2016.01.22 ON AIR 追悼:Allen Toussaint vol.3

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ON AIR TRACK LIST
1.Southern Night/Allen Toussaint
2.From A Whisper To A Scream/Allen Toussaint
3.Soul Sister/Allen Toussaint
4.With You In MInd/Allen Toussaint
5.It’s Raining/Allen Toussaint

 

 

 
昨年急逝してしまった偉大なミュージシャンであり、アレンジャー、プロデューサー、ソングライターであるアレン・トゥーサンの特集の三回目です。
70年代に入っていよいよ自分のソロ・アルバムを発表するトゥーサンですが、最初のソロは1970年のアルバム”From A Whisper To A Scream”。
でも、僕にとって彼のソロの曲といえばまず頭に流れてくるのが、ニューオリンズの夜の素晴らしい風景を幻想的に描いた75年の「サザン・ナイト」です。ニューオリンズの定番曲「ディピティーナ」「アイコアイコ」「ビッグチーフ」「ウォーキング・トゥ・ニューオリンズ」などと同じようにニューオリンズを想い出す曲です。
「君は南部の夜を感じたことがあるかい?」と始まる歌詞は、気持ちのいい南部の空や風の中にいる素晴らしさを歌ってます。今日の一曲目は”Southern Night”

年代的に逆になってしまいますが、70年リリースの彼の最初のアルバムを聴いてみようと思います。アルバム・タイトル曲ですが、これも僕は大好きなエスター・フィリップスのカバーで最初に聴きました。
つき合っていた彼女がどれほど自分のことを想っていてくれたかを別れてから知った男の嘆きのような歌ですが、「4月の一ヶ月に降る雨の量よりももっといっぱいの涙が君の瞳から落ちてくるのを見たんだ。君の優しさをいつもある壁紙のように普通なことだと想っていたんだ。オレはバカだった。君が自分にとって大切な存在であることがわからなかったんだ」
「ささやきから叫びまで」~”From A Whisper To A Scream”
普通の人に作れない独特のメロディ感とか和音感があります。こういうのがアレン・トゥーサンだと感じます。

トゥーサンは72年にアルバム”Life,Love And Faith”をリリースします。リズム隊となっているのはやはり「ミーターズ」
この曲でもミーターズの太いグルーヴが聴けますが、コーラスアレンジやコーラスワークも独特でこういうことをよく思いつくなぁということが多々あります。やはり、才人だと感じさせる一曲でもあります。クールな一曲、”Soul Sister”

次は1978年の”Motion”というアルバムに収録されているものでソロの3枚目。これはセルフ・プロデュースではなくアトランティックレコードで腕をふるったジェリー・ウェクスラーがプロデュース。ニューオリンズではなくハリウッド録音。
ドラムにジェフ・ポーカロ、ベースにチャック・レイニー、ギターにラリー・カールトン、あとギーボードにリチャード・ティの名前もあり名人たち大集合です。コーラスにはエタ・ジェイムズやボニー・レイットの名前もあります。
「君といっしょにいると想えばなんでもこいだ。君といっしょにいると想えば力があふれ、君といっしょにいると想えば何でもやれる。君といっしょにいると想えばオレは生きていける。君といっしょにいると想えばね」
何気ないいい曲です”With You In MInd”

2013年リリースの「ソング・ブック」というアルバムがアレン・トゥーサンのラスト・アルバムになってしまいました。
録音されたのが2009年で全編弾き語りのアルバムです。これでもわかるようにここ数年トゥーサンは弾き語りやライヴを盛んに行ってきて、日本にも来てくれました。
本当に偉大な人で黒人、白人問わず実にたくさんのミュージシャンに影響を与えた人で、彼なくしてはデビューできなかった、有名になれなかっただろうミュージシャン、シンガーもたくさんいます。これをトゥーサンがプロデュースしたニューオリンズの歌姫、アーマ・トーマスもそのひとりでしょう。最後にトゥーサンの遺作となったアルバム「ソングブック」からこの名曲を聴きます~”It’s Raining”

ブルーズから少し離れましたがニューオリンズの偉大なピアニスト、ソングライター、プロデューサー、アレンジャー、アレン・トゥーサンの追悼の放送を三回にわたってお送りしました。みなさんも彼の素晴らしい曲を、アルバムをゲットして楽しんでください。そして、もし、ニューオリンズへ行くことがあったらきっと彼の「サザン・ナイト」が心の中から聞こえてくると思います。

最後に音楽ライターの山崎智之(ともゆき)さんが行ったインタビューでトゥーサンはこう言ってます。
「スローペースだけど、ニューオリンズの人生は喜びだ。そんなに急がなくても、音楽があればいまを楽しめるよ」アレン・トゥーサン
Hey Hey The Blues Is Alright!