2024.08.09 ON AIR

ゲイトマウス・ブラウン若き日のコンプリート盤2枚組!
その1

Boogie Uproar/Clarence Gatemouth Brown (JASMINE 3079) 
The Complete Aladdin/Peacock Singles Disc.1

ON AIR LIST
1.Gatemouth Boogie/Clarence Gatemouth Brown
2.Didn’t Reach My Goal/Clarence Gatemouth Brown
3.She Walks Right In /Clarence Gatemouth Brown
4.Boogie Rambler /Clarence Gatemouth Brown
5.Sad Hour /Clarence Gatemouth Brown

今回紹介するのは”Boogie Uproar”(ブギで大騒ぎ・大騒ぎブギ)とタイトルされたクラレンス・ゲイトマウス・ブラウンのデビュー、アラジン・レコードからピーコック・レコード在籍時までのシングルを集めたコンピレーションCD盤。
リリースされたのはかなり前でいま手に入りにくいアルバムですが、先ごろ中古盤でゲットしました。
この時代のゲイトマウスのアルバムは持っているのですが、テキサスジャンプ・ブルーズのスターとして花開いた全盛期の音源がCD二枚組で45曲全て(コンプリート)聞けますから、迷わずゲットしました。
まずDISC1の1曲目、1947年のデビュー録音でこれはロスのアラジンレーベルからリリースされました
マックスウェル・ディヴィスのオーケストラをバックに録音した音源。

1.Gatemouth Boogie/Clarence Gatemouth Brown

ゲイトマウス・ブラウンが世に出るきっかけとなったのは、地元テキサスの音楽界のフィクサー的存在のドン・ロビーが経営してたクラブで出演中のT.ボーン・ウォーカーが病気になり急遽ピンチヒッターとしてステージに出たことでした。そのライヴでゲイトマウスは客にパカ受けして、それを見た経営者ドン・ロビーはこいつは金になると思いゲイトマウスと契約。ロスの”アラジン・レコード”で録音させることになりその初録音が今の”Gatemouth Boogie”
しかし、これがあまり売れなかった。そこで社長ドン・ロビーは自ら”ピーコック”というレーベルを立ち上げます。だからピーコック・レコードはゲイトマウスの為に作られたレーベルだったわけです。それほどドン社長はゲイトマウスに魅力を感じたのでしょう。そこから最初にリリースしたのが1949年の次の曲。

2.Didn’t Reach My Goal/Clarence Gatemouth Brown

ゲイトマウスはインタビューで同じテキサスの先輩、T.ボーン・ウォーカーに影響を受けたことを否定していますが今の曲なんかめちゃくちゃ影響を受けています。本人にしてみれば『俺は独自のギター・スタイル、音楽スタイルで誰のマネも影響も受けていない」と言いたいのでしょう。でも、彼だけではなく40年代に若かったブルーズマンたちはB.B.キングはじめみんなT.ボーンの影響を受けています。何しろT.ボーンは「モダン・ブルーズギターの父」ですから。
でも、ゲイトマウスはそこから更に自分のスタイルをワイルド&ファンキーにして独自のスタイルをこの”ビーコックレコード”時代に確立します。それが「ヒューストン・ジャンプ」と呼ばれるものになります。1950年の次のこの曲あたりでそのスタイルが完成したように感じます。

3.She Walks Right In /Clarence Gatemouth Brown

ゲイトマウスのワイルドな歌とギターそしてうまくアレンジされたバックのホーンセクションやコーラス。ブルーズですがどこかポップなテストもあるいい曲です。
ゲイトマウスが一斉を風靡したヒューストン・ジャンプはテキサスの後続ブルーズマン、アルバート・コリンズやジョニー・ギター・ワトソンに大きな影響を与えます。特に全体に漂うワイルドでファンキーな匂いはテキサス・ブルーズの特色を一層強いものにしました。
そのヒューストン・ジャンプはその前のブラック・ミュージックの大スター、ルイ・ジョーダンが流行させたジャンプ・ブルーズから生まれたわけですが、更に遡ると30年代からのブギウギからジャンプ・ブルーズは生まれています。その流れがよくわかるような次のゲイトマウスの1949年の曲です。

4.Boogie Rambler /Clarence Gatemouth Brown

私がゲイトマウスを初めて聞いたのは70年代の中頃、イギリスのブート・レーベル「レッド・ライトニン」からリリースされていた「サンアントニオ・ボールバスター」というアルバムでした。今回のこの二枚組CDにはそのアルバムの音源は全て収録されていますが、当時は「レッド・ライトニンのゲイトマウス聞いたか?あれはえげつないで」とブルーズ仲間で評判になってました。B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングとはまた違う鋭角的なアグレッシヴさを持った個性のあるダンサブルなブルーズがゲイトマウスでした。
次のスローブルーズもゲイトマウスらしい一曲。

5.Sad Hour /Clarence Gatemouth Brown

アップ・テンポだけでなくこういうスローでもムードのある演奏ができる懐の深さを感じます。

今日はジャスミン・レコードからリリースされていたゲイトマウス・ブラウンの二枚組CD「ブギ・アップロア」のDisc1を聴きました。このアルバムタイトルのブギ・アップロアのアッブロアは大騒ぎっていう意味なんですが、本当にブギで大騒ぎのファンキーで楽しいアルバムです。次週はこのアルバムのDisc2を聴きます。お楽しみに。