2025.06.27 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第1回目豪速球ブルーズ、カーター・ブラザーズ

ON AIR LIST
1.Southern Country Boy/The Carter Brothers
2.Why Baby Why/The Carter Brothers
3.So Glad She’s Mine/The Carter Brothers
4.What You Say Big Mama/The Carter Brothers
5.Booze In The Bottle/The Carter Brothers

自分のバンド、blues.the-butcher-590213が20年前からアルバムを出している日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。しかし、現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、ネットカタログを見るとそのジャンルと量の多さに驚きます。外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝して今回からしばらく私の好きなP-Vine レコードのいかにもP-Vineらしいアルバムを紹介しょうと思っています。
今回は1980年にP-Vineがリリースしたカーター・ブラザーズです。

カーター・ブラザーズはヴォーカルとベースのロマン、キーボードのジェリー、ギターのアルのカーター兄弟3人が高校生の時に始めたバンドです。1958年にジュエル・レコードに録音した”Southern Country Boy”が南部の黒人たちの間でヒットしてそれでブルーズ・ファンに少し知られる存在になったのですが、ジュエル・レコードのコンピ・アルバムにその”Southern Country Boy”が収録されているくらいでアルバムはありませんでした。その初アルバムが80年にリリースされたP-Vineレコードの”The Carter Brothers”でした。
まずそのヒット曲を聞いてみよう。「俺みたいなダメな南部の田舎もんに優しくしてくれてありがとう、シュガーママ」

1.Southern Country Boy/The Carter Brothers

聞いてもらってわかるようにヴォーカルのロマンの歌を中心にしたパワフルでストレートな豪速球ブルーズです。コッテコッテです。暑苦しいです。大好きです。これがこのグループの大きな魅力です。
次の歌はよくあるブルーズですが「あんな好きやっていうてたのになんで、なんでやねんこの冷たい仕打ちは」と彼女の心変わりを責めてるんですが、まあ本人もなんか彼女に悪いことしたんでしょ。ブルーズマンはまあ自分のことは棚にあげますから・・

2.Why Baby Why/The Carter Brothers

いまイントロでノイズがバリバリと聞こえましたが今日はぼくの持ってるLPレコードから音源をとってますので愛おしいノイズがあります。
しかし、ノイズなんか関係なく歌がもう強力です。
次の曲なども聞いてもらうとわかるのですが、バック・バンドがうまいんですよ。ドラムを中心としたビートもステディでパワフルでホーン・セクションもしっかりしている7人編成のバンドです。だからすごく質の高いバックのサウンドとビートの上にロマン・カーターの豪速球の気持ちのいいブルーズ・ヴォーカルがストレートにくるという感じ。ちなみにライナーノートを書かれた日暮泰文さんがこのバンドでおそらくツアー・ライヴもやっていたのだろうと言ってます。当時60年代後半にそんなにヒット曲があるわけでもない、アルバムもないブルーズバンドでこのクオリティというのは素晴らしいです。
次は「彼女が俺のものやなんてめちゃ嬉しいわ」

3.So Glad She’s Mine/The Carter Brothers

カーター・ブラザーズが所属したこのジュエルというレーベルはルイジアナのシュリブポートという街の会社ですが、さすがルイジアナというか一番最初にリリースしたミュージシャンはルイジアナ出身の白人の名シンガー・ソングライター、ボビー・チャールズでした。オーナーのスタン・ルイスという人はイタリア系アメリカ人ですが、なかなか商売の才覚もありライトニン・ホプキンス、ロウエル・フルソン、チャールズ・ブラウンなどのいいアルバムをリリースした音楽を聞く耳もある人です。そのジュエルというレーベルのクオリティの高い音源に目をつけてシングルを選んでアルバムにした日本のP-Vineレコードもセンスがいいです。

4.What You Say Big Mama/The Carter Brothers

このカーター・ブラザーズの魅力というのはヴォーカルのロマンの歌を中心としてモダン・ブルーズのテイストもありながらもイナたい南部のダウンホームな感覚がどっしりあるところです。よく言うこのダウンホームな感覚というのが日本人の僕なんかが歌い、演奏するときになかなか出ないものです。やはりアメリカ南部の日常の生活から生まれる感覚なんで身につけるのは難しいです。
そのあたりの魅力が出ているスロー・ブルーズを聞きましょうか。

5.Booze In The Bottle/The Carter Brothers

このカーター・ブラザーズを好きなところはとにかく自分の思っていることをカッコづけずにストレートに歌っているとこです。あの種ブルーズの基本やと思います。歌のテクニックも大切ですけどブルーズに関してはそれが一番ではないと思います。
今日は「祝50周年P-Vine Records!!!」と題して今や世界的なレコード・レーベルとなった日本のP-Vine Recordから1980年にリリースされた「カーター・ブラザーズ」聞きました。70年代終わりはもうブルーズの大きなブームは去り、日本のレコード会社がブルースのアルバムのリリースをどんどん止めていくのですが、インディーズのP-Vineだけがここから現在まで頑張ってるわけです。
来週も「祝50周年P-Vine Records!!!」でP-Vineの素晴らしいアルバムを紹介します。
P-Vine Records https://p-vine.jp