2017.06.16 ON AIR

追悼:チャック・ベリー/偉大なロックン・ロールの創始者 Vol.3

Chuck Berry Gold(Geffen/Chess1317-18)

Chuck Berry Gold(Geffen/Chess1317-18)

Hail! Hail! Rock 'N' Roll/Chuck Berry(MCA MVCM-22106)

Hail! Hail! Rock ‘N’ Roll/Chuck Berry(MCA MVCM-22106)

ON AIR LIST
1.Back In The U.S.A/Chuck Berry
2.Come On/Chuck Berry
3.Confessin’ The Blues/Chuck Berry
4.Sweet Little Sixteen/Chuck Berry
5.Little Queenie/Chuck Berry
6.Reelin’ And Rockin’/Chuck Berry

チャック・ベリー追悼の三回目
前回、前々回と彼のヒット曲を聴きながらその足跡を追いかけてきたのですが、とにかく最初のヒット「メイベリーン」の55年から59年までの5年間くらいはもうヒットの連続で、しかもそれらの曲がいまもロック史上に残っていて、カバーされ続けているところがすごいです。それはやっぱり、チャックの作った曲の中にロックの核になるものがあるからで、ロックをやるには一度はそこを通らなければならない道なんですね。
今回新たにチャックの音源や映像を見て彼のソングライティングの素晴らしさ、ギターの切れ具合、彼の歌とギターが一緒になったところから出てくるグルーヴのに驚きました。いままでも何度も聴いて知っていたと思っていたら、実はこういうノリだったのかとかこういう歌だったのか、こういうギターだったのか・・と知らないことが出てくるんですよ。
前回は1958年の「メンフィス・テネシー」を聴いて終わったのですが、今日の一曲目は1959年のリリースですが、その約10年後にビートルズがホワイト・アルバムにパロディとして録音した”Back In the U.S.S.R”の原曲です。
1.Back In The U.S.A/Chuck Berry
いまの曲のバック・コーラスは同じチェス・レコードのエタ・ジェイムズとマーキーズやってます。
次はローリング・ストーンズが1963年デビュー・シングルでカバーした曲
チャックのオリジナルは二年前の1961年。
2.Come On/Chuck Berry

前回も言いましたが、59年にチャックは女性問題で警察沙汰になり有罪になって3年間塀の向こうにいました。それで63年に出所してくるのですが、まあそういう事件もあり音楽の時代の流れもあってチャックのR&Rの勢いは60年くらいから少しずつ薄れていきます。でも、コンサート、ライヴでは相変わらずの大人気で、その人気を押し上げてくれたのがいまのストーンズやビートルズはじめ白人のロック・ミュージシャンがチャックの曲を取り上げてくれたからでした。
60年代前半にデビューしたイギリスのバンドは、ほとんどがチャックの曲をカバーするくらいイギリスでは人気がありました。
音楽的な流れはそういうイギリスのバンドが次第にアメリカの若者にも人気が出て、ロックン・ロールそしてロックが定着していくわけですが、一方黒人音楽はというと50年代主流だったブルーズ、R&Bが60年代になるとソウル、ファンクという時代になりサム・クック、ジェイムズ・ブラウン、アレサ・フランクリンなどが登場してきます。そんな中でチャック本人もオリジナルが売れないのでちょっと創作意欲が落ちたのか、昔とったきねづかでブルーズを録音したりします。聴いてもらうのはジャズ・ブルーズ・シンガー&ピアニストのジェイ・マクシャンがヒットさせた曲で、デビューする前のチャックがよくステージで歌っていたブルーズだそうです。ピアノ・ジョニー・ジョンソン、ドラム・イビー・ハーディ、ベース・ウイリー・ディクソンそしてギターに名人マット・マーフィが参加してます。
3.Confessin’ The Blues/Chuck Berry
歌のバックのギターはマット・マーフィがオブリガード弾いてますが、途中のソロはチャックでしょうか、でもマットだったらこういうチャックのマネできるから・・ちょっとわからないですね。でも、やっぱりチャック・ベリーがやるとこういうスタンダードなブルーズもロックしてるブルーズになるんですね。面白いです。
そういえばストーンズもこの曲をカバーしてるんですが、彼らはオリジナルのジェイ・マクシャンではなくてこのチャックのカバーをカバーしたんですね
いつからか分からないんですが、チャック・ベリーは自分のバンドをもたないでその街のバンドを使ってライヴをやるように゜なるんですよ。はっきり言ってアマチュアみたいなバンドを使ってひどい演奏することの方が多かったみたいで・・まあ、本人はギャラ、お金もらえれば・・ってあまり音楽的なことを望まなくなったんですね。日本に初めてきた時はアンコールが鳴り止まないのに「オレは契約の時間は演奏したから」ってギターしまって帰ってしまったんですよ。ええっていう感じだったんですが・・。
それでストーンズのキースがみるに見かねて「ちゃんとしたバンドで演奏してみないか。オレがバンドを用意するから」とチャックを説得してやったのが「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」というコンサートでジョニー・ジョンソンはじめボビー・キーズ、クラプトン、スティーブ・ジョーダン、エタ・ジェイムズと豪華メンバーをキースがプロデュースしてやりました。
この映画がすごく面白くてDVDも出てるので是非見てください。
では、その「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」から
4.Sweet Little Sixteen/Chuck Berry(Hail! Hail! Rock ‘N’ Roll [Live])

5.Little Queenie/Chuck Berry(Hail! Hail! Rock ‘N’ Roll [Live])

最後はずっと踊っていたいという曲ですが、本当にずっとチャック・ベリーを聴いていたいです。
6.Reelin’ And Rockin’/Chuck Berry
どんな時代になっても古くならないチャック・ベリーの音楽、ロックンロール。
気分がちょっと落ち込んでいる時に朝からちよっと大きな音でチャック・ベリー聴いてください。落ち込んでることなんか大したことないっていう気持ちなります