2016.06.17 ON AIR

「ブルーズは死なないと歌った」ブルーズピアニスト オーティス・スパン

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the blues is where it’s at /Otis Spann (MCA )

Otis Spann Is The Blues/Otis Spann (Candid)

Otis Spann Is The Blues/Otis Spann (Candid)

Walking The Blues/Otis Spann (CANDID)

Walking The Blues/Otis Spann (CANDID)

Best Of The Vanguard Years/Otis Spann (Vanguard)

Best Of The Vanguard Years/Otis Spann (Vanguard)

 

ON AIR LIST
1.I Just Want To Make Love To You/Muddy Waters
2.Worried Life Blues/Otis Spann
3.Spann’s Stomp/Otis Spann
4.T’ Aint Nobody’s Biziness If I Do/Otis Spann
5.Baby Child/Otis Spann

ピアノのブルーズを聞きたいというリクエストをいただきました。それで今日はシカゴ・ブルーズのピアニストのオーティス・スパンを聴こうと思います。
いまシカゴ・ブルーズのピアニストと言いましたが、シカゴで活躍したピアニストは他にもたくさんいまして、ビッグ・メイシオ、エルモア・ジェイムズのバンドにいたジョニー・ジョーンズ、オーティス・スパンの後にマディのバンドに入ったパイントップ・パーキンス、メンフィス・スリム、ルーズヴェルト・サイクスとまあたくさんいます。
オーティス・スパンは1930年にミシシッピのジャクソンという街に生まれ、お父さんがピアニストで8才からピアノを弾いて14才くらいの時にはジャクソンあたりのバンドに入ってピアノを弾いていたようです。
この頃、彼が憧れていたのがビッグ・メイシオというピアニストでした。”Worried Life Blues”といういまやブルーズのスタンダードになっている、大ヒット曲があるビッグ・メイシオは「シカゴ・ブルーズピアノの王様」と呼ばれた人でした。憧れのビッグ・メイシオがシカゴで活躍していたこともあったのでしょう、17才くらいの時にスパンはシカゴに移り住みます。シカゴでいろんなセッション、ギグに参加している時に録音に呼ばれたのが、マディ・ウォーターズのレコーディングでした。
僕がスパンの名前を初めて知ったのもマディのアルバムからでした。そして、この曲のイントロのピアノも忘れられない印象的なものでした。
I Just Want To Make Love To You

最初に好きになったブルーズマンであるマディをおいかけてレコードを買ってるうちに、マディのいいアルバムには必ずと言ってよいほどスパンのピアノが入っていることがわかりました。つまり、スパンはマディの右腕的な非常に重要なメンバーだったのです。
マディのバンドのジミー・ロジャースやリトル・ウォルターはソロでも活躍して、レコードも出しているのにオーティス・スパンはないのかな・・・と思ってさがして見つけたのが、ギター名人ロバート・ロックウッドJrとデュオでやっている”Otis Span Is The Blues”というアルバムでした。このアルバムでスパンは、尊敬していたビッグ・メイシオの名曲を録音しているので聞いてみましょう
Worried Life Blues

次の曲はヴァンガードというレーベルに残した音源を集めたBest Of Vanguard Yearsと言うアルバムからスパンの力強いブギ・ピアノが聞けるインストルメンタルの一曲です。ピアノのタッチの強さとグルーヴ感がやはり半端なく素晴らしいです。
Spann’s Stomp

次の曲は1966年にマディのバンドのメンバーとしてライヴに行ったニューヨークのスタジオで、取り巻きや近しいファンの人たちを入れてスタジオ・ライヴとして録音したアルバム”The Blues Is Where It’s At”に収録されているスパンのブルーズ。ギターにルーサー・ジョンソンとサミー・ローホン、ハーモニカがジョージ・スミス、ドラムがフランシス・クレイ、ベースがマック・アーノルド、それに御大マディもギターで参加、そしてメインのオーティス・スパンの歌とピアノ。お酒も配られてリラックスした中にも濃いブルーズが演奏されてます。
T’ Aint Nobody’s Biziness If I Do

60年代の終わり頃になるとスパンはソロとしも忙しくなってきて1969年にマディのバンドを辞めます。そして、これからソロ活動をがんばろうかという時にガンになってしまい翌70年に亡くなってしまいました。最後はスパンのファンキーな曲です。
Baby Child

アルバムタイトルにもなってるんですが、「The Blues Never Die」そのブルーズは決して死なないというスパンの言葉が、この2016年でも生きているということが素晴らしいです。スパンに伝えたいですね「ブルーズは死んでないよ」と。