2016.01.15 ON AIR 追悼:Allen Toussaint vol.2

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ON AIR TRACK LIST
1.Get Out Of My Life Woman/Lee Dorsey
2.Working In A Coalmine/Lee Dorsey
3.Holy Cow/Lee Dorsey
4.Cissy Strut/The Meters
5.Ride Your Pony/Lee Dorsey

前回から引き続き昨年11月に亡くなったアレン・トゥーサンの特集の二回目。
僕が彼のライヴを最初に見たのは88年の初来日の時でした。ニューオリンズでやっているショーをそのままやってくれて感激しました。そして当たり前なんですけど、ピアノがすごく良かった。アラン・トゥーサンの音色になってました。ここ数年は毎年のように来日してくれたので楽しみにしていたのですが、本当に残念です。
60年代の中頃になるとアレン・トゥーサンのプロデュース・アレンジは、時代の流れもあって次第にファンク色が強くなっていきます。それがニューオリンズ・ファンクといわれるものの先駆けでした。とにかく60年代にアレン・トゥーサンが作り出していったニューオリンズ原産のR&B,ソウル、ファンクはすごい勢いで、彼がいなかったら誰がニューオリンズ音楽を仕切ったのかと思うくらいです。その中でもリー・ドーシーという歌手を余程気に入ってたのか、アルバム”Working In A Coalmine”、これはCDで27曲収録されてますが、そのうち25曲がアレン・トゥーサンの作曲です。かなりの入れ込みようです。
今日の一曲目はそのリー・ドーシーの歌で”Get Out Of My Life Woman”
「もう愛していないんならオレの(人生)ところから出て行ってくれ」という歌詞もブルーズな曲ですが、ビートがかっこいいファンクでピアノの使い方、ギターのカッティングなどアレンジにもアレン・トゥーサンの素晴らしい才能が現れています。
2曲目はおなじリー・ドーシーで”Working In A Coalmine”
「コールマイン」っていうのは炭坑のことです。これは炭坑で働いている歌です。
「オレは炭鉱で働いてる。滑りそうになって地下へ降りていく。朝5時に起きて仕事に出る準備もしている。もうくたくたに疲れてる。こんな生活いつまで続くんやろ。稼ぎのためにすごい重い石炭を引きずりあげる。こんな生活やから土曜になっても遊ぶ気力もないわ」
かなりヘビーな歌詞なんですが、なんか曲聴いていると、ヘビーな歌には聞こえなくてファンキーなビートに踊ってしまいます。1966年ポップチャート8位 R&Bチャート5位。
僕は次のHoly Cowのようなニューオリンズのちょっとのんびりしたテイストが残っている曲がすごく好きです。Holy Cowとは「なんてこった!」「なんやねん」みたいな意味やと思います。「君が出ていってから眠れない、泣く事も出来ないし、何にも食べることもできない・・・なんやねん」切ない歌です。
1969年にはアレン・トゥーサンは自分のレコーディング・ミュージシャンであった「ミーターズ」のアルバムプロデュースに乗り出します。ちょうどウエストコーストではスライ&ファミリー・ストーンのファンクが流行り、ジェイムズ・ブラウンもファンクの帝王としてバリバリ言わしていた黒人音楽がファンク全盛を迎える中、ニューオリンズのNO.1ファンクバンドはこんなインスト曲でチャートに現れました。Cissy Strut!
もちろんアレン・トゥーサンの音楽をつくる力も素晴らしいんですが、それを実現する素晴らしいミュージシャンがニューオリンズにいたということ、そして、やっぱり才能のあるミュージシャンたちを聴く耳をアレン・トゥーサンがもっていたというところが、60年代にニューオリンズが再び盛り返してきた理由。
最後は再びリー・ドーシーのヒット曲で、ニューオリンズの定番曲”Ride Your Pony”

次回は70年代になっていよいよソロ・ミュージシャンとして登場してくるアレン・トゥーサンの足跡を追います。
Hey!Hey! The Blues Is Alright!