2024.08.16 ON AIR

ゲイトマウス・ブラウン若き日のコンプリート盤2枚組をゲット!その2

Boogie Uproar/Clarence Gatemouth Brown (JASMINE 3079) 
The Complete Aladdin/Peacock Singles Disc.2

ON AIR LIST
1.Baby Take it Easy/Clarence Gatemouth Brown
2.Dirty Work at the Crossroads/Clarence Gatemouth Brown
3.Okie Dokie Stomp/Clarence Gatemouth Brown
4.Rock My Blues Away /Clarence Gatemouth Brown
5.Midnight Hour /Clarence Gatemouth Brown

先週に引き続き中古盤でゲットしたゲイトマウス・ブラウンの二枚組CD「ブギ・アップロア」を聴きます。今週はDisc2。ヒューストン・ジャンプ・ブルーズのボス、ゲイトマウス・ブラウンの1947年から61年までの若き日、全盛期のブルーズです。
このアルバムBoogie Uproar/Clarence Gatemouth Brown (The Complete Aladdin/Peacock Singles)は2017年にリリースされていたものを最近すごく安く中古盤で手に入れたものです。ゲイトマウスの音源はかなりたくさん持っているのですが、デビューしてから初期全盛期が全曲入っているので、これはと思いゲットしました。
1949年勢いに乗ったゲイトマウス・ブラウンがピーコック・レコードから放った初期の痛快なブルーズ。

1.Baby Take it Easy/Clarence Gatemouth Brown

同じテキサスの先輩であるT.ボーン・ウォーカーがウエストコーストに移住して洗練されたブルーズで全国的に売れたのに比べると、テキサスに留まったゲイトマウスは地元のドライでワイルドな匂いを保ったままだったところが魅力的です。

次はミディアム・テンポのブルーズでゲイトマウスのワイルドなギターがこれでもかと炸裂しています。歌もテンションが上がっていてこんな演奏をライヴ聞かされたらやられてしまいます。彼女が自分ではなく自分の親友を愛していたことを知っていたというブルーズですが、そりゃまあ歌のテンションも上がるやろというブルーズ。1952年リリース

2.Dirty Work at the Crossroads/Clarence Gatemouth Brown

次はゲイトマウスの名前を世界に知らしめたギター・インストの名曲。
ヒューストン・ジャンプと呼ばれたゲイトマウスのブルーズのダイナミズムやギターのスピード感、グルーヴを存分に表現した曲。
70年代ニューヨークのスタジオ・ミュージシャンたちのグループだった「スタッフ」のギタリスト、コーネル・デュプリーも自身のソロ・アルバム「ブリージン」で取り上げていた曲です。デュプリーも同じテキサス出身です。

3.Okie Dokie Stomp/Clarence Gatemouth Brown

完全にギターが歌っているブルーズ・ギター・インスト曲の名曲です。

ここまできて50年代これだけ素晴らしいブルーズを残したゲイトマウスがB.B.キングほど世界的なブルーズマンになれなかった理由を考えてみました。彼がレコードをリリースしたピーコックというレーベルは彼の音楽に惚れ込んだドン・ロビーというアメリカ南部の黒人音楽シーンのボスというかフィクサーというかギャングというか・・そのドンがレコード制作の権利を持っていました。だから曲を作ってないのに作詞作曲のクレジットに自分の名前を登録して印税を取ったり、またクラブ経営もしていて、クラブ、ツアーなどのライヴ活動についてゲイトマウスを掌握していました。いろんなミュージシャンの話ではあまり評判のいい男ではないのですが、ゲイトマウスは最初に自分を売り出してくれた恩を感じていたのかドンのことを悪くは言ってません。しかしドンにゲイトマウスを世界的なミュージシャンにしようとする展望はなく、たぶん自分の目の届くテキサスや南部あたりで活動してくれてレコードが売れればいいかぐらいの気持ちだったと思います。つまりもっとプロデュースできる人に出会っていればゲイトマウスはもっと売れたと思います。

4.Rock My Blues Away /Clarence Gatemouth Brown

1965年から67年にナッシュビルのTV番組『THE!!!! BEAT』のバックバンドのバンドマスターとして出演していました。この時の映像はYouTubeで見ることができます。
しかし、その後音楽シーンの波に乗れず60年代後半には一度音楽ビジネスから離れニューメキシコでなぜか保安官代理として務めていたらしいです。まあ、これだけギターが弾けて個性のあるブルーズマンでも仕事がなくなるというアメリカの音楽ビジネスの厳しさも感じますが、プロデューサーやマネージャーとのいい出会いがなかったのかとも思います。
最後にもう一曲

5.Midnight Hour /Clarence Gatemouth Brown

1970年代以降はヨーロッパのレーベルからブルーズだけでなくケイジャンやカントリー&ウエスタンの曲も含めたアルバムをリリースして78年には来日もしてくれました。「オレはブルーズだけでなくアメリカン・ミュージックをやってるんだ」とカントリーやケイジャンも手がけてましたが、個人的にはブルーズを演奏しているゲイトマウスがいちばんよかったです。70年代80年代にもいいアルバムがあります。1981年のアルバム『オールライト・アゲイン』がグラミー賞を受賞。2005年のハリケーンカトリーナで自宅を失くす被害に遭い、その直後81歳でなくなりました。