2016.08.19 ON AIR

ライトニン・ホプキンスからジミ・ヘンドリックス、プリンスにも賞賛された男、ジョニー・ギター・ワトソン その1

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LISTEN/I DON’T WANT TO BE A LONE RANGER/CDCHD408

 

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Ain’t That A Bitch/Polystar PSCW-5350

 

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GIANT/PSCW-5353

ON AIR LIST
1.I Don’t Want To Be A Lone Ranger/Johnny “Guitar” Watson
(LISTEN/I DON’T WANT TO BE A LONE RANGER/CDCHD408)
2.Ain’t That A Bitch/Johnny “Guitar” Watson (Ain’t That A Bitch/Polystar PSCW-5350)
3.I Want To Ta-Ta You Baby/Johnny “Guitar” Watson (Ain’t That A Bitch/Polystar PSCW-5350)
4.Gangster Of Love/Johnny “Guitar” Watson (GIANT/PSCW-5353)

4/21にプリンスが亡くなった時に僕が思い出したブルーズマンがいます。ジョニー・ギター・ワトソンです。プリンスのようにポップスターではなかったですが、ブルーズ、R&B、ファンクの世界で彼は才能にあふれ、革新的で、ユーモアがあって、クールでまさに黒人でしか表せない音楽を残した人でした。
プリンスは、歌とギター、そして作詞作曲だけでなくほとんどの楽器を自分でこなし、アレンジ、プロデュースも自分でやる人でした。そして、音もヴィジュアルもパフォーマンスも自分で考える美意識の強い人で本当にマルチな才人でした。そのマルチな才能をジョニー・ギターも持った人でプリンスにも影響を与えたミュージシャンでした。
ジョニー・ギター・ワトソンは1952年にブルーズマンとして登場しました。出身はテキサス。そのテキサスの大先輩、ライトニン・ホプキンスも若き日のジョニー・ギターに一目置いていました。
1952年から60年代の半ばくらいまでジョニー・ギターはブルーズマンとして活躍していましたが、60年代の終わりからブルーズにもファンク、ソウルの影響が強くなり彼もブルーズにそれまでの自分の音楽の素養をミックスさせたとても個性的な音楽を作り始めます。
その独自の音楽の最初を聞いたのが、ちょうど僕が初めてアメリカへ行った頃でした。僕もブルーズ、R&Bの人としてジョニー・ギターを知っていたので、最初はちょっとびっくりでしたが、ロスのラジオからヘヴィ・ローテーションで流れて来るこの曲がかっこよくてすぐにアルバム買いました。
1975年ジョニー・ギター・ワトソンが70年代のファンクのアイコンのひとりとなるきっかけの曲
I Don’t Want To Be A Lone Ranger
かっこいい!
ちょっとしゃれているけれどブルーズのもつイナタさもあり、とにかくビートがかっこよくてギターの音色がいい。これを当時ロスのクラブで生で聞いた時、ジョニー・ギター・ワトソンはめっちゃかっこ良くて3日連続で観に行きました。

いまの曲の翌年、まだプリンスが登場する前。1976年にドラムとホーンセクション以外の楽器をすべて自分ひとりでやり、作詞作曲、プロデュースアレンジも自分というアルバムをジョニー・ギターは発表します。
それが”Ain’t That A Bitch”というアルバムで内容はどこにジャンル分けしたらいいのかわからないもので、一応ファンクというところに収められました。デビュー当時はやはりプリンスの音楽をなんと呼んでいいのか、みんなわからなかったと思います。まあ、結局プリンスはプリンスの音楽というしかなかったのですが、ジョニー・ギターも同じです。
「毎日毎日ハードに働くのに生活するのにかかるお金が多すぎて金なんか残らん。コンピューターのプログラムもできるし、経理も心理学も勉強した。ビジネスのコースも取ったし、日本語も少しやったらできるよ。でも、休みは少ないし、給料も少ない。これって最悪ちゃうか」
歌詞の内容は当時の世相を歌った思いっきりブルーズ。
では、その画期的なアルバムとなったアルバム・タイトル曲
Ain’t That A Bitch
このAin’t That A Bitchのアルバムがヒットして評判になり、ジョニー・ギターは70年代半ばのファンクの代表選手のひとりになっていきました。
実は彼は小さい頃からずっとピアノを弾いててジャズも演奏していました。実際ピアノだけ弾いているアルバムも発表してます。彼の曲のアレンジが普通のファンクやソウルやブルーズのミュージシャンと違うところはそのジャズ・テイストがあるところだと思います。
「オレの彼女になってくれて、ありがとう」という歌です。
I Want To Ta-Ta You Baby

ギターの音と自分の声をミックスするトーキング・モジュレーターやシンセサイザーなども使いこなして彼は新しいサウンドを作っていくのですが、どこかいなたいブルーズのテイストがなくならないであるところが彼の持ち味です。
Ain’t That A Bitchのアルバムの2年後78年の”Giant”というアルバムでは、自分の昔の57年のヒット曲をふたたび録音しています。これはもろブルーズです。
Gangster Of Love

来週はもっと昔に溯ってブルーズ、R&B時代のジョニー・ギターを聞いてみようと思います!
Hey!Hey! The Blues Is Alright!