2023.08.11 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.5

Johnny Otis Show Live At Montery

ON AIR LIST
1.Willie and the Hand Jive/Johnny Otis
2.Cry Me A River Blues/Esther Phillips
3.Since I Met You Baby/Ivory Joe Hunter
4.Kidney Stew/Eddie Cleanhead Vinson
5.Good Rocking’ Tonight/Roy Brown

伝説のジョニー・オーティス・ショーを再現した1970年のリユニオン・ライヴ”Johnny Otis Show Live At Montery”
さて今夜のブルーズ・ライヴ・アルバム名盤シリーズですが、前回は私がブルーズに突入するきっかけになった入門書のようなアルバム、マディ・ウォーターズの”Fathers And Sons”の1969年のライヴ・サイドを聞きましたが、今日はその翌年1970年にカリフォルニアのモンタレー・ジャズ・フェスティバルで録音されたジョニー・オーティス・ショウのライヴ・アルバムです。LP2枚組です。
以前も特集しましたが、ギリシャ系の白人なのに「R&B界のゴッド・ファーザー」と呼ばれるジョニー・オーティスはミュージシャンとしてだけではなく、新人ミュージシャンの発掘(エスター・フィリップス、エタ・ジェイムズなど)やラジオのDJ、クラブの経営、プロデューサー、バンド・リーダーなどいくつもの顔をもつ男でした。多方面に活動する彼はたくさんのミュージシャンと知り合うチャンスがあり、それでバックバンドを結成してフロントに立つシンガーが次々に替わって歌っていくというパッケージ・ショーを作りあげました。それが「ジョニー・オーティス・ショー」です。
この二枚組のアルバムでもいろんなミュージシャンが登場しますが、まず本人ジョニー・オーティスの1958年の大ヒットのこの曲でショーは始まります。

1.Willie and the Hand Jive/Johnny Otis

ショウの幕開けにふさわしい曲。私のブルーズ・ザ・ブッチャーでもレコーディングしたR&Bの名曲です。
「ジョニー・オーティス・ショー」は1950年代の中頃から始まったらしいのですが、どのくらいの規模でどの辺りまでツアーに行っていたのかはわかりませんが、この1969年の時はリユニオン(再結成)での特別ライヴだったようです。
そう言えば、1990年にはブルース・カーニバルのメイン・アクトで来日した。そう考えると途切れ途切れではあるがずっとやってたのかなぁ・・。
二番目に登場するのが私の大好きなエスター・フィリップス。このライヴが1970年ですからエスターがCTI系のKUDUれーべるでブレイク少し前です。エスター自身のライヴ・アルバムでも歌っているこの曲。

2.Cry Me A River Blues/Esther Phillips

次は元々はブルーズやブギを歌うピアニストだったアイヴォリー・ジョー・ハンターですが、1950年に”I Almost Lost My Mind”という少しカントリー・ウエスタン・フレイバーが入った甘いバラードが大ヒットして、次第にそっち方面にシフトを移動させカントリー・ウエスタンのフェスティバル「グランド・オール・オプリー」にも出演したこともあります。このジョニー・オーティス・ショウでもカントリー・フレイバーのヒット曲”Since I Met You Baby”を歌っています。
「君と出会ってからぼくの人生はまるで変わってしまった。君と出会ってから悩みごとを相談する人ももういらないしね、君と出会ってから俺は幸せ者だよ。君を喜ばせるように頑張るからね」まあ、勝手にしてくれと言いたくなるような曲です。

3.Since I Met You Baby/Ivory Joe Hunter

このジョニー・オーティス・ショウのライヴ・アルバムに出演しているミュージシャンはウエストコーストの人が多いのですが、ウエストコーストのジャズ・ブルーズ・ミュージシャンと言えばサックスのクリーンヘッド・ヴィンソンでしょう。私も昔、ロスのクラブでライヴを観ました。サックスも吹くが歌も歌える人で日本では藤井康一くんがクリーンヘッドに影響を受けた人ですね。
イントロのサックスのテーマからとてもいいグルーヴで、こういう音楽は本当に聞けなくなってしまいました。日本のジャズ・ミュージシャンってこういうのに本格的に取り組む人っていませんね。ファンキーで素晴らしいと思うのですが。曲名のキドニー・シチューのキドニーは腎臓やから日本でいうモツの煮込みですね。アメリカでは昔ホルモン系の料理は黒人にしかなかったんですね、今もそうか・・。
「どうも階級の高い女はアカンね、家に帰って昔から付き合ってるスーちゃんがええねん。彼女はキャビアなんかやなくてねいつものモツのシチューやねん。いつものモツシチューがええねん」

4.Kidney Stew/Eddie Cleanhead Vinson

40年代に大流行したジャンプ・ブルーズのシャウター・シンガーとして名を馳せたロイ・ブラウン。B.B.キングはじめ彼の歌い方に影響を受けたシンガーは多い。彼のこの曲はエルヴィス・プレスリーがカバーして大ヒットしました。
パーティ・ソングとしてこれは売れるでしょうね。

5.Good Rocking’ Tonight/Roy Brown