2023.12.01 ON AIR

ウエストコーストの人気者だったフロイド・ディクソンの遺作

Time Brings About A Change: A Floyd Dixon Celebration

ON AIR LIST
1.Don’t Loose Your Cool/Floyd Dixon
2.Caldonia/Floyd Dixon
3.Sweet Home Chicago/Floyd Dixon feat.Henry Gray(vo)
4.Time Brings ‘Bout A Change/Floyd Dixon

今年の2月にリリースされたのに紹介するのをすっかり忘れていたライヴアルバムをON AIRします。
50年代半ばにウエストコーストで人気者だったピアノ・ブルーズのフロイド・ディクソン。ブルーズ・ブラザーズがカバーした(私もカバーしてますが)”Hey Bartender”のソングライターでありオリジナル・シンガーですが、そのフロイド・ディクソンの音楽的功績をお祝いしたイベント”Time Brings About A Change”が2006年6月に行われました。そのライヴ録音がBSMFレコードからリリースされています。
ゲストにはピアノと歌でヘンリー・グレイ、パイントップ・パーキンス、フレッド・カプラン、ハーモニカのキム・ウィルソン、そのキムのバンド「ファビュラス・サンダーバード」にも在籍していたギターのキッド・ラモス、そのラモスともアルバムを作ったことのあるジョニー・タッカーなどウエストコーストのしっかりしたミュージシャンたちがバックを務めています。
まずコンサートのオープニングを飾るインストルメンタルの曲

1.Don’t Loose Your Cool/Floyd Dixon

とてもいいバンドだと思います。ドラムはリチャード・イネス、ベースはラリー・テイラー、この二人はキム・ウィルソンとブルース・オールスターズというバンドをやってました。素晴らしいリズム・セクションです。

実はこのアルバムが録音されたライヴの二ヶ月後にフロイド・ディクソンは77才でガンで亡くなっています。そういう病のこともあってこのコンサートが企画されたようですが、ライヴではめちゃ元気です。とにかく人望の厚い人柄だったようです。次のディクソンの歌を聞いているととても二ヶ月後に亡くなるとは思えません。彼が好きだったルイ・ジョーダンの大ヒット曲。

2.Caldonia/Floyd Dixon
 
いろんなゲストによるいろんなブルーズが収録されているのですが、ここであまりにもスタンダード過ぎるこの曲を聞いてもらいたいと取り上げたのはこんなに自然にダウンホームに、緩やかに演奏ができているのが素晴らしいと思ったからです。途中のキム・ウィルソンのハーモニカ・ソロもいいです。ピアノと歌のヘンリー・グレイは

3.Sweet Home Chicago/Floyd Dixon feat.Henry Gray(vo)

このダウンホーム感が実はすごく難しいのです。
ヘンリー・グレイも2020年に亡くなってしまいましたが、50年代半ばのハウリン・ウルフのバンドはじめたくさんのシカゴ・ブルーズマンの録音やライヴに参加し晩年は故郷のルイジアナで活動していました。

次の曲は「時の流れは変化をもたらす。何事も同じままではない。一年前にしたことを俺はしたくない。愛した女は同じように愛しているが時が変えてしまう。一年前にここに住んでいた人たちももうここに住んではいない。時の流れは変化をもたらす」となんとなくフロイド・ディクソンの人生を歌っているようにも感じる曲です。

4.Time Brings ‘Bout A Change/Floyd Dixon

このアルバム、フロイド・ディクソンの記念ライヴのアルバムなのに彼のヒット曲の”Hey Bartender”や”Fine Fine Fine”などが演奏されていません。どういう理由かわからないのですが、DVDの方には彼のそういうヒット曲も演奏されているそうです。
今回はウエストコーストのブルーズシンガー&ピアニスト、フロイド・ディクソンの遺作となったライヴアルバム”Time Brings About A Change: A Floyd Dixon Celebration”
追記:あとでDVDを見たらすごくよかった。