2025.03.07 ON AIR

★祝来日!メイヴィス・ステイプルズ大特集「メイヴィスと黒人音楽の歴史」vol.6

現在も精力的に活動を続けるメイヴィス・ステイプルズの近年のソロ・アルバムの聴く

ON AIR LIST
1.Have A Little Faith/Mavis Staples
2.Down In Mississippi/Mavis Staples
3.We’ll Never Turn Back/Mavis Staples
4.Will The Circle Be Unbroken [Live]/Mavis Staples
5.We Shall Not Be Moved [Live]/Mavis Staples

もうすぐ、3/11,12,13ビルボード東京で開催されるメイヴィス・ステイプルズのライヴにちなんで彼女の特集をやって来ましたが、今日は最後6回目です。
1999年にステイプル・シンガーズは「ロックの殿堂」入りをして久し振りにファミリーが揃って歌うその姿を今もTou Tubeで見ることができます。しかし、2002年にお父さんのローバックが亡くなってしまいます。そこでステイプル・シンガーズとしての活動は終わりました。50年代ゴスペル・ルーツから始まりフォーク、メッセージ・ソングなども歌いながら70年代には一流のソウル・グループとしてヒットも出して認められ、今も多くのミュージシャンにリスペクトされる存在です。

ステイプル・シンガーズが出来なくなってからメイヴィスのソロ活動は盛んになりました。今日はそのいつも変わらない高いクオリティの歌を聴かせてくれるメイヴィスの近年のソロアルバムからピックアップして聞いてみようと思います。
ソロ活動に入り最初に発表した本格的なアルバムが2004年のアリゲーターからリリースされた”Have A Little Faith”でした。
まずはそのタイトル曲です。
「大変な時代だから互いに助け合い、信じ合おう。世界中に安全な場所などない。破壊と痛みがある。友よ、少しだけでも信じ合おう」ステイプル・シンガーズ時代も思い出させる温かいメッセージ・ソング。

1.Have A Little Faith/Mavis Staples

メイヴィスはこのアルバムHave A Little Faithでそれからの進む道を見つけたような気がします。
続いて三年後の2007年には”We’ll Never Turn Back”がアンティ・レコードからリリースされます。このアルバムはライ・クーダーがプロデュースしたもので政治・社会的な要素の濃いメッセージ・アルバムになつてます。そういえばライ・クーダーはお父さんローバックのソロもプロデュースしていました。
メイヴィスは60年代のステイプル・シンガーズ時代からミュージシャンでありながら公民権運動家でもあり、社会的なメッセージソングもたくさん歌ってきているのでやはりこのあたりが彼女の場所なのかなという感じがしました。
このアルバムから最初に聞いてもらうのはブルーズマンのJ.B.レノアが作り歌った曲で僕もブルーズ・ザ・ブッチャーでレコーディングさせてもらってます。
「故郷のミシシッピは好きなところもあるけどもうあそこには帰りたくない」という人種差別のきつい故郷ミシシッピへの複雑な気持ちを歌ったもの。

2.Down In Mississippi/Mavis Staples

このアルバム”We’ll Never Turn Back”はメイヴィスの両親に捧げられていてアルバム・ジャケットの最初には公民権運動の主導者だった偉大なキング牧師とメイヴィスのお父さんのローバック・ステイプルズが2ショットで映った写真が使われています。それでもわかるようにずっと持ち続けている平等と自由への願いそして差別と貧困の撤廃の気持ちをメイヴィスはこのアルバムに込めています。
ではアルバムタイトル曲です。「私たちは馬鹿にされ軽蔑されてきた。でも私たちは決して引き返さない。みんなが解放されるまで。私たちは平等のために亡くなった人たちのために泣いた。でも私たちは決して引き返さない。みんなが解放されるまで」
力強いメッセージ・ソングです。

3.We’ll Never Turn Back/Mavis Staples

50年代から始まり60年代に大きな高まりを見せた黒人の公民権運動のことを皆さんに知ってもらえると、60年代からの人種差別や貧しさや格差の不平等は今も変わっていないことがわかると思います。それはもうアメリカだけの問題ではなくグローバルになった世界中の問題ですが、まずは自分の中に差別の意識が本当にないのか・・みたいなことから考えるといいのかもしれません。”We’ll Never Turn Back”は本当にいいアルバムです。
では、メイヴィス・ステイプルズが来日するので彼女のライヴの感じを知るために2008年のライヴアルバムLive: Hope at the Hideoutから聞いてみます。彼女のホームタウンであるシカゴの「ハイドアウト・イン」という店で録音されたライヴです。サウンドの感じからするとそんなに大きな会場ではないと思います。懐かしいステイプル・シンガーズがレコードデビューした時代のゴスペルを歌っていますのでまずそれを。
イントロのトレモロのかかったギターの音が亡くなったお父さんのポップス・ステイプルズのギターの音を思い出させます。

4.Will The Circle Be Unbroken [Live]/Mavis Staples

今のも初期のステイプル時代の歌ですが次の曲も何度か録音されている定番曲です。
まあいろんなことがあり、いろんな曲も歌って時代を乗り越えてきたメイヴィスはやはり誠実に歌に向き合って現在の社会の状況に警鐘を鳴らしています。
体に染み込んだゴスペルを歌う時のメイヴィスは最高です。

5.We Shall Not Be Moved [Live]/Mavis Staples

今日で来日するメイヴィス・ステイプルズの特集は終わりです。ぼくは自分のツアーがあるのでメイヴィスのライヴに行けないのですが、ライヴに行かれる皆さんはアメリカの国宝のようなメイヴィスの歌を楽しんでください。それで来週はメイヴィスのお父さんローバック・ポップス・ステイプルズの特集をやって全て終わります。