2023.08.04 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤 vol.4

Fathers And Sons/Muddy Waters (Chess)

ON AIR LIST
1.Long Distance Call/Muddy Waters
2.Baby Please Don’t Go/Muddy Waters
3.The Same Thing/Muddy Waters
4.I Got My Mojo Working/Muddy Waters

LPレコードでは二枚組だった”Fathers And Sons”は一枚がライヴ盤でもう一枚はスタジオ録音になってます。
しかし、このライヴ・サイドは70年代初期に当時まだブルーズのライヴを生で聞いたことのない私にとって、ブルーズの臨場感を伝えてくれ興奮させられるものでした。
このアルバムのことは何度かこの番組で言っていますが、私がブルーズという音楽に入っていく道しるべになったアルバムでもちろんスタジオ・サイドも素晴らしいです。さて、そのライヴ・サイドを今日は聴くのですが、ライヴ録音された場所はイリノイ州シカゴの「スーパー・コズミック・ジョイスカウト・ジャンボリー」というところで、録音時期は1969年の4月のライヴです。
メンバーはマディ・ウォーターズ、マディの右腕ピアノのオーティス・スパン、ドラムがハウリン・ウルフやポール・バターフィールド・ブルーズバンドにいたサム・レイ、そしてハーモニカがポール・バターフィールド、ギターはやはりポール・バターフィールド・ブルーズバンドにいたマイク・ブルームフィールド、ベースがブッカー.T&MG’sにいたドナルド・ダック・ダン・・まぁ錚々たるメンバーです。黒人のマディやスパンがブルーズの父、そして白人のポール・バターフィールド、マイク・ブルームフィールドたちが息子という設定でFathers And Sonsというタイトルが付けられています。白人のロックファンの間でブルーズロックが流行っていた時期でこういう企画が生まれたのだと思います。
まずは強烈なマディ・ウォーターズのスライドギターから始まる一曲目から

1.Long Distance Call/Muddy Waters

めちゃウケですね。
マディがスライド・ギターでイントロを始めた瞬間から客席がざわつきますが、そこからもうすごく臨場感があっていですね、
客席からの歓声を聴くとかなり大きな会場という感じがします。
マディの素晴らしいギター・ソロでは口笛と歓声がすごくてウケている雰囲気が伝わってきます。そのあとのマイク・ブルームフィールドのギターソロも端正なソロでいいですね。
録音された1969年頃はすでに黒人音楽の主流はソウルとファンクでブルーズは黒人の間では昔の音楽になってしまった時期ですが、白人のブルーズロック・ファンたちが生まれたことでマディはじめ黒人ブルーズマンたちは経済的に一息つけたことでしょう。それもまあ有名どころのブルーズマンだけですが・・・。
次の曲はこの時代のマディのライヴの定番曲です。
次のBaby Please Don’t GoやBlow Wind Blow、I’m Ready, Mannish Boy,Mojo Workingあたりはよく演奏されていた時期です。

2.Baby Please Don’t Go/Muddy Waters

バンドがタイトでいいですね、白人メンバーもみんなブルーズに精通しているミュージシャンたちですからダメなところがありません。この曲は1935年にビッグ・ジョー・ウィリアムスが最初に歌ったものですが、その後いんろなブルーズマンに歌われてスタンダード化したものです。僕も自分のバンド『ブルーズ・ザ・ブッチャー」の最新アルバム”Feel Like Going Home”でカバーしました。そちらもよろしく。
次は私がすごく好きな曲でなんとも言えないブルーズ・ムードが漂っている曲です。
ここでもメンバーのそれぞれの音の出し方が本当にうまい。バターフィールドの抑え気味のハーモニカソロがマディのギターソロあたりはもう鳥肌ものです。

3.The Same Thing/Muddy Waters

そして、最後のこの曲の盛り上がりを聞いてください。スパンのピアノのイントロのフレイズからすでにグルーヴしている素晴らしさ。
このアルバムを始めて聴いた直後、この曲をウエストロードのレパートリーにすぐ入れました。
本当にこのアルバムに出会えてよかったし、特に今日聴いたライヴ・サイドは自分たちがライヴをやる時の大きなヒントになりました。
では

4.I Got My Mojo Working/Muddy Waters

あまり素晴らしくて客の興奮が収まらず、ドラムのバディ・マイルスを迎えてもう一度この曲をやります。もう興奮の坩堝です。でも、今日は時間がないのでそれは自分でこのアルバムをゲットして聴いてください。
間違いない名盤です。