2016.09.02 ON AIR

Funky Blues~ブルーズ生き残りの60年代末から70年代

Shattered Dreams/Funky Blues 1967-78 (BGP records CDBGPD 229)
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ON AIR LIST
1.Country Girl/Johnny Otis Show
2.It Took A Long Time/Finis Tasby
3.Mellow Together/Lowell Fulson
4.Playing On Me/Albert King
5.Good Feeling/Freddie Robinson

 

 

 

 

ブルーズが初めてレコーディングされた20年代から、ブルーズは時代の流れに添いながら生き残り、その時代によって「カントリー・ブルーズ」「クラシック・ブルーズ」「シティ・ブルーズ」そしてエレクトリック化されて「モダンブルーズ」になり、地域的に非常に個性的なブルーズが生まれて、シカゴ・ブルーズ、メンフィス・ブルーズ、ルイジアナ、テキサス、セントルイス、ウエストコーストとそれぞれのブルーズが出来ました。
40年代から50年代にブルーズは全盛期を迎えて、ブルーズからロックン・ロールが生まれ、ブルーズはR&Bと呼ばれるものに変化していき、そのR&Bが60年代に入るとゴスペルの導入によってソウル・ミュージックに代わり、そして片方でダンサブルなビートを強化したファンクという音楽が生まれました。
オーセンティックなブルーズはこの60年代にソウルやファンクに押され、またロックの台頭もあり、時代の流れから離れて行く風潮になりました。フレディ・キングがブリティッシュ・ロックのミュージシャンにもてはやされたり、アルバート・キングやB.B.キングが白人ロックの殿堂フィルモアに出演したり、そういうのもブルーズが従来のマーケットだけでは成り立たなくなっていった中での出来事でした。
しかし、ここで踏ん張った黒人らしいブルーズがファンクやソウルの要素を取り入れたブルーズン・ソウルとかファンク・ブルーズと言われるものでした。
今日はその60年代から70年代にめっちゃヒットにはならなかったが、黒人サークルの中で力強く生きつづけたファンク・ブルーズを聴いてみます。
まずはウエストコーストのR&Bのボス、ジョニー・オーティスが率いたジョニー・オーティス・ショー。
Country Girl
こってりしたホルモン味噌焼きみたいな1969年リリース、ブルーズ・ファンクの見本みたいな曲でした。

今日はShattered Dreams(Funky Blues 1967-78・)というP-Vineレコードからリリースされているコンピレーション・アルバムから聴いているのですが、こういうコンピの楽しみのひとつは自分が知らないミュージシャン、曲と出会えることです。では、今回初めて知ったファイニス・タスビーを聴いてみましょうか。
ライナーノーツを読むとこのファイニス・タスビーはテキサスのダラス出身。ベーシストとしてもB.B.キングやボビー・ブランド、Z.Z.ヒルのバックをやったこともある人です。オルガンのファンキーなサウンドにのって歌われてる歌声は、あとで聞いてもらうローウェル・フルソンによく似てると思います。
歌詞がですね
「オマエがオレの心から離れて長い時が過ぎた。時々、オレは寂しくて泣きそうになる。オレはもうこれ以上くよくよしながら生きるのはやめや。オマエも好きな用にして、生きたいとこへ行ったらええやん。でも、オレがおらんようになったらオマエはオレに逢いたくなるよ」とまあ、別れの歌ですが、僕の経験では女性は別れた男のことなんかあまり会いたいとは思わないですよ。だからこの歌は男の強がりに思えます。
It Took A Long Time/Finis Tasby
イナタさ満載のファンクでした。

次はいまのファイニス・タスビーの歌がたぶんこの人の影響だと思える。ローウェル・フルソン。フルソンと言えば、ヒットも何曲もありウエストコースト・ブルーズのボスのひとりですから影響を受けたブルーズマンはたくさんいます。ロウエル・フルソンで
Mellow Together
ロウエル・フルソンは洒落たこともやるんですが、いつも男っぽい武骨さといなたいブルーズの匂いがあってそれが魅力です。

最初のギターの音色を聞いただけでぞくっとして「ああ・・」ってわかってしまうアルバート・キング。B.B.フレディ、アルバートの三台キングは3人ともファンキーなテイストはあるんですが、ファンキー・テイストでいちばん売れたのはこのアルバート・キングだと想います。
ブルーズマンは個性的な人ばかりですが、その中でも個性的。スモーキング・ヴォイスと呼ばれる歌も個性的。体もでかいですが、歌声もギタープレイも太いです。手のこんだことはなにもしないですが、そこがまたかっこいいですよ。アルバート・キングで
Playing On Me

次のフレディ・ロビンソンを知ったのは75年だったか、亡くなったギターの塩次伸二がフレディ・ロビンソンの”Off The Cuff”というブルーズとファンクとジャズがミックスされた洒落たアルバムを持ってきて、それで僕もすぐ好きになってそのアルバムと”At The Drive In”というアルバムも買いました。それでしばらくしてから気づいたんですが、自分の持っているシカゴ・ブルーズのアルバムにフレディ・ロビンソンと言う名前がいくつかクレジットされていて、彼がシカゴ時代にスタジオ・ミュージシャンだったことを知りました。いまから聞いてもらうのは、70年代半ばにメンフィスで録音されて長くリリースされなかったものです。
タイトルどおり「ええ気分や、オマエといると雨の中を裸足であるくように、夏の日のそよ風のようにオマエといるとめっちゃええ気分や」
ブルーズ・ジャズ・ファンクをお楽しみください。
Good Feeling/Freddie Robinson

聞いてもらったようにファンキー・ブルーズ、ファンク・ブルーズというのはオーソドックスなブルーズのフォームにアレンジを加えて、当時の時代のサウンドやビートを導入したものですが、当時の流行のニューソウルとかディスコものとは違うやはりどこかにイナタイブルーズのテイストがあるものでした。当時「こんなんブルーズとちゃうやん」と拒絶したブルーズ・ファンも多かったのですが、僕はすごく好きでした。
もし、気に入ったら今日聴いたアルバム、Shattered Dreams/Funky Blues 1967-78 をゲットしてください。
では、Hey!Hey!The Blues Is Alright!