2017.06.30 ON AIR

ブルーズ・ザ・ブッチャー10周年記念アルバム”Rockin’ And Rolln'”を聴くvol.1

“Rockin’ And Rolln’”/blues.the-butcher-590213(P-VINE PCD-18823)

img01

ON AIR LIST
1.Tell Me What’s The Reason/blues.the-butcher-590213
2.Walkin’ With Frankie/blues.the-butcher-590213
3.Texas Flood/blues.the-butcher-590213
4.Hound Dog/blues.the-butcher-590213+うつみようこ

自分のバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」が結成から10年を迎えました。1972年に最初のバンド、ウエストロード・ブルーズバンドを結成してから約45年経ちましたが、「ブルーズ・ザ・ブッチャー」がいままでやって来たバンドの中でいちばん長く続いたバンドになりました。ブルーズ・ザ・ブッチャーの前身となる「ブルーズ・パワー」から数えると通算9作目、ブルーズ・ザ・ブッチャーとしては8作目のアルバムがP-Vineレコードから先日6/2にリリースされました。
10年で8作ということはほぼ1年に一枚のペースでアルバムを作ってきたわけですが、アルバムを作って全国ツアーをするというバンド活動のサイクルもこの10年、ほとんど何も変わらずやってきました。
現在もリリースツアーの最中なのですが、今回も50本以上はツアーで回ります。
今回のアルバム”Rockin’ And Rolln’”のコンセプトはテキサス・ブルーズです。
テキサスといえば1920年代のブラインド・レモン・ジェファーソンからライトニン・ホプキンス、T.ボーン・ウォーカー、ゲイトマウス・ブラウン、ジョニー・ギター・ワトソン、アルバート・コリンズ、と名前のあるブルーズマンだけでもかなりたくさんいます。つまり、ブルーズマンの宝庫です。

まずは一曲。先日インタビューを受けたときに「憧れのブルーズマンは誰ですか」と訊かれて悩んだ末に名前を上げたのがT.ボーン・ウォーカーでした。洗練されていて、緻密でありながらもテキサスの伝統のアグレッシヴなテイストや土着性も感じさせるT.ボーン・ウォーカー。彼の50年代インペリアル・レコード時代の曲を今回録音に僕は選びました。「オレを惑わすのはなんでやねん。オレのこと好きやないくせにオレを自由にしてくれへん。なんでやねん」
1.Tell Me What’s The Reason/blues.the-butcher-590213
ドラム沼澤尚、ベース中條卓、ハーモニカKOTEZ、そしてギターとヴォーカル私永井ホトケ隆のブルーズ・ザ・ブッチャーでした。
このメンバーで10年活動してきたわけですが、僕は昔からバンド・メンバーとは同じ職場の仲間だと思っています。友達かといわれるとちょっと普通の友達関係ではないです。バンドという組織の中で音楽という同じ職業をやっている関係ですから、会社勤めをしている方の同じ職場の同僚と同じですよね。上下関係はないです。一応僕が年上なのでバンマスみたいな風に思われることが多いですがメンバーの関係は何もかもイーヴンです。僕は歌とギターを担当しているわけでステージではいちばん前に出てますが、常に全員同じスタンスと僕は想ってやってます。
では、メンバーのいちばん年下といってももうすっかりおっさんですが、ハーモニカのKOTEZくんの歌を聴いてみましょう。
2.Walkin’ With Frankie/blues.the-butcher-590213

いまのWalkin’ With Frankieのフランキーはオリジナルがテキサスのフランキー・リー・シムズというブルーズマンなのですが、このフランキー・リー・シムズが僕もKOTEZくんも大好きで僕も1曲録音したのですが、ファンキーでアグレッシヴですごく魅力的なブルーズマンです。顔はとっちゃんぼーやみたいな顔なんですけどね。
まあ、テキサスは本当に魅力的なブルーズマンがたくさんいるんですが、次の曲なんかはスティーヴィー・レイボーンのカバーで知っている人の方が多いと思いますが、ブルーズフリークの間では昔から人気のラリー・ディヴィスがオリジナルです。僕は70年代の最初、ブルーズを知り始めた頃に買ったデューク・レコードのコンピに入っていたこの曲がすごく好きで聴いてきたんですが、今回録音できて本当に嬉しいです。
テキサスが洪水になって彼女と電話が繋がらない。もう町は暗い雲と洪水で大変なことになってんのや。すると最後にオレは個々を離れるよ、故郷に帰れば毎日太陽が輝いているという歌詞で終わるのですが、電話が繋がらん彼女はどうすんねん・・・とモヤモヤしたままのブルーズです
3.Texas Flood/blues.the-butcher-590213

今回のアルバムのひとつの目玉は女性ヴォーカルのうつみようこさんにゲスト参加していただいたことなんですが、本当に素晴らしい歌手で、いま日本で彼女ほどリアリティを持ってブルーズを歌える女性は本当にいないです。
うつみさんはご存知の方も多いと想いますが、かってはメスカリン・ドライヴというパンク・ガールズバンドで名を知られていましたが、そのあとソウルフラワー・ユニオンに参加されて、その後からいままでソロ活動されているんですが、コーラスも上手いですし度胸ありますし・・・僕は彼女にブルーズの曲だけのフル・アルバムを作ってもらいたいと想ってます。めっちゃ期待しています。
とにかく声量も歌いっぷりも本当にブルーズ向きで、ライヴでも遠慮なくギター弾かしてもらってます。
海外で子供の頃を過ごされているので英語の歌のノリを本当に自然表現できている人です。
次の曲なんかもご本人曰くいわゆるベタな選曲ですが、ベタに終わらせないところがすごいです。
4.Hound Dog/blues.the-butcher-590213+うつみようこ
手前みそで申し訳ないのですが、来週もブルーズ・ザ・ブッチャーの新しいアルバムを聞きます。