実った時代でした。
次の曲が曲名も含めそれを表していたと思います。ポップチャート、R&Bチャート共に2位となった大ヒット曲。”Do You Like Good Music?Sweet Soul Music”と歌が始まりいろんなソウルのヒット曲とソウル・シンガーの名前が次々と出てくる楽しい曲です。1967年数々のソウルの名曲が録音されたアラバマのマッスルショールズのフェイム・スタジオで録音されました。

2.Sweet Soul Music/Arthur Conley

そしてこの60年代に「ソウルの女王」と呼ばれたのがアレサ・フランクリンでした。他の多くの女性シンガーを寄せつけない歌唱力や存在感、そしてヒット曲の多さ。ゴスペルをR&Bにストレートに導入することで生まれたアレサの歌はサム・クックやレイ・チャールズが撒いたソウルの種を見事に花開かせた感じでした。この曲もSweet Soul Musicと同じ1967年、録音も同じアラバマのマッスルショールズのフェイム・スタジオでの録音でした。内容は周りの人たちが「あんな男はアカンで」と言うダメ男を好きになってしまった女。でも「こんな風に男の人を好きになったことはないのよ」と歌う。つまりダメ男とわかっていても離れられないと言う歌。
邦題「貴方だけを愛して」

3.I Never Loved a Man (The Way I Love You)/Aretha Franklin

1968年スライ&ファミリー・ストーンの次の曲はジェイムズ・ブラウンとは違う様々な音楽の要素が入ってまた新たなファンクミュージックの誕生でした。
そして翌1969年ご存知の方も多いロック・フェスティバル「ウッドストック」に出演して素晴らしいパフォーマンスを披露し、去年公開された映画「サマー・オブ・ソウル」にも出演していました。白人のロックフェスと黒人のソウルフェスの両方に呼ばれているところにスライの広く豊かな音楽性が表れています。僕は映画「ウッドストック」をリアル・タイムで映画館で観たのですが、Sly & The Family Stoneの素晴らしさというかインパククトの強さに呆然としてしまいました。そして「サマー・オブ・ソウル」でもスライたちが登場すると若い黒人たちがステージに押し寄せて一挙に盛り上がるシーンがありました。まさに1969年最先端の最もクールな音楽でした。

4.I Want To Take You Higher/Sly & The Family Stone

三回に渡って個人的に自分が経験して来た60年代ソウル・ミュージックを聴いてもらいました。まだまだ素晴らしい60年代のソウル・ミュージックがたくさんあるのでアルバムを探してみてください。