故日暮泰文氏が生前最後にB.B.キングへの想いを込めたコンピレーション盤
Great Blues Works And Hits/B.B.King
ON AIR LIST
1.Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)/B.B.King
2.On My Word Of Honor/B.B.King
3.Shotgun Blues (Original Version)/B.B.King
4.Boogie Rock/B.B.King
今年の6月に”Great Blues Works And Hits/B.B.King”というアナログLPレコードがP-Vineレコードからリリースされた。今日聴くのはそのアルバムのCD版。
このアルバムは日本におけるブルーズシーンを70年代から引率し、ブルース関連の書籍の出版と多くの著作、CDやレコードによる音源や映像のリリースまた黒人ブルーズマンの日本への招聘など多岐にわたって日本にブルーズを広めた日暮泰文さんの最後の仕事となった。五月に亡くなられた日暮さんはブルーズの中でもB.B.キングについて格別の思いと愛着があったのではないかと前々から感じていた。それはB.B.のアルバムをリリースするということだけでなく日暮さんが書かれる文章の中にB.B.への熱い思いがあることを感じたことがあるからだ。
1曲目は日暮さんがどうしてもPart.1と2両方を収録したいと譲らなかったという名作Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)。普通はPart.1しか収録しないことが多いのですが。両方で6分15秒という長尺ですが、B.B.の歌の凄さを感じる素晴らしい出来でPart.1と2両方を収録して正解だったと思います。ではB.B.キングのブルーズ・シンギングの真髄を堪能してください。
1.Sweet Sixteen (Parts 1 & 2)/B.B.King
B.B.キングはモダン・ブルーズのトップ・ブルーズマンとして歴史に残るブルーズを残した人ですが、ギタリストとしては「モダン・ブルーズギターの父」と呼ばれたT.ボーン・ウォーカーの奏法をさらに新しい時代に進化させたギタリストです。つまり現在ブルーズを弾くギタリストのほとんどが意識するしないに関わらず彼の編み出した奏法を弾いているという偉大なギタリストでもあります。しかし、その前に彼が多くの人からの賞賛を得たのは彼の歌の素晴らしさにあります。このアルバムにはそれがはっきりわかる一曲が入ってます。
2.On My Word Of Honor/B.B.King
もうため息ものです。B.B.キングのブルーズマンとしての本質はやはりこの歌のうまさ。この揺るがない歌があってのあの素晴らしいギター・プレイが引き立つわけです。
次は珍しいテイクでオリジナルはテキサス・ブルーズの巨人、ライトニン・ホプキンス。私もそうですが「B.B.がライトニンの曲をカバーしてたんだ」と思う人がいるとかなりいると思います。もう少しモダンなロウエル・フルソンとかルイ・ジョーダンのカバーはなるほどと思うのですが、カントリー・ブルーズマン、ライトニンのカバーは意外でした。そして、このテイクにはホーン・セクション入りもあるのですが、ここホーンなしのコンボ・スタイルです。これがまた日暮さんのこだわりでよりリアルなB.B.を感じさせてくれます
ブルーズ・バンドやっている人はこの一曲を聴くだけでもこのアルバムを買う価値があると思います。ブルーズバンドの教科書のような演奏とアンサンブルを聴くことができます。ドラムを中心としたステディなビートと全体でグイグイ押して行くようなバンド・アンサンブル。
3.Shotgun Blues (Original Version)/B.B.King
次はインストルメンタルの曲ですが、ジャンプ・ブルーズ調の曲で初期のゲイトマウス・ブラウンを思い出させるようなイナタさとワイルドさを持った面白い曲です。このアルバムの面白さでもあるのですが、いろんなB.B.のテイストが味わえます。このインスト曲もその一つです。
4.Boogie Rock/B.B.King
今年は日暮さんが亡くなられ、プレイヤーそしてライターとしても素晴らしい仕事を残した小出斉くんが亡くなり、ブルーズのことを文に書ける人が本当にいなくなりました。残念です。日暮さんも小出くんもブルーズの著作、本をいろいろ残していますので皆さん探して読んで見てください。