カントリー&ウエスタンをソウルにしたジニアス、レイ・チャールズの魅力その2


ON AIR LIST
1.Crying Time/Ray Charles
2.Let’s Go Get Stoned/Ray Charles
3.You Don’t Know Me/Ray Charles
4.Hey Good Lookin’/Ray Charles
5.Together Again/Ray Charles
先週に引き続き去年の10月と11月に日本のBSMFレコードから名盤再発掘シリーズでリリースされたレイ・チャールズのアルバム4枚から選んでON AIRします。60年代にABCレコードと契約して自分のレーベル「タンジェリンレコード」を立ち上げたレイ・チャールズは”I Can’t Stop Loving You”や”You Are My Sunshine”が大ヒットして、白人層まで広く知られるようになりました。その中で非常に重要なことはアルバムを製作する際の内容の決定権を黒人のレイが握ったことです。つまり自己の才能を開花させヒットを連発するレイに対して白人経営のレコード会社サイドはその才能を認め従うしかなかったということです。これは当時の黒人ミュージシャンの中では非常に珍しいことでした。その後もレイが歌うカントリー&ウエスタンや白人のボビュラーソングはヒットして続けざまに4枚のアルバムを出しました。今日の一曲目はカントリー&ウエスタンの偉人バック・オウエンスが歌っていた曲でレイはバックに自分のコーラス隊レイレッツを従えてゆったりとしたR&Bテイストにしています。
「君がドアを出て行くときにまた俺の泣く時が始まる」1965年リリース
1.Crying Time/Ray Charles
この曲を収録した同名のアルバムは66年にリリースされチャート15位まで上がりその年の最も売れたアルバムとなりました。
この曲、実は去年リリースされた山岸潤史とぼくが作ったCD”…Still Love With The Blues”が今年LPレコード盤としてリリースになるのでそこに収録される予定です。それは盟友の上田正樹先輩と才能のある女性歌手Yoshie.Nが参加してくれて三人で歌いました。ご期待ください。
次の曲もぼくの大好きな曲です。これも全米ナンバー1になった曲で作ったのは70年代デュオでも活躍したアシュフォード&シンプソン。最初に録音したのは有名なコーラス・グループ「コースターズ」でレイは翌年の66年にリリースしました。
曲名の”Let’s Go Get Stoned”は「一緒にハイになろう」という意味でStonedにはドラッグでハイになるという意味もありますが、ここではお酒でハイなろうという意味です。「彼女は部屋に入れてくれないけど、俺はちょっと金持ってるからジンを一本買って友達に電話してハイになろうやと言うよ。一日中一生懸命働いてもやることなすことうまいこと行かへん。そんな時帰る途中でいっぱいやってハイになろうや」毎日お勤めしている人たちのブルーズです。
2.Let’s Go Get Stoned/Ray Charles
ええ歌です。仕事終わっていっぱい飲みに行く人はこの曲思い出してください~Let’s Go Get Stoned~
次の曲は切ないです。タイトルをそのまま訳すと君は俺のことを知らない、つまり「君は俺のことをわかってないよ」なんですが、「彼女の方は会うと手を振ってハローと言ってくれる。でも鼓動が高まって俺は君とうまく喋れない。毎晩、君の彼が君を抱いてキスしているのを考えると苦しくなる。でも俺はただの友達なんよな。俺は君と君の隣で一緒に歩く彼よりも君のことを大切に思っているけど君は気づかない。そう君は俺のことなんか何にもわかっていないんよ」
片思いの切ない歌です。
3.You Don’t Know Me/Ray Charles
次の曲は一曲目のバック・オウエンスと並ぶカントリー&ウエスタンのレジェンド、ハンク・ウィリアムスがオリジナルの曲です。
ハンク・ウィリアムスのオリジナルがYou Tubeに上がっているのでそれを聞いてもらうといかにレイ・チャールズが個性的か、いかに才能があるかわかると思います。タイトルのHey Good Lookin’は”やあ、べっぴんさん”でしょうが、まあかわいい娘に声かけて「べっぴんさん、何料理してるん、一緒に作らへんか。二人で新しいレシピ見つけられるんとちゃうか。俺は車もあるし、ちょっと金も持ってる。だれとも付き合ってないし、恋人同士になれるんちゃうか。もう他のだれかを探さんでもええも君に惚れたから、ずっと一緒におるいうのもええんとちゃうか」とまあ大阪ミナミで飲んでる知り合いの男友達が女性を口説いている場面を思い出すような歌です。
4.Hey Good Lookin’/Ray Charles
もうレイの歌が絶好調で、こんな感じではだれも歌えません。ピアノも最高でした。
最後の曲です。
「また、一緒にいよう。涙が止まらない。もう寂しい一人の夜は終わり。俺の心の鍵は君の手の中にあるんや。二人がまた一緒になること以外に大切なことなんてない。二人の愛が息を吹きかえす。また一緒に」
最初にレイ・チャールズが”Together Again”と歌っただけでなんか泣けてきます。
5.Together Again/Ray Charles
BSMFレコードから再発されているレイ・チャールズの60年代のカントリーやボピュラーソングを歌ったアルバム4枚『Modern Sounds In Country And Western Music』VOL.1、VOL.2そして65年『Country & Western Meets R&B』と66年『Crying Time』を二週にわたって聞きました。すごくいいです。最近はよくジニアスって使う人がいるんですが、ジニアス(天才)なんて軽く言ってはだめだといつも思うんですよ。
でも何を歌ってもソウルフルになるというレイ・チャールズだけがぼくがジニアスと呼ぶシンガーです。興味のある方は珍しいアルバムなので今のうちにアルバムをゲットしてください。